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 玄関先に全員集まると瑠依が口を開く。


「街の中心部に悪魔が現れました。中心部の北側それと西側の二ヶ所とのことですので二手に分かれて向かいます。」

「それなら私と凜、カイが西に行きます。私たちはお互いの戦い方を熟知しています。下手に人数がいるよりも残忍の方が戦いやすいので他の方で北の方を。」


 乱が意見は許さないとばかりにはっきりと言い切る。


「さすがに三人は危ないと思うよ。せめて瑠依さんか俺をつけるべきだ。」


 トーマスが三人で向かうの止める。しかし乱は笑みを浮かべ首を振る。


「いえ、大丈夫です。それよりも桜ちゃんとタユナさんにつくべきかと女性二人ですから。」


 これ以上煩わせるなと笑顔で圧をかける乱を見てどれだけ戦いたいんだと凜は心の中で呆れる。


「ではグレアで良いでしょう。彼は素直ですから邪魔にはなりませんよ。」


 瑠依が妥協案として提示する。乱と彼の視線が交錯するとお互い口角が少し上がる。よく見なければ気づかないが気づいた凜は戦闘狂が二人と体を震わせた。そして指名されたグレアは瑠依からの誉め言葉と悦び勇む。しかし彼の言う素直は馬鹿ということだ。乱はわかりましたとグレアの同行を認めた。


「では行きましょう。くれぐれも死にませんように。」


 瑠依のその言葉で二手に分かれた。






 中心街の西。そこで乱は苛立っていた。未知の中央で腕を組み足で地面を何度もリズミカルに叩いていている。


「ど・う・し・て! 何もいないの!?」


 四人の向かった悪魔が出た場所には悪魔は一体もおらず平穏そのもの争った形跡すらない。


「誤情報だったのでしょうか。いないならいいことです!」


 よくないわよ。口には出さず心の中で吐き捨てる。せっかく戦えると思ったのに。怒りがグレアに向きかけたところで


「北の方に行き桜様たちの手伝いをいたしましょう!」

「……そうですね。グレアさんの言う通りです。助けに行きましょう! 善は急げです!」

「はい!」


 嬉々として北の方へと二人はっ向かってしまう。その背を見て狂気じみているとカイは思った。どうして敵がいるところに笑顔で赴けるのか、どうしてそんな楽しそうなのか理解できないのだ。隣に立つ凜を見るとげんなりとした顔をしており、こいつは違うんだなといつも安心を覚える。と言っても理解できない部分はある。乱よりマシだ、その程度だ。凜もカイにしたら異質なものとして映っている。一番不可解なことは性別を偽っていることだ。


「カイ、お前もあっちについてもらっていいか?」

「は⁉ やだよあいつと一緒とか。凜は行かねえの?」


 いつも一緒にいるのにと訝しむと少し困ったように笑う。


「行きたいけど俺がいると格好つけるだろうから自由にさせたいんだ。」


 人目があるところだと凜の声は低くなり口調が変わる。今魔眼でこいつをみれば目が痛むんだろうな。今までだったら常に痛かったのに。これには感謝している。


「……わかった。帰ったら何かおごれ」

「何かっていつもおごってるの俺だろ。」


 俺は金を持っていないから当たり前のことだ。拾ったのはお前なんだからとことん世話させてやる。


「そういうことで、乱を見ていればいいんんだな。」

「それだけで十分だ。手伝ったり止めなくていい。」


 それだけ聞いて俺は走り出した。鼻をひくつかせ匂いをたどる。一瞬悪魔の匂いがしたがそれはすぐに消えた。なんだと首を傾げるがすぐにそのことは頭から消えた。乱の匂いをたどる。やっぱり早いな乱はともかくあの男も同じくらいとか、化け物揃いじゃないか。


 そこまでかからず街の北部につくことができた。中心部といってもそこまで大きくないおかげだ。そしてそこでは大量の悪魔相手に二人の人間が猛威を振るっていた。

 一人は瑠依だった。普段と変わらない表情で悪魔の乱雑な魔法を躱しながら誘導する。悪魔が重なったところで剣で三体同時に突進しながら貫く。よほどの力がないと無理なのだが恐ろしいとカイは引いてしまう。瑠依はそのまま剣を振りぬき他の悪魔にひん死の悪魔を当てる。さらに死体になったものは縦代わりに使うという粗暴さを見せる。悪魔の返り血をこれでもかと浴びた姿はどちらが悪魔かと疑うほどだった。しかしそれよりも、ともう一人の暴れている人物である乱に目をやる。


