第三話 リロの一撃
「ミレイナ、私を倒さないとディグナに会えないわよ」
「だけど、そんな展開は書かれていないよ」
俺がリロに指摘すると、リロも俺を殴ってきた。リロは偉そうに俺に改訂を求めた。
「さっさと物語を書き換えなさい!それがあなたの役割でしょう!」
「でも良いところまで書けたのに!」
「ダメよ、書きなさい!」
ミレイナとディグナも賛同した。
「いいわ、リロも私が倒してやるから」
「ええ、そのほうが面白いでしょう」
3対1だ、書き直すしかなった。
『ミレイナは壁を壊すと、目の前には誇らしげに立っていたリロが現れた。リロは弱っているミレイナに対して召喚したスライムで戦った。スライムはミレイナを何度も殴り続け、ボロボロになっていた』
するとミレイナが怒り始めた。
「また私が負ける展開を書くの?」
「違う、良いプランがある」
ミレイナに筆を邪魔されつつも書き続けた。
『しかしミレイナはディグナに封印された必殺技「ボルケーノバースト」を思い出し、発動させた。スライムは全て姿を消し、リロは次のモンスターを召喚するために詠唱するが、ミレイナに殴られて倒れた』
これでいいのかな、と不安そうに俺は書いたが、リロからは好感触だった。
「私はこれでいいわよ、ミレイナを追い詰めただけで充分わ」
妥協してくれたリロに感謝しつつ、本題に進める。
ハッピーエンドを書きなさいと見つめてくれるミレイナ、綺麗な負け方を要求するディグナ。この2人を納得させるにはどうすればよいか、俺は筆を走らせた。
『ミレイナはディグナが待っている城まで走り続け、城門でディグナと出会ってしまった。ディグナはリロを連れていた』
ミレイナは疑問を持ち始めた。
「何でリロが城門にいるの?倒したはずなのに?」
「こういうことだ」
『先程のリロはスライムで生成されたリロだった。ディグナの隣にいるのが本物のリロだった』
ディグナが拍手しながら称賛する。
「いいわ、ミレイナを追い詰める絶望感!」
『ミレイナはリロが召喚したドラゴンが吐く炎に焼かれ、ディグナが発生させた魔法の弾丸によって倒れてしまった』
ミレイナが再び俺を殴り、怒り狂って俺の胸を掴んできた。
「どこがハッピーエンドなの!バッドエンド一直線わよ!」
「大丈夫だ、秘策はある」
俺はミレイナの赤ペンを阻止して、再び物語を進めた。
『しかしミレイナは立ち上がった、友人や教師を守るために私が負けるなんて!と思いディグナとリロを見つめた。リロはドラゴンで攻撃するが、ミレイナはディグナに封印されていた2つの必殺技を合体させて「ハイパーボルケーノバースト」を放った。ドラゴンは衝撃波で倒れ、残るはディグナだけだった』
リロは感心して褒め称えた。
「最後まで私の役目を書いてくれるなんて、嬉しいわ!」
だがミレイナは俺を嫌なように見つめた。
「一発で2人を倒せばいいのに?」
「それでは面白くない、もっといい展開があるはずだ!」
『ディグナはミレイナと同じ必殺技を真似してきた。魔法で「ハイパーボルケーノバースト」を放ち、ミレイナも同じ技で対抗するが、ミレイナは偽物の必殺技には勝てなかった』
「ここで終わり?じゃないよね?」
「もちろんだ」
『ミレイナは友人からもらったお守りを見つめた。何が何でもディグナを倒さないといけない。ミレイナは最後の一撃に懸けて「ダブルハイパーボルケーノバースト」を放ち、2つの衝撃波を生み出した。ディグナは新たな必殺技に驚き「ハイパーボルケーノバースト」をもう1回放つが、ディグナは城から吹き飛ばされ倒れた。そしてディグナを倒した今、学校にはモンスターが現れず、平和な世界が訪れた。おしまい』
ディグナが諦めたように頷くが、納得した。
「せめて必殺技をもっと格好よくして欲しかったのだが、私はこれでいいと思う。最後にミレイナを技を私が放ち、ミレイナがその技をさらに超える技を放つ。ミレイナにとってはハッピーエンドだし、これでいいんじゃない、ミレイナ?」
ミレイナは満面の笑みで手を挙げた。
「ええ、これが私が求めていたハッピーエンドよ!ディグナ、リロ、ありがとう!」
俺には感謝しないのか、と言おうとしたが、その瞬間3人が姿を消してしまった。3人は恐らく本の世界に帰って行ったに違いない。今まで完結せずにごめんな、と呟きながら本棚に飾った。
『最強少女ミレイナ 完結』