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この場面は書こうか迷っていた場面で乱が男、っり普通に過ごしていた場合の口調はこんな感じだと思ってください。閑話的なお話なので短いものです。最初あげる予定はなかったものですので。途中女性を不快にさせる言葉があります。ご了承ください。

 ガンジの所の村とは違って王都は夜でも明るく賑わっていた。街灯も多く、建物からも明かりが漏れている。でも夜空を見あげれば美しい月と星空も存在していて地上も空もなんとも明るい。

 乱はどこかに食べ物が売っている店がないか探してみたが時間も相まって酒屋と宿屋しか空いていない。仕方ないと思い酒屋に入る。扉を開けると酒の匂いが漂い鼻をつまみたくなる。

 奥のカウンターに座る。


「坊主ここはお前みたいなガキが来るところじゃないぞ。」


 頬が赤く人目で酔っているとわかる男が乱に注意をする。乱は顔を向けることなくカウンターにいる店員に話しかける。


「なにか食べ物は置いてありますか。母さんの具合が悪くて明日の食べ物の準備が何も無くて。この時間帯だとどこにも食べ物が売っていなくて。」


 眉尻を下げ困っている様に見せる。乱に絡んできた男もその様子を見て悲しそうな顔をする。


「そうですか。それでこんな店に入ってきたのですか。少し待っていてください。」


 店員が店の奥に引っ込む。


「おい坊主。お母さん大丈夫なのか?」

「はい、ただの風邪なので。心配して下さりありがとうございます。」


 丁寧に頭を下げると男は偉いな、と頭を撫でてくる。髪が乱れ気分が些か沈む。


「お待たせしました。これはお店の残りです。どうぞ持ち帰ってください。あ、代金はいいです。所詮残り物ですから。」


 残り物といって手渡されたのは肉の塊と籠に入った野菜だった。明らかに残り物の量ではない。


「さすがに多すぎです。お金を払わさせてください。」


 乱が申し出ると店員は静かに顔を横に振る。タダで貰う以外道はないようだ。


「坊主貰っておけ。それで母さんが元気になったらこの店を利用すりゃいいんだよ。」

「……そうですね、そうします! ありがとうございます! それでは失礼します!」


 乱は元気よく挨拶をすると店から出ていく。店員と男はその後ろ姿をじっと見つめていた。


「しっかしえらい綺麗な顔立ちだったなあの坊主。」

「確かにそうですね。どこぞの貴族か商家の息子でしょうか。」

「ま、なんにせよ母さんが無事だといいんだがな。」


 二人は乱に騙されているとは露知らず架空の母さんの無事を祈った。


 店から出た乱上機嫌に鼻歌を奏でながら貰った食料を『不覚空間』に放り込んだ。

 あっさりと演技に騙された様子を見るのはとても楽しく愉快だった。予定よりも早く食料を手に入れることが出来た乱は街を散策することにした。

 普通なら夜遅い時間帯。大通りを歩くべきなはずなのにあえて乱は暗い路地へと入っていく。暗い路地には誰もおらず妙な高揚感を覚える。ふと前を見ると薄着で男を誘うように谷間を見せている女がいた。風俗嬢であることは間違いない。辺りに静かに目をやると『防音』魔法がかかっている建物があった。そこが風俗であることは間違いない。この世界の風俗のルールがどうなっているかは調べていないが最後まで致す所だろう。でなきゃ『防音』の魔法なんかかけないよな。

 乱は建物から目を離すと女の前を素通りしようとする。


「ねぇーそこのいい男。ちょっとお姉さんといいことしないー?」


 女が柳のように乱の腕に絡みついてくる。乱の背丈は子供にしか見えない。男で160もないとすると小学生ぎりぎり中学生と言ったとこだ。

 女が明らか子供に声を掛けてしまったのは単純に惚れたからだ。見た目に。暗くてもわかる乱の容姿の整いの良さに声をかけずには居られなかった。出来ることなら自ら美しい少年の初物を頂きたいと思ってしまった。


「ごめんね。俺あんたぐらいだとまったく食指動かないわ。悪いけど他当たって。」


 少年から放たれた言葉は娼婦のプライドを壊すものだった。まさかまだ女を知らなさそうな年齢の少年からそのような言葉を聞くとは思わず固まってしまう。乱がその隙を逃すはずなく女の腕を外し歩く。


「待って!」


 しかし少しプライドが壊れたくらいでなんだ。プライドなんて何度でも復活させればいい。プライドなんて使い分けてしまえばいい。少年の背中に胸を押し当てる。思春期の少年。胸に反応しないはずがない。


「あなたに一目惚れしたの。お願い一晩だけ夢を私と見て?」


 つややかな声で誘う。これで何も反応を示さないとしたら不能か余程の堅物だと女は思っていた。胸というのは女の象徴、反応せずには居られない。

 乱は大きなため息をついた。女はビクリと肩を揺らした。言いようのない寒気を感じたのだ。乱が後を向く。瞳はとても美しいが女のことを少しも映していない。その恐ろしさに女は体を離す。


