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第九話 試験は本日 〜朝〜
試験本番を迎えた今日この頃。結は緊張で食事を喉を通らないということもなく、いつものように眠そうに米を口に運んでいた。
「ねぇ、大丈夫?」
心配そうに覗き込む母親の顔が右側に見える。こくこく頷いておく。ここで否定してると、問い詰められて、面倒くさいことになる。茶碗の横には複数の御守りが入った、小さな紙袋が添えてある。
髪をきっちり結い上げ、襟を正す。黒い上着に袖を通す。シンプルなデザインのバックに筆記用具を入れ、合格守りを付ける。妹達に,もらった淡い水色の御守りを懐に入れる。
靴を履いて、玄関の前に立つ。息をゆっくり吸って、吐く。そして扉を開く。
「いってきます。」