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至上最強迷子-閑話集-  作者: 月下部 桜馬
see's medical counseling
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宰相のカルテ

至上最強迷子の閑話集です

本編とは別に10話に1話ぐらい書ければいいなと思っています

本編ではまだ出てきていない人達ですが、楽しんで頂けると嬉しいです

 私の名前はシフォンレイ・クラスグリム、皆からはシーと呼ばれている。いつも赤い髪を寝癖で爆発させているので別名『ボム』な~んてあだ名を付けられているが、これでもガルフェルド帝国で筆頭医をしている。


 「で、今日はどしたの?」


 目の前にいる暗~い顔した今日の患者はシュバイリヒト・グランロード・レイ・レングランド、愛称『シュビ』と言い、ガルフェルド帝国の宰相。あたしとシュビが同じ年で、皇帝のリュージュが2歳年下。所謂幼馴染ってやつで、相手が偉くなろうが付き合い方はあまり変わらない仲だったりする。彼はつまり皇帝陛下の次に偉い人なんだけど…いかんせん存在感がない。皇帝陛下と同じ血筋なのに、銀糸のような髪の陛下に比べて、いたって普通のグレーの髪が代表的な例なのだけど…

 

 「……胃が痛い。薬を強くしてくれないか…」

 「またぁ?…いい加減薬効かなくなってくるわよ?」

 

 シュビは見た目も平凡でカリスマ性も皆無なんだけど、その分実務能力がとんでもない。はっきりいって今のガルフェルドの繁栄の半分はこの人の政策が無ければ考えられなかったものだし。

 普段のシュビは氷の宰相と呼ばれていて、不正や悪事には容赦なく平気で人を裁けるぐらいの鋼鉄の心の持ち主だったんだけど、今ではうちの常連患者になっちゃってるのよね~。今まで医療部になんて全く無縁の人で、それどころか体調を壊す上層部の人間を見て「日頃の行いを見直せ」なんてきつい言葉を投げかけてるような人だったのに。


 「魔法で痛み止めとか出来ないか?」

 「あのねぇ~そんな事したら、気付いたら吐血の海に居る事になるわよ」

 「………」

 「だから~前にも言ったけど、あんたのは完璧『ストレス』が原因なの。そのストレスの元を断たないと完治は無いっつってんでしょ~が」


 おぉ~蒼い顔色が更に悪くなってくわ…。


 「……それが出来るもんなら…すぐやってる」


 あたしから視線をフイッと外してシュビが拗ねる様な口調で言う。この人がこんな態度を見せるのは限られた人だけで、あたしと陛下ぐらいだと思う。ただ基本この人ブラコン気質の陛下ラブなんで陛下に対して弱みなんて見せないんだけどね


 「毎日、毎日、毎日!!この3年『手配書』の女性が見つかったか?と常に聞かれる身にもなってみろ」


 『手配書の女』それはこの城でちょっとした有名話で、3年前突然、皇帝陛下勅令で発行された初めての手配書だった。

 あたしもリュージュ本人から話を聞いた…というか会うとその話しかされないから、最近はちょっと逃げてる節がある。


 「…あれは呪いだぞ。呪い!」

 「……それはそれはご愁傷様」

 「最近、女性が夢にまで出てくるようになった…」

 「……うわぁ」


 自分がその立場になったらと思うとそれだけで胃が痛くなりそうだった。

 あたしですらそうなんだから、この陛下ラブのシュビが受ける苦痛は…無限大だろう


 「どうやって女性を見つけ出すかを考えるだけで、政務も滞り始める始末だ…」


 どうしてもリュージュの願いを叶えてあげたいのは陛下ラブの彼らしい、だが珍しく弱気な発言しか出てこない。


 「…情報が少なすぎて、手の打ちようがない。くそっ…」

 「あ~…ま、薬出しとくから」

 「…シー。他人事だと追い出そうとしてるだろ…」


 …他人事でいたいですから。えぇ心底それを望みます。


 「まぁ…見つかるとイイネ!」

 「………あのなぁ」


 ウィンクで誤魔化そうとしたあたしにシュビが言葉を続けようとしたら、医療部の扉のノックの音に続いて、バンと開かれた。


 「シュビ様!こちらでしたか!!陛下がお呼びです!!」

 「………すぐ行く。外で待て」


 一度がくっと肩を落としたシュビは「また来る」と言って席を立った。


 それを見送りながらシュビのカルテに「胃痛、完治は暫くかかる」と記入する。




 そして机に肘をついて「早く見つかるといいねぇ」と呟いたのだった

シーは女性です。

本編でも登場する人達ですが、いち早く閑話で登場させました。


同じような説明が本編でも入ると思いますが、ご了承下さい

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