御前試合
王様は王子に話し続ける。
「お前は狩りとはいえオオカミを放し飼いにしていた。それが全ての原因だ」
僕も激しく同意する。
「そうです! それが無ければ、この事件は起こらなかったのです」
「黙れ! 平民!」
「す、すいません」
王様に一喝された!
この王様、親バカだよ!
絶対間違いない!
こんな親バカが王様をしている国なんてないよ!
って、ここに有るか!
だめだ、この国。
「それに、お前のペットが奴隷とはいえ、人を殺めているのも事実」
「はい、父上」
「その事実は揉み消さねばならぬ。この男の他に見ている奴はいなかったか?」
「見ていたのは、この女奴隷だけです」
「そうか。証人となるその奴隷もこの男と道連れにしないとな」
それを聞いて、血の気の失せるミーニャ。
「ええぇ? 私も殺されちゃうんですか?」
へたへたと座り込んでしまうミーニャ。
「お前は奴隷商の主人に捨てられた奴隷じゃないか。主人を失った今、命を助けた者が主人になるのは当然だろう。その主人と運命を共にするのも当然のこと」
王様はそんなわけのわからない事を言っている。
目の前が真っ暗で気絶寸前のミーニャには王様の声が耳に入ってないみたい。
しかし、まいったな。
これは完全にヤバい事に巻き込まれた。
止めるなら、今しかない。
僕は、声を張り上げた。
「ぼ、僕、この試合、止めます!」
「ならぬ! 血判状に捺印した後で、取りやめられる訳が無かろう!」
王様に一喝される!
それと同時に試合開始!
試合開始と同時に王子の突きを額に食らってぶっ倒れて、僕は気絶した。
*
気が付つくと僕は床に横たわり、頭はミーニャの膝の上だった。
頭を突かれたせいか、頭がくらくらしている。
まるで床が揺れているみたい。
「ジーンさま、気が付きましたか? お身体は大丈夫ですか?」
「ああ、まだ頭はクラクラするけど、大丈夫」
「よかった」
目を涙でにじませたミーニャ。
少し微笑んだ顔がかわいい。
とりあえず、命は助かったみたいだ。
ところで、ここはどこなんだろう?
狭い部屋だけど、どこかの宿屋かな?
「ここはどこだ?」
「ここは船の中です」
どうりで、床が揺れているはずだ。
でもなんで、船の中にいるんだろう?
わけがわからない。
その瞬間、ドアをぶち破る勢いで入ってくるおっさん。
どう見ても、マッチョな荒くれ者。
そのおっさんが腹の底から響く声を上げた。
「ようこそ、地獄の入り口に!」
おっさんは僕に向けてそう言った。




