第九話「リーアと麻里華と私」 starring愛理
突然のラスボス宣言だったリーアの言葉でしたが・・・
世界を守るための延命処置だったようで
当時、今以上の危機的な状況だった世界を
一時的に安全な状態に凍結したらしい
それが、世界幻想化なんだそうです
だから・・・それをこの世界でも行おうとしている
という事は・・・
この世界も危機的な状況だという事ですよね??
そこをわかった上で、ウォーマリアさんが侵攻という名のきっかけを与えてくれたと
こんな事を色々な世界で行ってきているみたいです
愛理「そもそも、何でそんな能力があるんですか??」
リーア「偶然としか言いようがありません、リーアがリーアになってしまったのも自分の思惑ではないです」
愛理「リーアがリーアになった!? どういう事ですか・・・元々誰だったのですか??」
この質問を頑なに拒むリーアだった・・・
記憶がないというのが、本当の理由なので
別にそのまま答えてくれればいいのでしたが
どうしても、言えない理由があるんでしょう
リーア「まだ話せないのです・・・愛理に意地悪しているのではないことはわかってほしい」
必死に言い訳をしてくれている
そこまでしなくてはいけないのですね・・・女神も色々と面倒です
麻里華「女神同士になると、話は違うようですよ・・・(あたしがこっそりと、情報漏えいさせるから)」
これは・・・!?
私にだけの特別な語らいですよね
これは・・・♥
私を撃沈させるつもりですか!!
愛理「私・・・百合属性はないんですよ!!」
麻里華「・・・そうですか、じゃあ愛菜と“ゆりゆり”するだけです」
挑戦的に妹の名前を出してくるなんて
完全に私の心を読んだ上での駆け引きですね・・・
負け必死の出来レースをするつもりはありません
・・・泣いてリーアを巻き込む作戦もありますが、それこそ面倒としか言えません
愛理「私に勝ち目はないようです・・・麻里華と対立するつもりはありません」
リーア「麻里華は、愛理を掌握に成功したようですね・・・愛理、拒否するならリーアがまだ介入できますよ?? どうしますか??」
愛理「一瞬それを思いましたが・・・もういいんです、愛理は麻里華のモノになります」
事実上の恋人宣言です・・・というか、麻里華の道具でも下僕でも構いません
彼女のために全力でサポートするのみ
それが、自分の出来る精一杯の世界への罪滅ぼしかなと思います
リーア「意味深な言い方をするんですね・・・わかりました、麻里華!! 愛理を捨てたらリーアは本気で潰しにかかりますから・・・特殊権限を駆使してでも」
麻里華「ふふふ・・・未来のことはわかりません、でも愛理に捨てられる場合もありますよ~♪」
愛理「私が麻里華を捨てる?? 言っている意味がわかりません」
あれ!?
話が変な方向になっている気がします
私と麻里華の行く末がメインな感じになっている
どうしてこうなったんでしょうか・・・
リーア「天使となった方々の間違った宝石の転換に関しては、一人一人をサーチしないといけませんので」
愛理「・・・私がしっかりと情報を把握できていれば、こんな無駄な手間をリーアや麻里華にかけずに済んだのですが・・・申し訳ありません」
私は二人に対して、先に謝罪を行った
そんな事はないと言ってくれる気はします
しかし、自分の気持ち的に許せないから
麻里華「愛理の気持ちを考慮して、特にコメントはしないよ・・・」
愛理「ううっ~」
思わず、声が漏れてしまいました
そんなことはないよ的な発言をくれるのではと淡い期待を持ってしまいましたから
ノーコメントと察してもらえるのもいいですが、私としては・・・
リーア「麻里華は、逆にサディスティックな態度ですか??」
麻里華「う~ん・・・そういうわけじゃないんだけど、間違った!?」
天然的な麻里華だったみたいです
では、もう少し麻里華の行動を楽しめるかもしれません
リーア「リーアには正解はわかりません、愛理がどう思うか次第ですから」
愛理「麻里華を困らせたいかも・・・って、私何を言ってるの??」
麻里華「あたしを困らせたい!! ふ~ん、愛理はそんな事思ってるんだ~!?」
ニッコリとしているが、口調が無駄に強い・・・
私のささやかな抵抗だったのですが
これは、少し面白くなりそうです
麻里華「いいよ、あたしも愛理に弄ばれる感じは・・・やっぱダメかも」
急に私の両肩を強く掴み
身体を揺さぶってくる
ほぼ、無抵抗な私に対し・・・こう言い放つ
麻里華「愛理のバカ~!!」
部屋を出て行ってしまう
・・・私、間違ってしまったようですね
これは、本気の謝罪を行わないといけないですかね
リーア「リーア的には、麻里華の一方的な感じでしたが・・・愛理の茶目っ気じゃないですか??」
愛理「・・・実は、本気だったりするんです」
リーア「え!? 嘘ですよね・・・愛理??」
愛理「困りました、リーアは私を助けてくれますか・・・」
私の行動に困惑するリーア
まあ、当然ですよね・・・私も困惑していますから
でも・・・麻里華の怒った感じ、何と言っていいのでしょうか
凄くゾクゾクしてしまいました
リーア「まずは、麻里華の居場所はわかりますので・・・直接、謝罪するのがいいのでは??」
愛理「女神のスキルですか・・・そうですね、私が謝って許してくれるかどうかですが」
とりあえず、麻里華の目の前に移動する
女神というのは・・・デリカシーのない部分を平気で可能としてしまいますね
しかし、逆に女神同士だったら
同じ事が出来るから、ここへ来る事もわかっていたようです
麻里華「・・・時間稼ぎしたかっただけよ、どうせリーアにはバレバレだもの~♪」
怒っているかと思いましたが・・・
ニコニコしていました、どういうことでしょうか??
私は、拍子抜けしてしまって
考えていた事が完全に飛んでしまいました
麻里華「愛理・・・今、言おうとした事忘れたでしょ?? うふふ、あたしの作戦成功ね!!」
愛理「ええ?? どういう事!!」
思わず、声を荒らげてしまった
完全に麻里華に掌握されていたんですね・・・この時、私は把握したようです
愛理「くっ!!」
もう、どうでもいいわ・・・
麻里華に対して、どんな小細工も不要だと言う事がよくわかりました
リーア「愛理?? 大丈夫ですか・・・」
愛理「・・・ええ、何もかも問題ありません」
麻里華「愛理も、理解してくれたようで・・・でも、あたし本気で最初怒ったんだからね!!」
軽く私を小突く麻里華・・・二人共ニッコリとしていたみたいで
不思議そうにリーアが見つめていた
女神であっても、私と麻里華の間の心の通じた対話のようなものを知らないため
特別なリーアだとしても・・・
リーア「麻里華が愛理の心を読み取っているのですね・・・リーアはそこまでです」
流石リーアと言ったところでしょうか
女神の能力を熟知しているから
というか、察して深くは語らないのでしょう
色々な意味で素敵な方です
麻里華「普通に考えれば、わかることですし・・・難しいことはしていませんからね」
愛理「私はコメントしにくいです」
またもやリーアが困惑している
この方は、凄い能力を持っているみたいですが・・・
普通の少女のような、純粋な心なんだろうかと思います
麻里華「そろそろ、各地に移動を開始しましょうよ??」
リーア「移動に関しては、リーアが担います・・・麻里華はまだ負担になるかと思いますので」
愛理「全ての施設の座標は、麻里子のデバイスにデータが入っています」
持っていないリーアにデバイスを手渡す
初めてのアイテムなのに手馴れた感じで、耳に装着している
まあ、耳に装着までは・・・いいでしょう
しかし、何でこれが眼鏡タイプだとわかっているんでしょうか??
私の心を読みましたか??
でも、ここに来ては不自然ですよ
リーア「ジオクロニクルからの参照ですよね、ソウルデバイスの端末の基礎は眼鏡ですから」
麻里子が天使になる前からの開発でしたが・・・
既に女神の一部の能力を発現していたんでしょうね
突拍子もない発明だとは思ってはいました
宝石を使うシステムも
世界を一括にできるネットワークの構築も
極みな科学力を超えた叡智があったから
愛理「ジオクロニクル・・・私も閲覧したいです」
リーア「ある程度でしたら、麻里華を介して可能ですよ・・・それくらいの融通は許されていますし」
麻里華「戦いに勝利するための、でしたら・・・あたしが愛理に教えればいいんだよね??」
リーア「デバイスリンクすれば、直接的に愛理が見ることが可能です」
愛理「必要な時に、お願いします」
話を途中で切り上げて
早速、各国に配置された天使のもとへ移動を開始する
人口の多い都市へ集中して複数の天使を派遣しているので
まずは、大都市から
リーア「ヨーロッパが一番多いんですね・・・アメリカかと思いました」
愛理「北欧に研究所が集中しています、電力消費を重視して人口との対比で配置しました」
単純に人口のみで言えば、アジア圏が圧倒的に多いですが
研究所の比率的にヨーロッパが一番の拠点としました
それでも、アジア圏も相当の天使がいます
それに、国別では日本が一番多いですから
麻里華「何で、日本が最後なんですか??」
愛理「何となくです・・・特に意味はありません」
意味はあるんですが
日本人をひいきしていると思われたくないというのもあります
それに、世界の様子を自分で把握しておきたいというのもあります
麻里華「取材した国でしたら、ある程度わかりますよ」
リーア「宝石は・・・交換分の用意は済んでいるんですか??」
愛理「予備分がありますが、交換用に全てはありません」
リーア「う~ん・・・愛理、それは厳しいかもしれませんよ・・・どうするんですか??」
正直、リーアがどうにかしてくれる部分に少ない賭けのような感じを投じていました
密かにリーアなら宝石を生成できるのではと・・・
麻里華「リーアが宝石作れないの!?」
確実に私の心情を察した発言だった
それか、麻里華も同じように思っていた可能性はありましたが
私と麻里華の質問のようになっている
リーア「・・・愛理もリーアの能力に期待していました??」
率直に思っていましたから
否定することなく、頷きました
リーア「女神は無敵だったりしますが万能ではありません・・・」
愛理「そうですよね・・・私、どう償えばいいの??」
私・・・ダメですね
涙が止まらなくなってしまいました・・・
ううっ、このままでは沢山の人を犠牲にしてしまいます
麻里華「・・・あたし、もう??」
リーア「リーアも・・・この手のサプライズは苦手です」
????
何を言っているのでしょうか・・・
泣いている私を笑顔で見つめる二人
麻里華「愛理・・・リーアのこの言葉を聞いて」
リーア「はい、リーアも限界はありますが基本的に万能なんですよ・・・ふふふ」
私をからかうつもりなんでしょうか
もう、言っている事が理解できなくなってきています
リーア「宝石に関してなんですが・・・リーアが体内で適切な宝石に転換させます、代替えは別の次元から転送します・・・だから、安心して愛理」
麻里華「わかった?? 予備宝石とかもいらないんだよ・・・泣かなくていいの、あなたの責任でもないし・・・リーアが全部やってくれるから」
リーア「ごめんなさい、麻里華が少しだけ黙っててと言い出すから・・・本当にごめんなさい愛理」
私、無駄泣きだったの・・・
漠然としている、まだよく把握できていない
麻里華「愛理・・・後で愚痴は聞きます、仲良しな相手に意地悪したかっただけなの」
リーア「話を付けて頂いて、定期検診という事でリーアが医師として天使化された方の宝石の転換を行いますね・・・正しい宝石の方を含めて全て把握できるようにデバイスに記載しておきます」
そう言うと、この場から消えてしまった
本当に・・・私、悪くないの??
もう、まだ
麻里華「まだ不安?? あたしが疑心暗鬼にさせる事したから・・・だったら、土下座でも何でもするけど・・・それでも許してくれないなら、愛理の好きにあたしをしていいよ」
さっきまでニコニコしていた麻里華だけど
真剣な眼差しで、私を凝視している
さっきから、言葉を発していないから不安そうにしていますね
これは・・・私に意地悪した仕返しになりそう
もう少しだけ、黙っていましょう
私の気持ちの整理も必要です
一石二鳥的な対応でしょうか
嬉しさを倍増させるための作戦かもしれませんね
でも、私の反応が思ったような形ではなかったから
急に真剣になってしまったみたいです
麻里華「・・・ねえ!! 何か言ってよ・・・あたしも泣くぞ~!?」
涙目な麻里華・・・既に泣いているじゃない
私が泣くシチュエーションですよね??
自分が泣くなら、最初からしないで欲しい
愛理「もう少し計画的にできないんですか?? 私が悪いみたいじゃないですか~!!」
麻里華「あたし・・・この手の事苦手みたい、でもね愛理にならできるかなって思ったの」
愛理「特別に私にだけですよ、他で勝手に暴走しないで下さい!!」
麻里華「・・・わかりました、愛理にだけ特別にですね~♥」
涙を拭い、ニッコリと私に微笑みながら・・・キスをされました
このまま永遠に時を止めたいと思ってしまいました
これからの事を考えると、余計に感じてしまい
私が覇者になる事ができれば・・・
この想いを永遠にできるのでしょうか??