表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣乱のゲノム  作者: 大野 響


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/13

小さな決意

 炎天下の中、グラウンドを走る訓練生達。真剣な様子で走っているアランは、ガクと互角の速さだった。


 休憩時間になっても一人で走り続け、ふいに倒れるアラン。


 倒れているアランの額に、湿ったタオルを置く凛。

「アラン君、大丈夫?保健室に行こう」

 間近にある凛の顔に、思わず顔を赤らめるアラン。


 アランは凛の肩を借りながら、保健室へと歩いた。

 保健室に着いてベッドに腰掛けたアランに手を振り、室内から出て行く凛。


 大人しく目立たないが優しい凛のことを、アランは前から好きだった。


 アランがぼんやりと窓の外を見ていると、飛べるようになったミランが羽ばたきながら瞬と真歩に手を降っているのが見えた。


 ガラリと音がして、室内に森田が入ってきた。

「体調はどうだ?真面目に走るのはいいが、無理はするなよ。自分の限界を知っておくことも重要だ」

 森田はアランに話しかけた。


「もっと、強くなりたいです。もっと···」

 アランが小さな声で言った。

「どうした?顔色が悪いな」


「···ミランが、また笑うようになったんです。俺は心配していただけで、何も出来なかったのに···班長の、言う通りだった。いつもそうなんです。優等生なのはミランで、母さんが頼るのはミランだけ。俺が運動会で一等をとっても、そんなことじゃ母さんは喜ばない。いつも、どうすればいいかわからなくて、父親のいる瞬が、みんなが羨ましかった。俺には父親がいないから、班長や瞬のようにはなれない」


 言いながら、アランはいつの間にか泣いていた。


 窓の外を見つめながら、森田が口を開いた。

「俺の父親は、俺が三歳の時に戦場で死んだ。もう、顔も思い出せない」

 アランは驚いて森田を見た。

「え···」


「理想の父親がいないなら、自分が理想の父親になることを目指せばいい。俺は、そう思って生きてきた。残念ながら、まだ妻も子もいないけどな。ハハ」

 最後は茶化すようにそう言って、森田は笑いながら出て行った。


 はっとした表情のアランは、目を見開いたまま固まっていた。



 青空の下、アランと玄真が素手で格闘訓練をしている。

 玄真の拳を、アランが両腕で防いだ。

「やるじゃねーか、アラン。だがなあ、基礎がなってねーんだよ!」


 玄真のスピードある拳がアランの腹に思い切り入った。

 うずくまるアラン。倒れるかと思われたが持ち直し、いきなりジャンプして玄真の背後に立った。それから玄真の足を蹴り、玄真を転ばせる。


 おおーっ!と声を上げる訓練生達。


(俺は変わってみせる。理想の父親(オトコ)に!)

 覚悟を決めたアランが、玄真をまっすぐに見つめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