第十二話 合否 〜前編〜
一人寂しい部屋に結は寝ていた。
(何でこんなことに…)
体温は三十八度以上だろう。熱くて仕方がない。
……
朝、額の熱と独特の気怠さで目を覚ました。ただ喉が渇いていた。けれど、動けない。身体がだるい。布団は被っていない。
結論として、熱を出したのである。大地にはあれだけ健康のことを煩く言っていた者がなんとも情けない。
(多分、ネチネチ言われるわ)
嫌味たっぷりの会話が予想される。苦笑いするしかない。
……
(あー、頭痛いし喉乾いたなー)
動けないまま、時間だけが過ぎていく。何だか体温が上がっている気がする。
「あんた、早く起きなさいよ」
母さんだ。遠慮ない所を今だけは凄くありがたい。
「母さん…お茶…もってきて…」
何とかいうことができた。
「なんでよ」
「熱ある…動けん」
顔を顰めながらも結局持ってきてくれた。緑茶だ。飲んだ後にくる苦味がいいんだよなぁ、と思う。
スッ、と体温計が渡される。大人しく測ることにする。十秒ほどでピピピーと電子音がする。最近のものは本当に凄いとしみじみ思う。そして、想像通り熱があった。
「今日は学校なしね。試験の結果は返って確認ね。」
(そういえば今日だったな合否)
忘れていた。学校に行かなくていいのは嬉しい。三十分くらいの距離を班員を引き連れて学校へ行くのは大変だ。低学年より高学年の方が手がかかるのは、何故だろうか。
その後は、よく覚えていない。何か言っていたような気もするけれど。