エンドレス レクイエム その4
ジャック・ギャザリスと愛馬パトレシア。彼らの戦いは空中で行われた。
[ファー退屈じゃのう。アドニス。適当に起こしてくれぬかのう?][アア。適当にな。じいさん]
仮面邪教僧 処刑人リーパーと神の遣いアドニスは見上げていた。ピクシーがアドニスの近くに寄る。[もうすぐだよ。ホラ、ジャックの命の砂時計があと少し][アア。………ピクシー。もし、もしもだが、邪神の欠片を封印出来なかったらどうなる?][考えない事だね。出来るから、任せたんだ。その数珠を使えるから][出来る?俺が?][ウン。出来る。実際には神々の忘れ物なんだ。返したからね]
邪神封印の数珠?神々の忘れ物?何の話だ?これは俺の試練でもあるのか?インフェルノ様からは何も聞かされて無いが
アドニスは知らなかった。
[全力でいかなくては引きそうにないな。パトレシアよ。ヨシ!体も暖まった。そろそろ始めようか][ガントレッドオーブは貴様ら邪神には渡さん!仮に敗れても次の刺客がいる。俺には仲間がいる。絆がある]パトレシアはアドニスを見た。
………あれは?ピクシー。何をしに…………ジャック・ギャザリスの迎え?
パトレシアはジャックから視線をそらした。
[スキアリ!覚悟だパトレシア!]ジャックはパトレシアに向かって飛んだ。ヒュンと紙一重でかわすパトレシア。スレ違いざまに、ボディーにローブローを当てる。[グフッ……野郎!]ジャックは腹を抱えた。[ホワイトリリー。今の一撃でお前の内臓に死の百合の花をを埋め込んだ。白百合が赤いバラに染め上がる時がお前の最後だ][フン。その前に堕ちれば良い話しよ!喰らえ!エビルショットー!]ジャックは緑色の弾を放つ。パトレシアは弾を避ける。気がつくと懐にジャックがいた。[フン。弾に気をとられて、俺の位置を把握していなかった様だな]マズイ!パトレシアはとっさにムーンサルトキックで距離を取ろうとする。[遅いわ!エビルクラウドー!]二人の間を緑色の球体が包む。[コッ………これは?][フハハハハ………何も見えんだろ?邪神の結界だ!お前はその中から出る事は出来んぞ]ジャックは手当たり次第に弾丸を投げる。[ソリャーソリャー当たれ!墜ちろ!パトレシア][グフッ…………どこから飛んで来るのか見えん]パトレシアはガードをしていたが衝撃で結界の壁まで押し込まれる。[なんて力だ。何とかしなくては。このままでは俺が打ち込んだ白百合が無駄になる。その前に朽ち果てちまうぞ。考えろ。パトレシア]パトレシアはズルズルと後ずさりする。結界の壁に押し当てられ、身動きが取れなくなる。結界はパトレシアに触れ、火花を散らす。[終わりだ。パトレシアよ]ジャックは正面から、残像を残して飛んで来た。[今だ!]パトレシアはジャックの膝をかけ上がり、顎を蹴り飛ばした。衝撃で上に飛ばされるジャック。結界の壁に当り、十字架の様な形でスパークする。[ハァハァ…………ング………後、一撃。一撃だけ力が残されていたら。グフッ]パトレシアは崩れ落ちる。[このまま時間が過ぎれば、奴の白百合も赤いバラに染め上がる。これで良い。何も起こらなければ]ジャックは結界の天井から落ちて来る。緑の妖気をたなびかせて。結界の力が弱まる。
[弱き器よ。お前の死は俺の開放を意味する。これで良いのだ。自由を得た邪神の欠片でガントレッドオーブを手に入れる。
[ホヨッ?時が充ちたか?なら一仕事させてもらおうかのう。ヒョッコラショ]リーパーが立ち上がった。
[今です!アドニスさん!早く数珠を!][………何?数珠じゃと?アドニス。お前は封魔の印が使えるのか?][…………わからない。だが、俺しかいないなら、やるまでだ!][そうはさせぬぞ!数珠をよこせ!][させるか!邪神よ!我が数珠の元に堕ちよ!]アドニスは邪神の欠片に向かい飛び立った。[まさか神の遣いが使えるとはのう。ヤレヤレ、年寄りを大切にセイ!まったくもー]
[アインシャーク!奴等も飛び立ったぞ!なんだ?幻覚か?][………何者なんだ?アイツら?][わからない。いずれにしても俺達の入る余地は無い]
アインシャーク達は今、自分達の縄張りで、目の前で起こっているのか?現状がわからなかった。
古代史、聖騎士ロキ、飛空挺ジュブナイル、邪神の欠片、神々、黄泉。時の魔術師は、全てを繋ぐ点を重ねようとしていた。
続く