急変
ミーニャは朝の分の雑草汁を鼻を詰まんで飲んでいる。
相変わらず癖のある臭いに慣れないみたいだ。
これしか飲み物は無いので、我慢してもらうしかない。
「不味いなら無理するなよ」
「いえ、とっても美味しいです」
そういうミーニャであったが、とても美味しそうな顔には見えなかった。
早いとこ、井戸を掘ってやらないとな。
雑草汁を作る合間に島を調べまわってみたものの、結局なにも収穫は無かった。
ロランジュの実を食べながら、今日も星空を眺める。
二人で色々と話をした。
薬草採りの話。
親父の話。
村の女の子の話。
楽しそうに聞いていたミーニャであったけど、村の女の子の話をしたときは沈んだ表情をしていた。
「ジーンさまは恋人がいるんですか?」
「朝から晩まで薬草採りしかしてないのに、そんな人がいる訳が無いだろ?」
それを聞いたミーニャは再び表情が明るくなる。
これってもしかして、ミーニャは僕のことが好きなのかな?
女の子に好かれたことが無いので、よくわからない。
*
翌朝、ミーニャが雑草汁を飲んでいると、いきなり倒れた。
「ミーニャ、どうした?」
額を触ってみるとすごい熱だった。
ミーニャの口からは返事は無く、はぁはぁと苦しそうな息しか漏れてこない。
「おい! ミーニャ!」
こんな時は額に濡れタオルを乗せて熱を下げるが、水が無い。
海に行って海水を汲んでくるしかない。
でも……それまでもつんだろうか?
他に水分になるものは……ある!
ロランジュだ!
まだ、今夜の分のロランジュが二個残ってるはずだ。
少しべたつくが、これを搾って布巾を濡らせば……。
ミーニャの持つ布袋を開けてみると、そこにはロランジュが四個残っていた。
これは……。
考えなくてもわかる。
ミーニャは自分ではロランジュを食べずに、俺だけに渡していたんだ。
雑草汁しか飲まずに過ごしていたミーニャ。
もっと早くに気が付くべきだった。
何かないか、持ち物を漁る。
でも、使えそうなものは何もない。
とりあえず、ロランジュを絞り、布巾を濡らし額に載せる。
余った搾り汁をミーニャに飲ませる。
でも、症状は改善しない。
まずい!
これはマズい!
こんなとこで、高熱を出したら命にかかわる!
薬草さえあればポーションを作ることが出来る。
ポーションが有れば症状が改善するはずだ。
だけど、辺りを探しても薬草なんてどこにもない。
俺がなにも出来ずにいると、ミーニャの熱は更に上がる。
額に触るのが怖い位の熱だ。
これはどう考えてもヤバい状況だ!
このままではきっと死ぬ。
どうすればいい?
わからない。
ミーニャを失いたくない!
でも、何ができる?
父さんなら何かできたかもしれない。
でも、ここにはいない。
もっと父さんから薬品作りを教えてもらわなかったことを悔いる。
ミーニャの息が更に荒くなる。
このままでは間違いなくミーニャを失うことになる。
嫌だ!
そんな事は考えたくもない!
なんとかならないのか?
誰でもいい!
「誰でもいいから助けてくれ!」
その言葉を言った瞬間、胸のかんざしが輝く。
まばゆい光が溢れ出した!
そして、辺りに突風が吹いた。
「誰でもいいとは失礼なのだ」
目の前には、以前山の中で助けた女の子が立っていた。




