とある童女へのお願い
高天原
夕方
おやつを食べながら地上を見ていると、信徒一号のジーンお兄ちゃんがわらわにお祈りを始めたのだ。
いつものように、顔面全体を地面につける滑稽なお祈り。
まるで全身土下座なのだ。
ぐふっ! ぐふふ!
きゃははは!
おもしろいのだ!
いつ見ても笑えるのだ!
思わず、畳の上で笑い転げてしまったのだ。
むう?
なにやら、叫んでおるな。
わらわを呼んでいるようなのだ。
でも、嫌な予感しかしないのだ。
また、物を欲しがってる?
信徒とはいえ、これ以上わらわのおこづかいをむしり取るのは止めてほしいのだ。
むーん。
お財布のことを考えると無視をしたいところ。
でも、あれだけのお祈りを捧げられたら、出ないわけにもいかないのだ。
わらわは、ジーンお兄ちゃんに声を掛けたのだ。
すると思った通りの答えだったのだ!
『お願いがあります!』
お願いだって?
やっぱり、おねだりなのだ。
わらわのお財布の中は、すっからかんなのだ。
この前あげた種をお花屋さんで買ったから……。
いや、嘘なのだ。
今日、学校の帰り道に買い食いをしたからなのだ。
こんなことなら、おこづかいでお菓子を買わずに、全部とっておくべきだったのだ。
わらわはジーンお兄ちゃんにおそるおそるお願いの内容を聞いてみた。
『新しい服を与えていただけないでしょうか?』
服かぁ。
全身土下座をしたせいか、服が泥だらけ。
服が欲しいというのも、わからなくはないのだ。
でも、服はおこづかいで買うにはさすがに高い。
わらわのお小遣いじゃ無理なのだ。
おやつの残りぐらいなら、くれてもいいのだ。
他のお願いに変えてもらおうと相談しようとしたら、おにいちゃんは真剣な顔をしてわらわに訴えたのだ。
『ミーニャがかなり困っているみたいなので……、なんとかお願いします』
なんと!
なんとー!
自分の為のお願いではないのか!
えらいのだ!
感激したのだ!
感動なのだ!
さすが、わらわに自分のお弁当をくれたお兄ちゃんなのだ!
とっても優しいのだ!
いい人なのだ!
わらわは感動のあまり、むせび泣いてしまったのだ!
そして……鼻水が止まらないのだ。
服はわらわが何とかするのだ!
この時のわらわは、大変な目に遭うことを知らなかった。




