浮游城完結編
四人はそれぞれの思いを胸に、ガントレッドオーブを見た。アインシャークの城は天高く舞い上がり全てを見据える様に眺めていた。
一方、ガントレッドオーブを覚醒させ、古代の聖騎士ロキの魂を受け継いだアインシャーク皇帝は、カエサル、レインと共に城を出た。
[聖なる槍が共鳴している。まるで俺達を呼んでいるように][アインシャーク。時が来たのだ。復活の時が。そこに俺達の道があるのかはわからない。だが、切り開く意味はある。そうだろう?]レインが口を開いた。[アア。それが、我が王家に繋がる道なら、この槍が導いてくれる。俺は行くぞ][アインシャーク。付き合うぜ。どうせあんたの家臣だ。付き合うのが筋だろう。レイン。お前は?][神父様も飽きてた所さ。付き合うぜ。俺だけ置いてく訳にはいかんだろ?幼馴染みの俺だけ]槍から声が聞こえる。
[継承せし者たちよ。我が城に案内する。サア、結界の中に入るのだ]三人は寄り添った。
槍は神々しい光を放ち、辺りを包み込む。三人は槍から放たれた光に包まれ、空を飛ぶ。
[二人とも!ワシから離れるな!しっかり捕まってろ!][スゲー!ものすごい圧力だ!体が引きちぎられそうだ]カエサルはアインシャークの槍に捕まり力を込めた。[これが古代の力。研究のしがいはあるな]レインもアインシャークの槍にしっかり捕まっていた。
目映き光の中、三人は新しき城にたどり着いた。
[ここは?][城内らしい。だが、俺達の知る城内とは違うみたいだ]
三人は大きな扉を開け、広い円形の部屋に入る。中には大きなテーブルと豪華なイスがあり、テーブルの上にはダイヤ型の球体が回っていた。
一体のメカが部屋に入る。円柱型のタイヤの付いたメカで、頭らしき物の上にアンテナが立っていた。
三人はイスに座り、そのメカに注目した。しばらく沈黙が続いた。メカは一人一人の近くを回りまるで新しいご主人方の品定めをしているようだった。[初めまして。僕の名前はガイド。ようこそ。ご主人様。飛空挺ジュブナイルへようこそ][アア…………自己紹介をしようか。私は………][知ってますよ。アインシャーク皇帝でしょ。それに家臣のカエサル。それから、神父様のレインでしょ?さっき調べさせてもらったから。アア迷惑だった?][………イヤ。手間が省けてちょうど良い。この城を案内してくれないか?][………この城を?意味がわかりません。ここは飛空挺ジュブナイルです。城はありませんが][アア、スマンスマン。ガイド君。ジュブナイルを案内してはくれないか?我々は何も聞かされていない][そうだよね。ウン。そうだよ。ここが指令室。あらゆる情報がそのダイヤを通じて見えるんだ。スゲーだろ?で、右が食堂。左が格納庫だよ。寝室は][ちょっと待て!一気に紹介するつもりか?案内だよ。案内。このポンコツが!]カエサルは席から飛び上がった。[知ってるよ。ウン。知ってる。カエサルは気が短いんだろ?本当にそうか試しただけ][ケッ………こんな奴の手玉に取られるとは。納得いかないな][ハハハハ。どっちがポンコツかわからないな。カエサル。ホラ。食堂に食い物があったぞ。飯にしよう][………ガイド。格納庫にあるその、アレは何だ?見たこと無いぞ]レインがガイドに聞いた。[アア。それは、小型の偵察機だよ。空を飛ぶんだ。一応、整備はしといたよ。好きに使いなよ][偵察機?………つまり、俺達のマシンか?][さっすが神父様。頭の回転が早いね。どっかのカエサルさんと大違いだ][で、その………ガイドさん。その偵察機の操縦方法は?]カエサルがパンをかじりながら聞いた。[自動操縦だよ。自分が考えた場所に行けるさ。イメージだね][イメージ?………まあ、じきに慣れるな。この天才カエサル様なら][なるほどな。仮面邪教僧がガントレッドオーブを手に入れたかった理由が、わからなくも無いな。実際、俺達が敵に回したら、恐ろしいメカニズムだからな。レイン。研究のしがいはあるだろう?]アインシャークはなんとなく理解できた。[アア。そうそう。ジャック・ギャザリスだ。奴め!何処にいる?こいつでドカーンと、やっちまおうぜ!ナア、レイン][まあ、落ち着けって。確かに手に入れた。だが、それまでだ。使い方も何もかもわからないんだぞ][………そうか。そうだよなー。しばらくは使えないよなー][まあ、良い。早く慣れる方が先だ。この飛空挺ジュブナイルに。第2、第3の刺客が来る前に]
ジャック・ギャザリス、パトレシア、アドニス、リーパーは浮游城からその飛空挺を見ていた。
[オオ。いたいた。パトレシアだ。で、ジャック・ギャザリスね。ン?嘘だろ?アイツの盟友がジャック・ギャザリス?こいつは驚いた。アイツが処刑人ジャック・ギャザリス。アイツ死ぬんだよなー。…………ハーまた、厄介者抱えちまったなー]ピクシーは空から二人を見ていた。
続く