やり直しだ やり直しだ やり直しだ やり直しだ やり直しだ
「…………ちくしょう」
初日の宿。
俺のリセットは、誰かに知られると一番最後にリセットした時間に巻き戻される。
全部、全部やり直しだ。
「ふふ……ふふふ……」
あーあ。
今までの人生、無駄になっちまったよ。
今度はあいつが居ないルートを通るか、速攻で殺さないとな。
あーあ。
また、やり直しかぁ……。
「集落だ」
魔法使いが言う。
「待てよ」
俺が魔法使いの肩をつかんだ。
「よく見ろ」
集落を歩く人影には、角が生えていた。
「……本当だ。ありがとう、勇者」
よし、ここまでは順調だ。
ここは前回着た場所と集落を挟んで反対側。ナキイラヅがいないはず。多分大丈夫……
「やぁ諸君。あの村に興味があるのかい?」
後ろから、少女の声がした。
考えるな。
殺せ。
「おいおい、物騒……」
ザシュッ
俺は振り向きざまにナキイラヅの首を斬る。
本当にあっけなく、その首は飛んだ。
「危ねぇ……」
バレたらまた強制リセット。これまでの努力が全部無駄になるところだった。
自分で言ってた通り弱くて助かった。
「助かった。勇者」
剣士が呟くように言う。
「我には、魔族であろうと敵意のない相手を切ることはできない」
まぁ、そうだろうな。
お前は優しいから。
「仕方ねぇよ」
ナキイラヅは本当に敵意がなかった。
もしかしたら、俺たちの味方になっていたかもしれない。
それでも、出会ったからには殺す以外の選択肢がなかった。
「急ぐぜ」
俺は歩き続ける。
あと少しだ。
あと少しで、魔王にたどり着く。
「魔法だ」
魔法使いが言う。
俺たちの視界……木の葉に隠れながらもかすかに映っているのは、黒い何か。
恐らく、魔王城だ。
「あと少しだ」
あと少し。
死の王にさえ出会わなければ……
「待ちな!!」
一人の男の大声が聞こえた。
「魔王様と戦う前に、俺とやりあおう!」
木の陰から姿を現したのは、平凡な、明日には顔も忘れているような男。
しかし、額から角を生やしている。
魔族だ。
「然の王、アベッキ。名乗っていいぜ、勇者」
また負王角か。
しかもこいつ……強ぇ。
「魔族に名乗る名前はねぇよ」
多分だが、こいつを倒せないと魔王には勝てない。
やってやるよ。
「そうか。勇者……勝負だ」
絶対に、勝つ!!
ポツ……ポツポツポツザァァ……
ザァァァァ……
雨が降り始めた。
「見事だ」
俺以外、全員死んじまった。
剣士も、魔法使いも、僧侶も。
全員、俺を庇って死んだ。
しかし、聖剣は黄金の光を放っている。
でもだめだ。俺一人じゃ魔王に勝てる気がしない。
皆と、一緒じゃねぇと。
「リセット」
やり直しだ。
「どーも。俺が勇者だ。よろしく」
「我は剣士のドゥードゥと申す!よろしく頼むぞ!」
「そ、僧侶の……メリーって言います!よ、よろふぃ……すいません!よろしくお願いします!」
「……魔法使いの、エルファ。よろしく」
今度こそ魔王を倒す。
俺がやるしかないんだ。
俺が、全員倒す。
俺がそれだけ強くなればいい。
聖剣が光る条件を探せ。
これまで、いつどういうときどんなタイミングで聖剣が輝いた?
いつだ?一体……
俺はこれまでの経験を思い出す。
いつだ?一体いつ聖剣が……
分かった。
仲間が、死んだときだ。
…………。
いや、違う。
違うはずだ。そんなわけがない。
もっと考えろ。どうすればいいのか。
でも、最悪の場合……。
山を抜けた森。夜。
俺は、そっと僧侶の首を落とした。
そして魔法使いも、剣士も。
「……よかったぁ!!!」
聖剣は、何も変わらない。
「リセット!!!!」
やり直しだやり直しだやり直しだ!!!
考えろ!!方法を!!
魔王を殺す、方法を!!!
最後まで読んで下さりありがとうございました!
面白かったらブクマ高評価お願いします!




