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こんな能力あったらな~

『あら、また勝ったんですね~』

恒例の役立たずが降りてくる。


「なんとかな。でさ、聞きたい事があるんだけど。」

『なんでしょう?』

「コイツの能力って何?」

『さあ?』


俺の右手にはフライパン。殴るには絶好のタイミングだな。

『いやいや、だってこの人達は担当じゃないですもん!空さんの方が

戦ったときに見てるんじゃないですか!?』


チッ!構える前に何かを察知して早口で喋りやがる。

こいつは確か持ってた鞭が伸びたよな?

試しに奪った鞭に能力が発動しないかと念じてみる。すると、


「うお!伸びた。」

鞭の長さが変わったのだ。他にも色々試してみたが全部伸びた。

生徒手帳、ベルト、財布、服のすそなど全部1m程度は伸びたのだ。

ただし、手元にないものは念じても伸びなかった。つまり、


「触れた物を伸ばす能力って事か?」

『ですかね~』

「これは……もしかして……」

『どうしたんですか?』

俺は役立たずを放っておいて、ダッシュで葵を迎えに行った。


「葵、早く帰ろう!」

「え?え?どうしたの急に。」

葵はいきなり走ってきて、家に帰ろうとしてる俺に困惑していたが

俺はお構いなしに葵を抱っこして家まで走った。


「ゲェッホ!!ゲホ!!」

「くーくん大丈夫?」

「も、問題ない……」

その後は敵に遭う事もなく家までたどり着いたが、身体能力強化していても

抱っこしたまま家に走って帰るのは辛かった。しかし!


「葵!」

「は、はい!」

「少しの間、十分だけでいい。俺の部屋に入らないでくれ、何があってもだ。」

「どうしたの急に?」

「頼む。」

「う、うん。分かった。」

どうしても今、試したい事があるんだ。


俺は部屋までの一歩一歩を踏みしめながら歩く。

この偉大なる実験を考えると心臓が高鳴る。

震える手でドアを開け部屋に入る。そして、ドアを閉めて完璧な戸締りをする。


「窓の鍵よし、カーテンよし、ドアの前の重りよし。これで誰も来ないな。」

これは俺の夢だけではない。男なら誰でも持つ夢のはず。

ベルトを外す。


成功したら俺は……俺は……

ズボンを降ろす。


一つ上の男に……!

パンツを降ろす。


さあ……奇跡をこの手に!能力発動!!

ブチブチブチブチィ!!!!




「ギャアアアアァァァァァァ!」


「くーくん!」

くーくんの部屋から凄い悲鳴が聞こえてきた。

屋根を伝って部屋の窓の前に立って、ノックする。


「くーくん!大丈夫!?」

「あ、葵か……なんでもない……まだ、入らないでくれ……」

「でも、今の悲鳴は。」

「大丈夫、大丈夫だから。」


どうしても入って欲しくないみたいなので、しょうがなく自分の部屋に戻る。

でも、凄く心配……




ふう、何とか痛みも治まった。忘れてたが俺は火星人なんだった。

ちゃんと毛を元に戻してから、本体を伸ばすべきだった。

しかし、しかしだ。……成功だ。

「俺は男として立派になったぞ~!!」


身体が小さくなったせいでコンプレックスの一つだったサイズ問題。

男の威厳を奪う出来事を俺は今乗り越えた!


「くーくん、十分経ったよ。入れて。」

「ああ、ちょっと待っててくれ。」

そうしてカーテンと窓を開けると心配そうな葵がいた。


「ねぇ、さっきの悲鳴は……」

「気にしないでくれ。それより葵。」

「ん?」

「俺、でっかくなったから!」


葵が頭のてっぺんから足まで見渡す。

「身長は変わってないみたいだけど。」

「そうじゃない、そうじゃないんだ。……フッフッフ、今日はいい日だ~!」

「? 変なくーくん。」


明日からの変態退治も張り切ってやれるぜ!!

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