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獣乱のゲノム  作者: 大野 響


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実践訓練

 転がってくる急速の大玉に、ガクは剣を突き刺してスピードを止めた。


「よし、止まった」

 爽やかに微笑んだガクの顔に、木製のヤリが飛んできて思い切りぶつかった。


「敵は一体とは限らん!仕留めた後ほど注意しろ!」

 ヤリを投げながら、菅原がガクに注意した。


「次は俺の番だぜ!」

 同じく転がってくる大玉を、玄真が両手で押さえてどうにか止める。


 そこへやってきた菅原が大玉を押した。

 力負けし、大玉に潰される玄真。


 アランは銃で大玉の軌道を変え、降ってくるヤリを針の出た腕ではね返した。

 木刀で襲ってくる菅原に、同じく木刀で応戦するアラン。


 ふいに、志穂の操作するドローンがやってきて、アランの頭に液体をふりかけた。

「うわっ」

 思わず目を閉じたアランの頭に、菅原が木刀を振りかざす。


「痛っ!」

 木刀が思い切り頭にぶつかり、目を回すアラン。


「もしネズミと人間が共闘した場合、恐れるべきは人の使う兵器だ。特にドローンは戦闘時の兵器として、利用される頻度が高い。ネズミと戦っている時も、周囲の気配に注意するように!」


 襲いかかる大玉とドローンに、息を切らす訓練生達。それを見ている森田。


「ミラン、その羽根を使って飛ぶことはできるか?」

 ドローンと格闘するミランに、森田が話しかけた。

 ミランが眉をひそめる。


「さぁ?試したことがないのでわかりません」

「じゃあ、今試してみろ」

「···はい」

 渋々といった様子で返事をしたミランが、背中に力を込めた。すると羽根は大きくなったが、わずかに動いただけだった。


「ついて来い」

 森田がそう言って歩き出し、ミランは後に続いた。

 林に向かってしばらく歩いたところで、森田が足を止めた。そこは崖の上だった。


 森田が急に崖の下へと落ちて行く。

 え、と驚くミラン。


 崖の下にはマットが置いてあり、森田はその上に降り立った。

「ミラン、ここまで羽根を使って降りてこい!安心しろ、この高さなら骨も折れない」

 

 森田はそう言うが、2階以上の高さがあるため躊躇するミラン。

「早く!」

 森田が大声で言った。


 森田に急かされ、ミランはえいっ、と覚悟を決めて飛び降りた。

 すると、ミランの羽根は一気に大きくなりニ、三度羽ばたいてからマットに落ちた。


 ニヤリ、と笑う森田。

 森田とミランの様子を崖の上から見ていた訓練生達。おぉ、という声が漏れる。


「これから毎日、ここで飛ぶ練習をしろ。飛ぶ感覚を体で覚えるんだ」

「嫌です!なんで私だけそんなことしなきゃいけないんですか!?こんなもの、早く無くなって欲しいのに」


 森田の提案を拒否するミラン。

 すると、森田が聞いた。  

「ミラン、空を飛んだことはあるか?」

「空?ないですけど」


「じゃあ飛ぶぞ。瞬と真歩もついて来い」

 さっさと歩き出す森田。

「はい!」

 森田に応える瞬と真歩。


 実はこうなることを見越して、森田は瞬と真歩にあらかじめ声をかけていたのだった。


「ミラン、行こう」

 瞬がミランの手を引っ張った。

 顔を赤らめ、瞬について行くミラン。


 森田は小型飛行機の前で立ち止まると、機内にさっと飛び乗って操縦席に座った。

 瞬と真歩が後部座席に乗り、ミランは森田の隣に座る。


「行くぞ」

 森田の声とともに動き出した飛行機は、あっという間に空を飛び始めた。


 ガタガタ、と揺れる機内。

「うわぁ、キレイ!」

 窓から外を見ていた真歩が感動した様子で声を上げた。


 ミランは怖くて目を閉じていたが、真歩の声が聞こえてそっと目を開けた。すると、窓の外に小さくなった街と青い海が広がっているのが見えた。


 思わず窓に張り付いて外の景色を眺めるミラン。

「ミランはいいなぁ!羽根があれば、いつでもこんな風に飛べるってことだよね!」

 瞬が感動したように言った。


(···いつでも、飛べる) 

 ミランは頭の中で瞬の言葉を繰り返した。


「羽根があってもなくてもミランはミランだし、私にとっては大事な友達だよ」

 真歩がミランを慮るようにそう言って微笑んだ。


(私は、私···)

 窓の外を見つめるミラン。

 ミランの様子をミラー越しにそっと見る森田。 


 小型飛行機が空を飛ぶ様子を、地上から眺めるアランと訓練生達。


 翌日、早朝から崖を飛び降りる練習をするミラン。その様子を見守る瞬と真歩。

 崖から落ちたミランが羽ばたいて少し飛んでからマットに降り立つと、瞬と真歩が駆け寄って喜んだ。


 寝起きのアランが、喜ぶ3人の様子を遠くから眺めていた。



 講義室内で、男性教師が大ネズミについて解説をしている。


「みんなも知っているように、今日本で人々を襲っているネズミは、アフリカ原産のマンモスネズミが何らかの要因で大型化したものと考えられています。このネズミは本来雑食性のはずですが、大型化したものは人間ばかりを襲って食べるようになりました。その凶暴性から、共存は不可能です」


 アラン達訓練生は、暗い顔つきで話を聞いていた。


「問題は、パンデミック以降このネズミが世界中で急速に大繁殖したことにあります。既に世界中の人類の死因第一位がネズミによる食害であると言われており、このペースが続けば将来的に人類が絶滅するかもしれません」


(人類が、絶滅!?)

 アランは担任だった高橋先生のことを思い出し、恐怖で顔を歪ませた。


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