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寝床


 とりあえずの飲み物を確保した僕たちであったが、水は確保できていない。

 水の確保は最優先課題だ。

 水が無ければ、人間は生きていけない。

 それに食料もない。

 このままでは飢えて死んでしまう。

 なんとかしないと。

 

 *

 

 そろそろ日が暮れる時間だ。

 ちょうど、大きな岩がいくつか寄り添って並んでいる場所が有ったので、その岩陰を仮の寝床にすることにする。

 やはり、吹き曝しの中で寝るのは、風で体温が奪われてきつい。

 すこしでも風を和らげるために、石を積み岩陰を洞窟状にする。

 隙間風は通るものの、何もない所で寝るよりはいい。

 ここなら雨が降っても問題なく凌げるはずだ。

 まあ、恵みの雨が降ったら、こんな岩陰に居る事は無いと思うけど。


 ミーニャが寝床を見て、ポツリと言った。

 さすがにベッド代わりになる草も敷き詰めてない、地べたそのままの寝床は嫌だよな。


「ここが寝床になるんですか?」

「うん。さすがに見晴らしの良すぎる場所で寝るのは、何が起こるかわからなくて怖いからな。まだ小屋とかは作れないから、しばらくはここで我慢してくれ」

「私、お風呂にずっと入ってないから臭いんですけど、こんな狭い所でジーンさまと一緒に寝ていいんですか?」

「そんな事、気にすんな。ミーニャは全然臭くない。むしろいい匂いだ」

「ジーンさま……」

 

 本当は、すこし汗くさい臭い気がしていた。

 奴隷になった時から風呂どころか水浴びもしてないんだと思う。

 そのせいで少し臭っていたけど、さすがに臭いを気にしている女の子にそんな空気の読めないことをいう男ではない。

 僕の言葉を聞いて、ミーニャは顔を赤らめていた。

 

 *

 

 遠い水平線の彼方に夕日が沈むと、辺りは満天の星空になる。

 ミーニャが渡してきたロランジュの実を食べながら、星空を見つめる。

 ミーニャは喉が渇いて既にロランジュを食べてしまったとのことなので、僕のを少しだけ分けてあげた。

 暗くて表情はハッキリとは分からないけど、喜んでくれたみたいだ。

 今までは、周りに山が有る村で暮らしていたので、空一杯の星空の美しさに引き込まれる。

 ミーニャは都会ぐらしだったらしく、僕と同じく星空に感動していた。


「綺麗ですね」

「吸い込まれそうな星空だな」

「ええ。まるで私たち、星空の下でデートをする恋人みたいですね……あっ、ごめんなさい。ご主人様にいう言葉じゃないですね」

「気にすんな。そういえばさ、ミーニャは僕の事をご主人様と呼んでいるけど、それやめないか?」

 

 それを聞いたミーニャはハッとした顔をする。

 

「でも、私は奴隷ですし、ジーンさまはご主人様ですし」

「俺たち二人しかいないんだ。主人と奴隷みたいな上下関係はやめよう」

「ジーンさま……」


 ミーニャは俺に抱きついて来た。

 ヒシっと俺の身体を抱きしめてきた。

 女の子に抱きつかれるなんて経験は今まで無いので、どうしていいかわからない。

 ただただ、顔を火照らせてオロオロするだけだった。


「ジーンさまがご主人様になってくれて、本当に幸せです!」

「ご主人様はやめろって言ったろ?」

「そうでした。ごめんなさい」

 

 ミーニャはそういうと、笑顔を見せてくれた。

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