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獣乱のゲノム  作者: 大野 響


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16/17

獣衛戦

 明かりが消えたビルの周りで、大量の大ネズミと巨大なワニが暴れていた。

 ネズミとワニは、店やビルを次々と壊し、人を襲って食べている。

 逃げ惑う人々からは、悲鳴が漏れていた。


 逃げる途中に転んだ若い女性の前に、大ネズミが現れて口を開けた。思わず目をつむった女性の下へやってきたアランは、大ネズミの首をスパッと斬った。


 渋滞する車の上を走って潰す大ネズミに向かって、玄真がショットガンを打った。

 見事命中し、大ネズミは少し暴れてから倒れた。

「よっしゃー!」

 玄真が声を上げた。


 ガクや風人も、大ネズミを次々と倒して行く。 

 大ネズミにショットガンを奪われた真歩の下には、ユリカがやってきてネズミを撃った。

「フフン。ヒロインは、キレイで強くなくっちゃね!」


 大ネズミを倒していたアランの前に、巨大ワニが現れて大きな口をあけた。危うく喰われそうになるのをどうにか避けたが、ワニの尻尾攻撃をまともにくらって吹っ飛ばされた。

 そこへ、大ネズミが口を開けて襲いかかってきた。喰われる、と思ったらミランが空中から撃ったショットガンがネズミの頭に当たって倒れた。


 再び襲ってきたワニに、立ち向かうアラン、玄真、ガク、風人。

 アランがワニの頭に斬りかかり、玄真、ガク、風人の3人がガンを撃つ。

「くっ!固い!頭を斬り落とす前に、俺の手が壊れそうだ」


 アラン達の攻撃を受けたワニは、悶えて体を震わせた。頭に剣が刺さったまま、振り落とされそうになるアラン。

 尻尾の攻撃で、一気に吹き飛ばされる玄真、ガク、風人。


 ワニはアランを倒そうと、近くのビルに突進して背面をビルに叩きつけた。だが、アランはハリネズミのように針を出して身体を丸めることで、自身を守った。

 そして剣を使ってワニを倒し、道路に降り立った。


 そこへ、複数のドローンがやってきた。しかもワニによって壊されたビルが傾き、アランの方へ倒れてきた。


 まずい!とアランが思ったその時、森田と菅原、志穂がやってきてドローンを撃ち落とした。

 アランは針を出した状態で丸まり、転がることで倒れるビルからも危機一髪抜け出した。


「アラン、ミラン!ここから3km先の政府の重要施設にネズミが入ったと連絡があった!そこを守れ!お前達ならまだ間に合うはずだ!」

 

 次々にやってくるドローンと戦いながら、森田が命令した。


「はい!ミラン、行くぞ!」

 アランはミランと目を合わせ、通信機器が示す方向へ全速力で走った。

 アランの足は、いまやチーターと違わないほどの速度で走ることができる。

 翼を持つミランも、当然人より速く飛ぶことができた。


 アランがしばらく走ったところで、大きな施設が燃え、辺りに数匹の大ネズミが警備でもするように蠢いている場所があった。


 通信機器でそこが政府の重要施設であることを確認すると、アランは大ネズミに斬りかかった。

 

 ミランは近くにあった消火栓とホースを使って水を出し、施設の消火を始めた。

(火の勢いが強過ぎる。あ!)

 消火していたミランの目に、火ダルマになりながら何かを抱いて出てくる女性の姿が目に入った。


 火ダルマ状態の女性は、前が見えないせいで転び、持っていた何かが投げ出された。

「危ない!」

 咄嗟に駆け寄ったミランは、その投げ出されたものを両手で受け取った。

 それは、コウモリのような羽根とエルフのような耳を持った、1歳くらいの男の子だった。 

「え···」

 絶句するミラン。


 大ネズミを倒したアランが女性に水をかけて消火した。するとそこにいたのは、獣衛隊の副官、マリだった。

「榎本副官!どうしてこんなところに!?」

 マリが眉根を寄せたその時、施設から男性が出てきて叫んだ。

「下がれ!爆発するぞ!!」


 男性の声の後に施設から爆発が起き、施設が一気に吹き飛んだ。

 爆風を背に、腕に抱いた男の子を必死に守るミラン。

 風によって飛んできた机が、ミランにぶつかりそうになったその時、男の子が泣き出して机がバラバラに壊れた。

 目を丸くするミラン。

 ミランの顔を見て、男の子は嬉しそうに微笑んだ。


 爆風が止むと、先ほど施設から出てきた男性が道路から立ち上がってアラン達のところへやってきた。その男性は、瞬の父、青木曹長だった。

「曹長!大変です!この子、私と同じ羽根が」

 ミランがそこまで言ったところで、青木はミランとアランに向かって銃を構えた。


「その子どもを渡せ。これは命令だ」

「曹長、待って下さい!その前に説明をお願いします!どうしてこの子に羽根があるんですか!?この子は誰ですか!?」

「私がその説明に答える必要はない。早く寄こせ!」

 迷ったミランが男の子の顔を見ると、嫌そうに顔を歪めて今にも泣きそうな表情をした。

「嫌です!この子も嫌がっています!」

 ミランがそう突っぱねると、ふいに声が聞こえた。


「説明は、俺達にもお願いしますよ。曹長」

 そこにいたのは、森田と獣衛隊員達だった。

「青木、もういいわ。銃をしまいなさい」

 濡れた髪もそのままに、マリが青木に命令した。

「しかし!」

「施設は吹っ飛んだ上に、助け出せたのはこの子だけ。プロジェクトは、失敗よ」

 無表情だったマリが、そう言って少し笑った。


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