声
初めまして、かなゐです。
初投稿となるこちらの作品
【鋼のライオット】
は、SFロボットモノとなっております。
それでは。
今日、俺の運命が変わる。
「…ここは…どこ?」
今日、お前が力を手に入れる。
「力?なんのこと?」
今、言わなくても、あとあとわかる。
「それって…」
俺の運命が、お前の力になる。
「君は一体…」
俺はお前だ。
「僕は君を知らない。」
嫌でも知ることになる。お前には知らなくてはならない権利がある。
「何を知るってのさ?」
お前は、今日を境に………
「それって……」
「どういうこと?……あれ?」
少年は、ベッドの上で呟いた。
「……夢オチってやつ?」
ぐしゃぐしゃの青い髪をまたぐしゃぐしゃにして、少年は着替えようとベッドを出た。
「あ、起きたの?おはよう、コウタ。」
階段を下りてリビングへ向かうところでお父さんが笑顔を向けてきたので、それに応えるよう、こちらも思うようないい笑顔で
「ん、おはよう父さん。」
元気に返した。お父さんはぎこちない感じで笑ってくれた。
朝ごはんも済ませ、通学バスにのり、学校へ向かう。教室に入ると
「おっす!コウタ、今日もクールだねぇ。」
「いつもと変わらないと思うけど…」
「…やっぱ、クールってよりドライ?」
教室に入るなり元気に挨拶してくるスポーツマンな風貌の男はケイト。身長195cmと大きく、運動部かと思ったらまさかの美術部な男だ。
「ケイト、アンタ朝からほんと元気ねぇ…」
「お前らが元気ないだけだろ?」
「アタシらはアンタみたいなバカじゃないから。ね〜コウタ!」
「え、あ、うん。」
「…やっぱり、ケイトとは大違いね〜。」
いかにも皆のツッコミ役風な彼女はミーナ。成績はいつもクラストップで、人当たりも良く、クラスの人気者。
ちなみに、ケイトの成績は学年下位でこのままじゃあ留年必至…コウタは中の上といったところか。
「そういやぁ、ヒズミがまだ来ねえな。」
「ヒズミ君なら、教務室よ。」
「なんで、ヒズミがなんかしたの?」
するとミーナは周りをキョロキョロみまわし、誰もいないのを確認するとちいさいこえで
「実は…今日は転校生が来るらしいの。」
「ま、マジか転校せっ…」
言いそうになるのを即座に口を塞ぐコウタ。
「馬鹿、大声出すなよケイト。」
しばらくジタバタしたケイトを抑えていると
キーンコーンカーンコーン
「…とりあえず、座ろうか。」
「そうだね。んじゃ、コウタ、ケイト。転校生、楽しみだね。」
「俺みたいにイケてる奴かな、俺みたいに綺麗なやつかな?」
ミーナなはケイトをじと目で見た後コウタを見て
「…ケイトは無視して、早く座りましょ?」
…とりあえず、先生の足音が聞こえてくるまでに、なんとかケイトを座らせて、コウタが座った頃には先生が教卓の前でコウタを睨んでいた。
その顔もすぐにいい笑顔になり。
「さーて、今日はお前らの新しい仲間を紹介するぞ。」
その言葉を聞いた教室中がざわめきだした。
先生は教卓をバンッと叩き
「お前らうるさい。…さて、ヒズミ。転校生を案内してこい。」
「はい」
教室の外から、一瞬本当に男なのかと疑ってしまうほどの美少年が、さらにその後ろにいる金髪の少年を連れて入ってくる。
金髪の少年が教卓の前まで来ると、ヒズミが黒板に転校生の名前を書き始める。
「ヴィオラエリアのクアン学館から来ました。ジェリオ・ロウです。ジェリオでも、ロウでも、好きな方でお呼びください。」
そういって、ロウは深く頭を下げる。
一瞬、女子がキャーと言っていた気がする。
まぁ、それはわかる。僕から見ても美少年のくらいに入るだろうと思えるくらいだ。
でも、驚いたのはそこじゃない。
「ジェリオ君は、名前からもわかるとおり、このヒズミ君の弟さんだよ。」
「…私のジェリオが、迷惑をかけるやもしれん…。」
「ヒズミ兄さん、そんな心配はいらないから。」
ヒズミとジェリオの漫才のようなもののおかげで、教室中に笑いが起きたと思ったら
キーンコーンカーンコーン…
そんなこんなで…
ここ、クスノキハイスクールに新しい仲間が加わった。名前を、ジェリオ・ロウ。古来の技を受け継ぐ由緒正しい家柄ということもあって、ヒズミと同じ独特な空気を持つ、金髪碧眼の少年だ。
コウタはあとで話し掛けて、仲良くなろうと思いながら、今朝の夢を思い出していた。
…たしか、ジェリオみたいな声だったなぁ…