aespa(エスパ)メンバーの紅白歌合戦欠場の考察~危機管理と文化交流の観点から~
aespaのメンバーが2025年12月31日放送の「第76回NHK紅白歌合戦」を欠場する件について考察したい。
体調不良とする発表には、過去のSNS投稿を巡る世論の反発が関係している。
【欠場に至る経過について:着地点の模索】
今回の、ひとりのみ欠場し、他の3名で出演するという方策は、「番組の成立」と「批判の沈静化」を狙った苦肉の策といえる。
①NHK・事務所双方の妥協点
14万人を超える反対署名や国会での質疑にまで発展した「きのこ雲ランプ」騒動に対し、NHKは一貫して「出演変更なし」の姿勢をとった。今回、本番直前に「インフルエンザによる欠場」という形をとることで、表向きは不可抗力(体調不良)とし、生放送中のトラブルや視聴者からの抗議を可能な限り回避しようとした。
②「全辞退」を避けた理由
グループ全員の辞退は、選考段階でのNHKのミスを認めることになる。また、3人での出演は、パフォーマンスの質の低下よりも、日本市場・ファンへの配慮、出場を優先した結果といえる。
【「説明文」による二段構えの火消し】
事務所およびNHKが発表した説明文には、以下の2つのポイントがある。
① 表面的な理由=インフルエンザ感染
直前の辞退理由として最も客観的な妥当性・正当性があり、追及・批判をかわすのに有効な医学的事実・根拠を前面に出した。これには、不可抗力での辞退という印象を強める狙いと効果がある。
②問題への言及=過去の投稿の説明
この投稿に特定の目的や意図はございませんでしたが、さまざまなご懸念を生じさせるものでした。今後はより細心の注意を払ってまいります。(aespa公式サイトより)
「体調不良」の報告に添え、過去の投稿に対する説明が、ここで初めて公式に述べられた。所属事務所はようやく「さまざまなご懸念を生じさせるものでした。今後はより細心の注意を払ってまいります」と認めた。
しかし、「懸念」や「この投稿に特定の目的や意図はございませんでした」という主張は、これまでのNHKの説明と同じで、事の本質の明確な説明には至っていない。このため、騒動を鎮静化させるための幕引き用の文章という印象を拭いきれない。
③危機管理の難しさ
今回の対応は、「医学的理由」という盾と、「懸念や意図の否定」という曖昧な矛を用いている。戦後80年という節目の紅白で広島出身の司会者が並ぶ中、このような形での解決しか図れなかったことは、「歴史認識」や「SNSリテラシー」の重要性と危機管理の難しさを改めて浮き彫りにした。
このようなケースでの危機管理に必要なことは、真摯な説明と今後の方針を示すことだろう。具体的には、きのこ雲ランプをどのように認識していたのか、日本に落とされた原爆という認識は無かったのか、単に無知に基づくものなのか、などを明らかにすること。原爆によってたくさんの人々が今でも苦しんでいることを改めてしっかりと理解すること。認識を改めた後、これからどのように活動して行くのかを示すこと。それらがaespaの運営側には求められるだろう。厳しい見方をすれば、「懸念」とは相手が(勝手に)抱くものであり、「今後」「より細心の注意を払ってまいります」からは、何に対してどのような「注意を払」うのかがわからない。さらにいえば、この投稿が問題化した2022年当時に、以上のような速やかな対応があれば、今回のように問題が蒸し返されることは無かっただろう。
メンバーひとりの「欠場」という形での曖昧な決着の企図が、今後どう推移するかは不透明だ。
◇aespa公式サイトより
NEWS 2025.12.29
「第76回NHK紅白歌合戦」出演に関するお知らせ
いつもaespaを応援いただき、誠にありがとうございます。
aespaの「第76回NHK紅白歌合戦」への出演につきまして、お知らせいたします。
aespaメンバーのNINGNINGがSNSに投稿した内容について、多くのご指摘をいただきました。この投稿に特定の目的や意図はございませんでしたが、さまざまなご懸念を生じさせるものでした。今後はより細心の注意を払ってまいります。
なお、現在NINGNINGは体調不良が続き、病院にて診察を受けた結果、インフルエンザへの感染が確認され、医師より十分な休養と安静が必要と診断されました。弊社といたしましては、NHKに申し入れを行い、今回の紅白歌合戦にはKARINA、GISSELE、WINTERのメンバー3人で出演させていただくこととなりました。
直前でのお知らせになりましたことをお詫び申し上げます。
何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
(https://aespa-official.jp/news/kouhaku-info/)
◇NHKの発表
aespaの出場について 2025年12月29日
第76回NHK紅白歌合戦に出場予定のaespaは、メンバーのNINGNINGさんの体調不良により、NINGNINGさんを除くメンバー3人で出場することになりました。
(https://www.nhk.or.jp/kouhaku/topics76/topics-251229_2.html)
◇おわりに
欠場するメンバーは中国出身だ。日本と中国はいま、非常に微妙で互いに敏感な関係にある。その最中に持ち上がった今回の問題も、当然その影響が背景にある。
日本への原爆投下という歴史と現在の世界情勢や国家間の思惑により、メンバーはいま、過去の自身の過ちへの「謝罪」という形を非常に取りにくい状況にある。その意味では今回の曖昧な決着はむしろ賢い選択とも言える。
彼女はいつの間にか、歴史と国家の波にのみ込まれてしまったのだ。
その一方で、特に若者たちの反応は、メンバーの過ちを寛容に捉え、その活動をあと押しする言葉も少なくない。ある意味で歴史を超えた、文化交流の重要性と希望を感じる一面でもある。
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