「だからさっき言ったよな。あんただと興奮しないって。あんたぐらいの女なんていくらでも抱いてきたよ。」


 乱の言葉は事実で乱は中学生の時初体験を済ませてそれから頼まれれば余程のことがない限り抱いてきた。ちなみに凛はその事は薄々と知っていたが乱から直接聞いたことは無い。

 女の顔が悔しさに滲む。つまり乱が言った言葉は自分はどこにでも居るような女という事だ。そして少年からすると魅力なんて欠片もないという事だ。


「ということで見る目養った方がいいよ。それと胸を当てればとか安直なこと考えてそうだから言っておくけどベッドに入ったら胸なんかよりそっちだよ。」


 そう言って乱は女性の腰より下を指す。女の顔が怒りで真っ赤に染まる。なんたる侮蔑。女は快楽を求めるための道具かと吠えたかったがそれはそっくりそのまま自分へと帰ってくる言葉でなにも紡げなかった。


「……あんた本当は不能じゃないの。」

「残念だけど至って健全。ただ女なんか抱き飽きただけ。体を重ねて得る快楽なんて大して面白みもない。」


 乱はそう言うと歩き出した。余計なことも喋った気もするが女がこれ以上絡んで来ることも無いかと思って進む。


「さすがに言い過ぎじゃないかな。女性には優しくするべきだよ男ならね。」


 反射的に後を向く。今の声確実に女からだったが喋り方が完全に別物だった。


「何か、不快な人物までにも優しくしろって言いたいのか?みだりに人の体に触れてくるような奴に優しくする必要は無いだろ。」


 先程とは中身が違う女を睨みつけて本心を語る。乱にも女の好みぐらいある。ああいう気軽に男の体に擦り寄ってくるような女は嫌いの部類に入るほどだ。


「うーん、それは確かに私も嫌だなあ。まあ、女性を抱いたのなんてはるか前だし。今の私には肉欲というのがほぼ無くなっているから女性もただの人間だから優しくするのは苦ではないかな。」


 穏やかな笑みで聖人君子みたいなことを述べるがその実は女なんて男と変わらない。男も女と変わらない。どちらでもいい。どちらでもなくていい。大した問題では無いと言っているのだ。


「俺としてはあんたの方が酷いことを言ってる気がするけど。あんたにとって人間なんてどれも同じなんだろ。別に性別なんて関係ない。人間であるから優しくする。ただそれだけだろ。」

「ブラボー! この一瞬でよく私の本質を捉えたね。」


 手を叩き乱に賛辞を送る。少しも嬉しくない。


「ところで天門院乱くん。おっと身構えないでくれ。」

「……どこで俺の名前を知った。」


 正体不明の人物が天門院と言ったところで乱は構えた。いつでも倒せるように。しかし倒したところで意味が無いことは知っていた。女は体を乗っ取られているだけ。『憑依』の魔法で女は乗っ取られている。


「ああ……やっぱり君は見えているんだね魔力が。」

「――――お前は一体何者だ。」


 乱が『憑依』の魔法を見破ったことを見抜き、さらに乱が魔力を見ていることも看破していく。

 魔力は不可視だ。ある特定の液体や魔石に込めることで擬似的に魔力を見ることはできる。しかし真の魔力を見ることは出来ない。しかし乱はこの世界に来てから魔力をずっと見ていた。空気中を漂う謎の半透明のベール。凛には、他の人にはそれが見えていないことにはすぐ気づいた。乱は誰にも言わなかった。見えている魔力の世界を。魔力の世界を見ないようにするのは以外にも簡単だった。拒否すればいいだけで望まなければ見えない。望めば全て見えてしまった。


「では自己紹介をしようか。私は――――」


 女は片手を前にもう片方を後ろに回し少し腰を曲げ


「私は――――魔王だ。君をこの世界に呼んだ張本人さ。」


 乱の脳が一時混乱に陥る。魔王? 聖女が倒すべき存在。現在ユノメリアを襲う悪魔の親玉。全ての元凶。それが俺を呼んだ?


「詳しいことはまたの機会に話してあげるよ。国王に謁見をした次の日の夜ここに来てくれ。色々と教えてあげるよ。魔法もこの世界のことも。君の見える世界も。ではいい夢を。」


 女の周りから濃い魔力が消える。『憑依』の魔法が消えたのが分かる。面白半分に風俗の建物がを視たのがいけなかった。でなければこの視える世界に気づかれなかっただろうに。

 女は糸の切れた人形のごとく地面へと崩れ落ちた。乱は女を担ぐと路地の端で横たえ『不覚空間』から毛布を取り出すとそれを女にかけた。




乱は基本優しくはないです。優しそうに見えたりすることもありますが優しさというのはありません。特定の人物のみ大切にしてそれ以外は基本同じにしか見えていません。

もしかしたらこの話は今後で消す可能性もあります。

それと登場人物紹介などはあった方がいいですかね?要望が万が一あった時は簡単なものは書こうかと思っています。

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