久しぶりの故郷
「な、な、な、な、なんなんぴょん! これは! 私を除け者にするなんて許せないぴょん!」
ラビィは怒りでわなわなと身体が打ち震えて止まらない。
サメに追いかけられ必死な思いをして帰って来た故郷で待っていたのはバリケードで覆いつくされ何人たりとも侵入を拒む島だった。
「私を追い出すためだけに、こんな大掛かりな城壁のような柵まで作るなんて酷いぴょん!」
しかもこの柵は普通の高さの柵ではなく、ラビィが簡単に超えないように作ったとしか思えないものだった。
「ユグドラシルの実を採る為に海に落ちて大変な目に遭ったというのに、なにこの仕打ち! 許さないぴょん!」
海ではサメに追いかけられ、陸に辿り着いたと思えばクマに追いかけられ、街ではニンジンを拝借しただけで『魔物は処刑だ!』と騒ぐ衛兵に追いかけられやっとの思いで戻ってきた我が家である島なのに……。
ラビィの目尻に涙が滲む。
ジーンめ!
私をここまでコケにするとはいい度胸だぴょん!
そっちがその気なら、私も全力を出して抗ってやるぴょん!
ジーンの横っ面を思いっきり蹴っ飛ばさないと気が済まないぴょん!
ラビィは固い決意を胸に抱き柵越えを決意した。
「怒りでわなわなと身体が震え続けているけど、怒りに任せたらダメぴょん」
力任せに柵を越えようとしたら島を飛び越えてまた海の中に落ちるぴょん、またサメに追いかけられるぴょん!
島の頂上に着陸出来て、なおかつ柵も越えられる力加減で走らないとダメぴょん!
私は膨大な計算の末に絶妙な離陸速度を割り出したぴょん!
離陸速度=「死ぬ気で頑張れ!」
速度の細かい調整は無理そうなので全力で固定し、離陸角度の方で調整することにした。
離陸角度はほぼ垂直の89.9999度。
島を飛び越えないようにお天道様に向かってまっすぐ飛ぶぴょん!
これなら絶対に海に飛び込まなくて済むぴょん!
私はジーンの横っ面を蹴っ飛ばすために猛烈な速度で島の斜面を走り、そしてお空に向かって飛んだ。
どっぴょーん!
雲を何枚も突き抜けて、世界の頂に!
辺りが真っ暗になり凍え死にそうになるぐらい寒くなったかと思ったら、今度は落ち始め焦げそうになるぐらい暑くなった。
ぎゅいいぃぃん!
ものすごい速度で落ち続ける。
島は?
雲間から見えた。
真下だ!
計算通り!
私は空を切り裂き、島の頂を目指す。
すると足元に憎きジーンを見つけた。
許すまじ!
私は全神経をつま先に集中し、ジーンの横っ面目指して急降下をする。
人生最高の蹴りを決めてやるぴょん!
えっ?
なんでぴょん?
だけど、大きな計算ミスがあった。
島を吹き荒れる風だ。
風は私をジーンから遠ざける。
思いっきり風に流されている!
ちょ!
やめて!
やばい、やばいぴょん!
ジーンを逸れた私はとてつもなく大きなモフモフっぽい動物に向かってる。
こんな蹴りが当たったら、あのモフモフは死んじゃうぴょん!
私は手足をバタつかせ軌道を修正しようとする。
でも、速度が載っていて手足をバタつかせたぐらいじゃ全然コースが変わらない。
風で思いっきり逸れるのに、なんで手足じゃ変わらないぴょん?
「ごめん、モフモフさん。許してぴょん」
私の蹴りがモフモフに向かって突進する。
でもモフモフを心配しているどころじゃないぴょん。
よくよく考えたら、この速度でモフモフ目掛けて落下したら私の方が死ぬかもぴょん!
そこまで考えてなかったぴょん!
ぎえぇぇぇぇぇぇ!
ちゅどーん!
私のつま先はモフモフのどてっぱらに、これでもかというぐらい食い込んだ。




