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獣乱のゲノム  作者: 大野 響


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13/15

ワニ

 波打ち際で、波と戯れて遊ぶミランと瞬。  

 並んで座った二人の手がわずかに触れる。恥ずかしくなって引っ込めようとしたミランの手を、瞬が握った。

 

 瞬はミランに優しく微笑みかけ、ミランも微笑み返した。


 砂浜でキレイな貝がらを見つけ、ミランに渡す瞬。アリガトウ、とミランの口が動いた。


 瞬は飲み物を買おうと、売店に走った。それをぼんやりと待っているミラン。


 海辺には黒い影があった。


 

 自動運転車で海辺に向かいながら、アランはペットボトルの水を飲んでいた。

 隣の森田が口を開いた。

「アラン、オーストラリアと中国の沿岸部で、船の遭難が増えているのは知っているか?」


「たしか、ニュースで見た気がします。でも、船の遭難なら海上保安庁の仕事ですよね?獣衛隊の出番はないんじゃ」


「船を襲ってるのが、恐竜だったら?」

 森田は冷静な顔で言った。


 アランは思わず飲んでいた水を噴き出した。

「恐竜!?いつの時代の話ですか!?」

 森田は口角を上げた。


「冗談だ。だが、最近アフリカ大陸で恐竜を見たという情報が飛び交っている。ネズミが世界中で広まった時も同じだった。今のアフリカ大陸はパンデミック以降、まともに機能している政府が一つも存在しない。テロと内戦で荒れ果てた、まさに無法地帯だ。そんな所でネズミや恐竜が次々と発見されてるのはなぜだと思う?」


「さあ···。俺にはわかりません」

「もちろん俺にもわからん。だから調査する必要があると思ってる。だがその前に、国内の海岸線を調査したい。俺が神経質になってるだけかもしれないが」


 自動運転車から海岸が見えてきた所で、悲鳴がアラン達の耳に聞こえた。

「班長!」

「行くぞ!」



 売店でジュースを買う瞬を待つミラン。嬉しそうに頬を赤らめながら、もらった貝を撫でた。すると、目の前に10mを超える巨大なワニが現れ、大きな口を開けていきなり襲ってきた。


 驚いて固まったミランを助けようと、瞬が走ってミランを突き飛ばした。

 ミランの代りにワニに噛まれる瞬。

 ワニの存在に気付いた人々が悲鳴を上げた。


 そこへ、走って来たアランの針と森田の銃弾が大型ワニの右目に当たった。

 驚いて頭を振り、瞬を吐き出すワニ。


 ワニはやってきた森田を食べようと大きな口を開けた。

 剣で応戦する森田。

「アラン、このロープをワニの口に巻きつけろ!」

 森田がそう言ってアランにロープを渡した。 


 ロープを受け取ったアランはワニの大きさに一瞬躊躇するが、意を決してワニの口に近付いた。


 アランに気付いたワニが、今度はアランに向かって口を開いた。大きな牙に襲われ、アランは咄嗟に避けたが腕に傷を負った。


 ワニがアランを攻撃している隙に、森田が剣をワニの左目に突き刺した。

 両目を攻撃され、激しく首を振るワニ。


 そのワニの口の周りに、ロープをかけるアラン。森田とアランの二人がロープの両端をそれぞれ持ち、素早くワニの口をぐるぐると巻いていく。


 二人がかりでロープを結ぶと、アランはすぐに瞬の元へと駆け寄った。


 瞬のそばには、震えながら止血を試みるミランがいた。

 瞬の胸から流れ出る血を止めようと、両手で傷口に手を当てるミラン。

 ミランの両手が血で染まっていた。


 アランは携帯していた包帯を巻き付けるが、出血量が多すぎて役に立たない。

(だめだ、出血量が多すぎる)


「ミラ···ン。好き···だ」

 瞬はそれだけ言うと、息絶えた。

「いやーーー!!!」

 ミランは絶叫した。


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