プロローグ
ん? 私の姿が見えるの?
へえ、日本から来たんだ。ようこそマンハッタンへ、そしてイントレピッド海上航空宇宙博物館へ。
そう、私はこの空母、エセックス級三番艦『イントレピッド』の艦魂……まあ空母と言っても今じゃ博物館だけどね。
もう展示は一回りしてきたの? 甲板のコンコルドの中、見た? A-6攻撃機のコクピットには乗った? あ、カミカゼの人たちの手紙は読んだ? 撃墜した日本軍機の数とか、日本人からすれば胸糞悪くなったんじゃい?
あっ、ごめん。外の人と話したの久しぶりでさ、それも日本人だから、ちょっと盛り上がっちゃって。
まだ時間、ある?
じゃあ私の昔話に付き合ってよ。安心して、日本人への恨みごとなんかじゃない。
私は今まで、沢山の人が死んで行くのを見てきた。乗組員の人たち、同じ艦魂たち、私に体当たりしてきたカミカゼの人たち……。
でも私は生き残って、今は博物館として生きてる。なら死んだ人たちのことを、そう、生き様を伝えてあげたいんだ。それがあの人たちのために、私ができることだから。
……ありがと。コーヒーくらい奢るよ。
あれは沖縄上陸作戦の少し前のこと。アメリカ海軍は日本海軍の巨大戦艦が沖縄へ向かうという情報を入手したんだ。そう、かの『ヤマト』だよ。
スプルーアンス大将は戦艦同士の決戦を望んだけど、『ヤマト』たちの進路が不明確だったこともあって、マーク=ミッチャー中将率いる第58機動部隊に攻撃を命じた。私たちエセックス級を中心とした、空母機動部隊にね。
これから話すのは雷撃機乗りとして『ヤマト』に挑んだ、ある復讐者の物語……。
あ、私のことはイシュメルって呼んで。
どうも、艦魂作者で一番のひねくれ者・流水郎です。
以前から温めていた構想、ようやく投稿いたします。
今回は連載ですが、一話一話がかなり短く、三~四話+エピローグの予定です。




