表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷を買う話  作者: 川木
1/10

1 私INゲーム

 生まれて初めて、ネットゲームと言うものをしてみようと思った。

 別にゲーム廃人ではないけど、昔からゲームは好きだった。人見知りだしと避けてたけど、友達から面白いって!とすすめられて、その気になった。

 ちょっとやってみて、駄目ならやめればいいや。無料だし。友達がやってるのを聞いて、それ以外でいいのを探したけど、かなり手広くやってたせいで、なかなかこれはと言うのが見つからない。


「あー、もう、これでいいや」


 面倒なので、検索結果の100ページ目を表示させて、一番上のを選んだ。よくある剣と魔法のターン製RPGで、最近できたみたいだ。

 説明書は読まないタイプだけど、ざっと最初の方だけ斜め読みする。


 メイン職業とサブ職業を選んでレベルをあげて、スキルを選択していくタイプ。でもスキル自体はレベル30で全スキル取得可能になると。んで、30レベル以上になると上位職とかに転職可能になって、最初に選べる職業は10だけど、最終的には数百種類? 多いなぁ。


 転職したらスキルは使えなくなるけど、ステータスはそのままで、職業を戻したらまた使える。つまり、どんどん色んな職業を極めていって使い分けろってことね。複数極めたら取れる職業とか色々あんのね。

 職業は特にどれがメインサブとか分かれていなくて自由みたいだけど、サブはメインに比べて半分ずつしか経験値が入らないのか。


 で、ステータスは職業によって系統が分かれて、レベルアップ時のポイント割り振りが自動でされるのか。割り振り苦手だし、ちょうどいいかな。うん。

 冒険者としてスタートして、仲間を増やしてギルドを作ったり、働いたりお店をつくったり、自由にできますね、はいはい。


 じゃあ、あとの操作方法はチュートリアルあるだろうし、読まなくてもいいか。とりあえずインストールして、と。


「うわ、インストール時間長っ」


 こんなにかかるのか。……ちょっとコンビニ行ってこようかな。部屋の備蓄おやつももうないし。

 そうそう。ミニ冷蔵庫には新しい炭酸ソーダをいれて冷やしておかなきゃ。箱買いしてる炭酸ソーダの段ボールを覗き込む。おっと、もう最後の一列、てことは残り3缶になっちゃうか。


「……買うか」


 めんどくさいな、と思ったけど、明日から休みだから今夜からじっくりゲームするつもりだし、買っておこう。おやつも多目に。

 なら、行きつけのスーパーマーケットにいこう。自転車を引っ張り出して行った。


 後ろの荷台に炭酸ソーダの入った段ボール箱をくくりつけて、レジ袋三つにつまったおやつを何とかのせて、片手でひとつ持って片手運転てひーこらしながら帰ってきた。しめて3206円。これでしばらくは買わなくていい。


 そしてインストールまで無事に終わり、プレイ開始だ。まずキャラクターメイキングね。

 あれ、種族とか性別とかが選ぶ項目にない。 ふーん? ネットゲームって、普通顔とか髪の色とか色々選べるんじゃないの? 主人公のビジュアルがないとかはありえない。後で選ぶのかな? まあ、とりあえずお試しだしいいか。

 名前は、本名の歩美からとってアユムでいつも固定してるしこれでいいや。職業はー、とりあえずサブは回復ほしいし、僧侶にしようかなぁ。そしたらMP重視ってことで、魔法使いメインにしよう。よし、決まり。次のページ、と。


「ん?」


 物語が始まりますが、本当によろしいですか? はいを押せば戻ることはできません。


 くどいな。いいから早く顔をいじらせろ。イケメンつくるから。

 はいを選択した。


「いたっ」


 何故か突然お尻の下の支えがなくなり、私は勢いよく尻餅をついていた。


「いたた。なに、椅子……」


 思わずつぶった目を開けながらおしりを撫でて、思わず固まる。

 いや、自分のお尻のさわり心地に驚愕したとかではなく。何故か目の前には、パソコンのディスプレイじゃなくて、草原が広がっていた。

 びゅうっと風がふいて、私の髪を揺らした。


 え? ……え? ちょっ、ちょっと待って。何で私、外にいるの?

 え? 何この、木とか、草原とか? は?


「お、落ち着け、落ち着け私」


 これって、今はやりの異世界トリップだかゲームトリップだかなんだかですか?









 私の見た目はいつも通りで、格好もさっきまでと同じジーパンとTシャツだ。さすがにタイミング的にゲームが関係ない神隠しとは思えない。

 とりあえずテンプレに倣って、ステータスとか云々とかやってたら、システムで画面表示された。

 システム内にステータスがあって、そこに名前とか職業とかある。レベル1で、全ステータス値が10……す、少ない。いや、はじめたとこだけどさぁ。

 職業はさっき選んだ通りで、当然現在スキルはなし。


「んんっ?」


 スキル選べないかなーと画面上をテキトーにぐりぐりしてたら、職業が動いた。同時に別窓が開いて職業一覧が出てきた。

 なるほど。複数職業も持てて、サブかメインかは自由に変えられるのか。僧侶メインにして回復覚えた方がいいかな。死んで生き返れるかわかんないし。んー、でもそもそも攻撃手段ないとじり貧なだけだし。んんー。

 と、とりあえず、僧侶にしとこう。やっぱり命は大事だ。て言うか、そもそも戦闘自体避けたいし、レベルあがるかすらわかんないけどね。


「うえっ!?」


 次にアイテムを確認して驚いた。めちゃくちゃ一杯ある。

 初心者向けのアイテムくらいと思ってあけたけど、これは収穫…………ん? よく見たら、これ、私の持ち物? そうだ。衣服とかケータイ電話とか、冷蔵庫もおかしも勉強道具も全部ある。ソートもできるので並び替えて見ていく。

 よかった。とりあえず靴をはいてから見ていく。


 ふむ。どうやら、私の所持品は全部みたいだね。自分で買ったものじゃない自転車とかもあるけど、家族共同で使ってるバットとかスケーターはない。うわ、鉛筆多すぎ。小学生の途中から買ってなかったけど、こんなに眠ってるのか。あ、絵の具も三つもある。最近100均で絵を描こうと思って買ったけど必要なかったか。……まあ、何でも最悪売れるしいいか。重さもないし。

 アイテムに入ってるのは、私だけのものだけってことか。となると包丁もないだろうし。何か武器……あ、そうだ。木刀!


「よしっ」


 あった。あった。中学三年までしてた剣道の防具は、全部お祖父ちゃんの家の倉庫に預けてたけど、私のではあるからか入ってる。

 出そうと思うと右手の中に出現した。よしよし。一応防具もつけよう。面はおいといて、小手と胴と、ついでに役に立つかわからないけど邪魔にはならないし、垂もつけておこう。よし。


 ぶっちゃけ、この胴がどれくらい丈夫かわからないけど、まあ、犬くらいなら大丈夫だろ。


 よし、じゃあとりあえずはどこか、人がいるとこ探そう。


 今は草原と森?の狭間と言うか、ちょっと草が短くなってるから多分道だと思う。ゲーム通りなら近くに始まりの街があるはずだ。


「えっと、こう、向いてたから」


 最初に現れた瞬間は、草原が右手側だったから、こっちが正しい、はず。うん。よし、進もう。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