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第十話 結果まで
試験は終わった。結は専願で受験している。その為、併願受験者と違い、面接を受けた。かちこちにならないようにしながら、笑顔を張り付けた。それに慣れていない結は自然だっただろうか。受け答えはきちんとできていた…はずだ。国算理社の筆記試験も半分以上は解けているはずだ。ただ、心残りは『検地』を『険地』と間違えて書いてしまったことだ。漢字が苦手なところはいつまで経っても治らない、悪い癖だ。
まぁ、悲観しても仕方ない。よし、忘れよう。そうすることにする。結果は一週間後。それまでは関係ない。
……
とは思ったものの、意外と気にしてしまうものである。元々、受験する気など一ミリもなかった。するきっかけは簡単である。ただ、理由は伏せておく。
(落ちたら、やだなぁ)
学年末も迫り仕事も忙しくなっているのに、一対一で教え続けてくれた教師の両親に申し訳ない。
そして、結は考えることをやめ、重い瞼を閉じた。