「『ライトニング』!」


 手が光り輝き悪魔の頭部にかざすと悪魔の頭がはじける。一見光の魔法で倒したように見えるが実際は握力で握り潰したのだ。光で見えないようにしていたのだ。


「『ウォッシュ』」


 手を払うと血肉はきれいさっぱり消えてしまう。乱の横から悪魔の奇声とともに魔法が飛んでき直撃するが微動だにせず無傷だ。魔法で薄い膜を纏っている。ゆっくりと悪魔たちがいる方をみると目元が嬉しそうに歪む。地面を蹴ると瞬きのうちに悪魔を踏み潰していた。突然現れた乱に驚くことなく悪魔は彼に群がるように襲い掛かる。


「『シャイニーレイン』」


 空に手の平をかざし魔法を唱える。きらりと空が光ると乱を中心とした小さな範囲に雨が降り注ぐ。それは一つ一つが光輝いておりそれにあたった悪魔は苦しみ悶え跡形もなく消えてしまう。


「うーんやっぱり範囲が狭いのがネックよね──っと。」


 どこか不満げな乱に悪魔が襲い掛かる。


「蘭ちゃんそっち大丈夫!? 今そっちに──『ホーリーランス』! ああもう!」


 目の前に迫ってきた敵を光の槍で叩くように薙ぐ。


「桜さま! 今は目の前の敵に集中なさってください!」


 叱咤を飛ばすタユナは暗器で桜の背を守るようにして戦う。そこから少し離れたところでトーマスとグレアが戦っている。


「『フレア』」


 揺らめく炎が魔物を捉える。そこをグレアが剣で切り倒していく。どこよりも安定し落ち着いた戦法を取っている。


「はははは! トーマス様さすがです! 俺魔法の調整が上手くできないんですよ! それにしても瑠依様は強いですっと、俺も見習わないと!」


 笑顔で話し名がら敵を斬り伏せるグレア。


「世間話をするように普通に戦えるだけ十分だと思うけど……。」

「よっと──何か言いましたか?」


 胡乱気なトーマスの声は運よく彼には届かなかった。


「いや、何も。さて、少しでも数を減らしますか。」


 このままでは長引くと判断し一旦『フレア』を止める。それにグレアは素早く反応し悪魔から離れる。


「貫け『落雷』」


 悪魔の頭上目掛け鋭い音ともに悪魔の頭上に雷が落ちる。しかしそれで倒れたの悪魔はおらず足を止めるだけにとどまる。


「『ウォータースライス』」


 水の斬撃を飛ばすが悪魔の体を切り刻むことはできない。グレアは別の悪魔の相手をしている。


「グレアさんこちらを!」

「あはは! ちょっと無理です!」


 耐えてください、と簡単に言われてしまい焦りが出る。足止めのためにまた『サンダーストーム』を──

 魔法を使おうと口を開きかけたところで悪魔の頭が飛ぶ。目を見開く。そこにいたのは蘭と凜のそばにいたカイという少年だった。さすがに何もしないわけにはとカイは動いた。首をはねるときだけ腕を元に戻したのだ。トーマスの目には一瞬獣の腕が見えた気がしたが人の腕のカイの腕を見て気のせいとした。


「大丈夫ですか。えーと、トーマス様。」

「あ、ああ。ありがとう。そっちの悪魔はもういいのかい? 蘭さんが凜と君に任せたって言っていたけど。」

「えと、凜だけが一応残っています。向こう全然いなかったんで。」


 全然というよりまったくだけど。ああ、悪魔臭い。俺の国じゃ悪魔なんてめったに出ないのにこの国どうなってんだよ。しかめっ面をし辺りを見渡す。あとはあっちだな。トーマスとの会話はそこで切りタユナの近くの悪魔に向かう。見ていてもはっきり分かったがこの中で集団戦に一番向いていないのだ。

 タユナに一番近い悪魔へとびかかる。そのままの勢いで首をへし折る。とても子供力と思えない光景と突然のことにタユナは一瞬固まってしまう。しかしすぐに構え直し他の悪魔へと向かう。カイは少し手伝いをし三十分ほどして悪魔は消えた。瑠依と乱の倒した数は全員の中でぶっちぎりでトップだ。次点で桜、グレアといったところだ。



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