船
第一部最終章です
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朝
いつものようにお祈りを済ませ、畑仕事を済ます。
今日の畑仕事はケインの株分けだ。
ケインの半分は収穫して大黒のおっさん用に倉庫に取っておいてある。
残り半分は畑に植える用で、昨日の夜に細かく切って水漬けしておいたのを畑に植えた。
かなり数があったので、ケインの畑は倍増。
島の畑の7割も占める。
これだけあれば、おっさんに無茶な注文をされても大丈夫だろう。
畑仕事を終えて、皆で防風林の植林をしていると沖の遠くで船が見えた。
大黒のおっさんの船じゃないのは間違いない。
なんでこんな島に船がやって来てるんだ?
「船ですね」
「なんかこっちに向かってきてるみたいなのです」
このなにもない大海原の中に、ユグドラシルみたいな大樹が突如現れたら興味本位で近くまで見にくるだろうな。
と思っていたんだけど……。
「この島を目指してますね」
「港に入ってこようとしているのです」
船は明らかに上陸してくるつもりだ。
念のため、ミーニャとユグはいつものダンジョンの寝室で待ってもらう事に。
僕とスライムさんは港を目指す。
船はなんとなく見覚えのある船。
どこかで見たはずなんだけどな。
思い出せない。
僕らが港に着いたとき、船は既に入港していて船員らしき男が船の上からクレーンで荷物を降ろそうとしていた。
その男に見覚えがあった。
僕とミーニャをこの島に連れてきた船長だ。
確か名前はナビスだったはず。
なんでこの島にやって来たんだろうか?
新しい追放者でも連れてきたん
だろうか?
トラブルの種を持ち込まれるのは遠慮したい。
僕に気が付いた船長から声を掛けてきた。
「お前ら、まだ生きていやがったのか!」
「おあいにく様! ピンピンしています!」
「意外としぶといな」
「ここには何の用で? 僕らの島に勝手に入らないで下さい。また、追放者でも連れてきたんでしょ?」
すると、勝ち誇ったような顔をする船長。
「残念だったな。ここは王様の島でお前たちの島じゃない」
鼻息を荒くして荷物を降ろし続けている。
箱の数は3つ。
かなり大きい。
詰め込めば一箱に5人は入れるぐらいの大きさだ。
「それに追放者じゃないぞ。持って来たのはこれだ!」
したり顔をして箱から取り出したのは……。
「ニワトリ、ウサギだ!」
「何もない島に置き去りにした僕らへの詫びのつもりなのか?」
「ガハハハ! 詫びだと? 島流しに遭った犯罪者のお前たちに詫びも何もないだろう!」
そういって、大量のウサギとニワトリを島に放った。
「実はな、2日後にこの島に5匹のオオカミを放って、一月の間殺し合いをさせることに決まった。これはオオカミのエサだ」
「なんだと?」
「別にお前らを食わせるわけじゃない。王子様の新たなるペットの選定さ。まあ、ニワトリを食い尽くした後はどうなるかわからないがな。がははは!」
ミーニャの乗っていた奴隷輸送の馬車を襲ったオオカミだ。
僕らを見つけたら間違いなく襲ってくるだろう。
これは大変なことになった。
「オオカミ同士で殺し合いをさせて一番強いオオカミを王子のペットにするそうだ」
「そのオオカミって、前に飼っていた人喰いオオカミなのか?」
「いや、今度はもっと凄いらしいぞ。前に王子様の飼ってきた白銀狼よりもさらに大きなフェンリルとかいうのが混じってるらしい。たぶん、そいつが生き残るな」
前より大きいオオカミってヤバいんじゃないのか?
そんなのが放たれたら、僕らが無事で居られるわけもない。
「びきぴきぴきー!(フェンリルって神獣ですよ! そんなものを放たれたら、この島がめちゃくちゃにされてしまいます!)」
「なんてことをしてくれるんだよ、あの糞王子!」
船長は僕らの気も知らず、箱を片付け始めている。
「ガハハハ! お前らも喰われないように注意しろよ」
船長は船へと戻った。
すると、スライムさん。
とんでもない事を言い出した。
「ぴききき!(こいつを生かしたまま返すと、ご主人様が生きていることがバレてしまいます。ここで始末しましょう!)」
武闘派な提案をするスライムさん。
意外だよ。
確かにそうした方がいいんだけど……。
「さすがに僕は人は殺せないよ」
船長は僕らを浜に置いたまま、船で去っていった。
*
とんでもない事になってしまった。
ミーニャを襲ったあの人喰いオオカミ以上のオオカミがこの島に放たれる。
どうすればいいんだよ?
背筋を嫌な汗が流れた。
かみさまポイント
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繰り越し 140ポイント
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支出
なし
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収入
お祈り +30ポイント(ジーン、ミーニャ、ユグ)
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合計 170ポイント




