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お久しぶりです。相も変わらず話が全然進みません。

太陽が真上に上ったっ頃。


「そろそろいいだろ、飯時だ」

「ああ、もうそんな時間か。凜! 蘭! そこまでだ! また午後からだ。飯にするぞ」

「はーい」


 ハギの呼びかけに乱だけが答える。だが、凜は微動だにせず一心不乱に本を見ている。


「おい! 凜聞こえているか! 飯だ!」


 ガンジも大きな声で呼びかけるがそれでも反応しない。


「集中しすぎじゃねぇか、あいつ……」


 ガンジとハギが凜の集中力に呆れる。

 乱がため息をつき凜に近づき本を奪い取る。

 突然目の前から本が消えて凜は驚いて顔を上げる。乱と目が合う。手を伸ばして


「本返して、まだ全然覚えていない」


 まだ読み足りないと乱に告げる。


「だめ。ご飯の時間」


 ご飯の時間と伝えると凜は太陽を見て、もうそんな時間だったのか、とつぶやく。


「ちなみにどれくらい魔術覚えたの?」

「三つ」


 立ち上がりながら答える。


「順当ね」

「はあ!?三つだけだあ!?」


 乱が凜の成果に対して反応しなかったのに対してハギは覚えの悪さに驚く。


「しょうがねえじゃん。俺本当にこういうの時間かかるんですから。それより飯はどうするんですか?」

「村に定食屋があるからそこで食うぞ」

「俺は家からいろいろ本を持ってくるからまた後でな」


 ハギはそう言って一度家に戻っていた。

 三人はそのまま定食屋に向かった。

 定食屋はお昼時ということもあり賑わっていた。


「ほれ、メニューだ。好きなの選べ」


 ガンジが差し出してきたメニューには沢山の定食におつまみなども載っていた。


「へえー、いろいろあるね。あ、唐揚げ定食がある。これにしよう」

「俺も同じの」


 乱がメニューをガンジに返す。


「すいませーん、唐揚げ定食三つ」

「唐揚げ定食を三つ、と。かしこまりました」


 店員が奥へと消える。


「ガンジさんも同じのでいいんですか?」

「ああ、お前さんらの選んだどっちかにしようと思っていたからな、ふあ……」


 あくびをしながらガンジが返事をする。少し眠そうだ。


「寝不足ですか?」


 乱が心配そうに訊ねる。


「いや、お前さんらが練習している間ずっと寝ていたからねみーんだよ。ふわあ」


 また、あくびをする。


「そういえば乱はどれぐらい魔法ができるようになったんだ? 凜に関してはきこえてきたからいいとしてお前さんはどうよ?」

「えーと、『身体強化』と『空間制作』とかいろいろかな? 火や水を出したりする基本的なことは代替できるように。あと、午後に『修復』『複製』などを覚えたら終わりって言われました。あとは自分でやりやすい方法を見つけろって」


 乱が言い終えるとガンジの顔が引きつっていた。


「て、天才の枠に収まらねえぞ、それ」


 天才と聞いて二人が微かに反応した。


「天才……そうよ。私は実際()()よ。私は天才であり続けるの」


 自分に言い聞かせるように乱が呟く。瞳は怪しい光を見せていた。凜は膝の上で手を握りしめており、肩が少し上がっていた。

 その様子を見て何かあるな、と悟ったが何も聞かなかった。聞いたところで面倒そうだと思い、止めた。


「ほれ、飯が来たぞ。とっとと食え。午後からもあるんだからな」


 唐揚げ定食が定食三人の前に置かれる。目の前のご飯から湯気が立つ。なんともおいしそうなものだ。

 三人は箸を手に取り唐揚げ定食を食べ始めた。







「ほら、これが魔法陣が描いてある魔術本と、あとここに載っていない魔法陣のリストだ。そしてこっちは魔法書。いろいろな魔法が載っているから適当に使え。――ま、蘭なら本がなくても出来そうだがな」


 ハギから渡されたほんとリストはなかなかの重量がある。特に魔術書は陣が描いてあるせいか特に厚いし大きい。


「多くないですか……?」


 さすがの量に凜は頬を引きつらせた。もとから本をよく読む凜だがここまでの厚さは辞書レベルに達している。いや、そもそも辞書か。ちなみに乱は特に反応はしていない。読む気が元から薄いからだろう。


