地獄の入り口
「おっさんは、誰?」
「俺か? この船の船長のナビスだ」
「船長?」
僕が呆気にとられていると、ミーニャが答えてくれた。
「ここは島へ向かう船の中です」
「島? 船?」
なに言っているんだろう?
さっぱりわからない。
「ご主人様が試合で負けて、王子様の願いで島流しになりました」
なにそれ?
そんな願いが有りなのかよ?
わけわからなさ過ぎる。
*
ご主人様が王子様の突き一発で延びてしまいました。
勝負は一瞬でついてしまいました。
仕方ないですよね。
ジーンさまは薬草屋と言ってましたから。
普段から剣を扱いなれている王子様に勝てるわけが有りません。
王様は王子様に勝利のご褒美をあげるみたいです。
「では王子よ、願いを言え」
「こ奴の死が僕の願い。処刑を望む」
処刑って、そんな望みが許されるんですか?
普通はご褒美を下さいとかじゃないんですか?
お金とか宝石なんじゃないんですか?
処刑を望むとか、おかし過ぎる願いです。
その願いを王様は猛反対した。
「処刑はならぬと言っておるだろうが!」
ふー、よかった。
良識的な王様で良かったですよ。
私の新しいご主人様もこれで命を失わずに済みそうです。
私を助けて、代わりに命を失うなんておかし過ぎますからね。
「でも、それでは僕の家族が浮かばれません! この試合をした意味が無いでですよね!」
そこへお爺さんが言葉を挟む。
「ならば、この爺に任せてもらえませぬか? きっと坊ちゃまもご納得の願いが有ります」
「それはどのような願いだ?」
「無人島への島流しです」
「島流しか」
「雑草しか生えていない無人島で動物は一匹もいません。川もなく、島に流されれば飢えと渇きで一週間も持たずに死ぬこととなり、実質処刑と変わりません」
ええーっ?
処刑と変わらないんですか?
いやですよ、そんなの。
でも、それを聞いた王子様は大喜びです。
「それはいい! 爺、その願いが気に入ったぞ! われの願いはこ奴の島流しだ!」
「よかろう!」
なんか、私たち島流しにされることになっちゃいました。
ありえないです。
わけわかりません!