「はっ!たりめえだろう。古今東西この世にあるおおやけのものがすべて載っているからな」


 公の……?つまりこのリストは非公式なものということか。リストの適当なところをめくる。


「そのリストは俺が開発したんのと又聞きで知ったものだ。そいつの扱いには気をつけろよ。危ないのもあるからな」


 真剣な顔で凜に注意をする。凜もリストを見て、一か月かけて相手を殺す魔術とあり、これはヤバいと思った。神妙な顔で頷く。


「私には何かオリジナルなものはないのですか?」


 凜だけなのが納得いかないのか乱がハギに強めに訊ねる。ハギは少し困った顔をしながら口を開く。


「あることにはあるんだが……。そもそも魔法は自由性が高くて個人で結構差が出てくるもんだから基本をを押さえてそこから自分のやりやすい方法を見つけてくのが一番なんだよ。まあ、最近はそういったやつが少なくて新しい魔法を目にすることが少なったんだけどな」


 ため息をつきながら悲しそうに言う。だが、次の瞬間乱に期待を込めた目を向ける。


「だから俺はお前に期待してんだよ。お前はきっと自分だけの魔法を作るはずだと」


 ハギはこれほどまでの才能に出会ったことがなかった。稀代の魔法使い――伝説にもなった人物と同等、いや、それ以上ではないかと胸を躍らせていた。 

 乱は喜んでいた。純粋なハギからの評価を。


「まあ、努力次第だがな。ほら、それ持って帰れ。基本的なことは教えたんだからあとはいいだろう。――ガンジ!! とっととこいつら連れて帰れ」

「おう、すまねえな。突然だってのにここまでしてくれてよ。俺は教えるの苦手だからよ」


 ハギに呼ばれガンジがハギに近づきお礼を述べる。長年の友人であるハギはガンジが教えるのが苦手なことは知っているので今回のことはなんの不思議に思うことなく引き受けた。自身も人に教えるのが好きだから願ったり叶ったりだったりする。


「じゃあ、また今度な。なにかあったら頼むわ。帰るぞ凜、乱」


 ガンジが歩き始めると凜と乱はハギにお礼を言い、ガンジの後を追って帰路についた。






 



 夕食の時間ガンジと乱が言い争っていた。


「お前は台所に立つな! どうしてそこまでした料理しようとしやがるんんだ! 方向音痴にやつが率先して先に行きやがって道に迷うのと同じような結末になるのはわかってんだろ!」

「何事もあきらめてはいけないのよ! あきらめなければ道は開けるのよ!」


 乱が台所に入ろうとしてガンジに止められてしまってそれに対して乱が抵抗している所だ。凜としてはどっちも静かにしてもらいたいのだが混ざるとさらに面倒なことになりそうなので黙々と料理をしている。


「何事にもあきらめは肝心だ! 昨日の料理を見たがあれは努力とかの域を超えていやがる! はっきり言おう――お前さんに料理は無理だ」

「う……そんなはっきり言わなくても……」


 ガンジからはっきり言われて意気消沈していく。乱も料理ができない自覚があるのではっきり言われると反論できない。

 しっかし、どうして乱はあんなに料理ができないんだ? それ以外なら平均以上、いや、ほぼ完璧にこなすというのに。ああ、でも母さんも、師匠も料理できなかったな……。母さん達心配して……いや、絶対してない。どっかで修行してるんだろうとか思って五年ぐらいたって家出かな? って思うぐらいだ。

 家族って言ってもそれぞれの個が強いからな。あ、でも父さんはすっごい心配してるだろうな。それに乱がいると言っても寂しいな。今はガンジさんがいるからあまり感じないけどやっぱり元居たところに戻りたい。でも戻るといっても手掛かりは聖女伝説ぐらいだしな。はあ。


 凜はあまりの前途多難さに呆れ、息を吐きながらお玉でスープをかきまぜた。後ろからはまだ言い争いが聞こえてくる。

今回、ノートに書いてあったこの後に書く予定でしたが、ストーリーに関係があまりないので書かないつもりで現在います。

内容は双子が覚えた魔法、魔術をお互い見せる話とガンジとハギが二人で飲んでいる話です。

次回はこれかもしれませんし、カットして後々番外編となるかと思います。

長々と失礼しました。

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