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ASTROFUSION  作者: 赤嶺 龍
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第七話


 《Side-ハル》


 「あそこが運搬場だよ…」

 ハルが指し示した眼下には広大な土地に何十棟という大きな倉庫が建ち並び、そこを出入りするトラックの群れが轟音を立てながら走行している。

 その間を縫う様にして、小さな蟻の様な作業服姿の人間があるいは徒歩で、あるいはリフトを操作しながら、倉庫が立ち並ぶ敷地を縦横無尽に行き交っていた。

 そしてその先――――そそり立つ兵装防壁“アイギス”に、今は真っ暗な口―――ゲートが開き、まるで巨大な生物に飲み込まれる小魚の様に、何台ものトラックが吸い込まれては吐き出されていた。

 アイギスに備わった何十という銃座はほとんどがそのトラックに照準を合わせられ、厳重な警戒態勢にある事を無言で物語っている。

 「これ以上近づくと、衛兵に問答無用で捕まっちゃうから、ここがギリギリなんだよね」

 今ハルとゼフェルがいる場所は、破壊された元高層ビルの16階だった。そこから上階には青空が広がるばかりで、上にあったはずの残りの建物はハル達の左で横倒しになっている。

 ゼフェルは腕を組みながら運搬場を見つめ呟いた。

 「――――成程な…」

 「あそこはメテオラだけじゃなくて、アタランテの全物資が搬入されてる場所だからね…。警備もハンパないよ」

 ゼフェルはくるりとハルの方を振り向いた。

 「お前はあの中に行ったことがあるのか?」

 ハルはブンブンと大きく頭と両手を振って、慌てて否定した。

 「まっまさかあ!そ、そんな事しようとしたら死んじゃうよぉ!」

 ゼフェルは搬入場の方に向き直り「だろうな」と、そっけなく言った。

 「わ、分かってんなら聞かないでよぉ~」

 ハルは恨みがましい目でゼフェルを見て言った。

 「アイギス―――か…。人間の技術力の復興はここまで進んでいるんだな。それに…――」

 ゼフェルは視線をアイギスへと吸い込まれていくトラックに向けた。

 「メテオラがその躍進の一助になっているわけか……皮肉なものだな」

 ハルは自分には目もくれずに一人話し続けるゼフェルをもじもじしながら見ていたが、やがて言いにくそうに口を開いた。

 「あのぉ~…、…あ、あなたは何なんですか?に、に゛っ……人間―――…なんですか?」

 ゼフェルはその言葉を聞き、ゆっくりとハル振り向いた。その長い黒髪を風が撫でる様にたなびかせ、ハルは最前と打って変わったゼフェルの雰囲気に本能的な危険を察知し、思わず後ずさった。

 「ぃいいやいやいや!!あ、あなたが何でもあたしいーです!き気にしませんっ!いっ今の質問無し!な―…」

 「……初めて会った時から、気付いてたんだろう」

 ハルはさらに後ずさりながら、必死に首を振った。

 「ナナナ何ノコトデショウッ!?ナ、何イッテン…」

 瞬間、ハルの視界からゼフェルの姿が消えた。


 「…俺が“ヒューマノイド”だという事が」


 ゼフェルはハルのすぐ背後の耳元で囁いた。

 ハルの全身が総毛立ち、前方に逃げようとした―――が、その首をゼフェルが後ろから片手で掴んでハルの動きを完全に封じた。

 ゼフェルは改めてハルに顔を近づけながら、冷たい声で訊ねた。

 「―――…で?どうする。トリプルS級の“獲物”を目の前にして」

 ハルは青ざめてガタガタと震え出し、目には涙があふれてきた。

 「ぁう…あ…―」

 何か言わなくてはと思うのに声が出てこない。ハルが自身の死を予感した、その時。


 「――…だから、他人に余計な事は言うな」


 その声と共に、ハルの体はトンッと前方に突き放された。トトトッと二、三歩前のめりになりながら、ハルは鳩が豆鉄砲を喰らった顔で後ろを振り返った。

 「…な――ーなんで……?」

 ゼフェルは面白くもなさそうな顔で答えた。

 「お前なんぞを、口止めのためにわざわざ殺す必要もない。俺は残虐な殺人マシーンではないからな」

 「でっでもだっ、誰かに話しちゃうかもしれないよ!?あああたしテンパると何を口にするか…」

 ゼフェルは度し難い下等生物を見るような目でハルを見ると、盛大なため息を吐いて頭をわしゃわしゃと掻きむしった。

 「お前はっ…――呆れたど阿呆だな!!わざわざ死に急いでどうするっ!!」

 「びゃあっ!?ちち違いますいま、今のは…っ!」

 「――ーあのなぁっ!!」

 「びあっ…!?」

 ハルはビクリと竦んだ。

 「お前はとんでもなく間抜けで、たかだか虫一匹で他人の命令に意のままに従う、生まれながらの下僕の様なとてつもなく情けない人間だっ!!」

 「はぐぅ…っ!!」

 ハルの心はその容赦無いハンマーの一撃の様なゼフェルの言葉で粉々に砕け散りそうになり、思わず自分の胸を押さえて衝撃に耐えた。

 「どうでも良い事ですぐ泣き喚き、無様な醜態をひんぱんに晒す!!」

 「ぐうぅ~~…も゛っもう…」

 やめてぇ、というセリフはゼフェルの次の言葉でかき消された。

 「更には注意力散漫で、臆病なくせにふてぶてしく、何かあるとすぐにテンパっては奇声を発するっ!!」

 ハルはズガァアアアンッ!!!とショックを受け、そのまま白化した状態でガクリとくずおれた。今日初めて会った人間に――…ここまで自分の性分を見抜かれ、かつここまでコキ下ろされたことは生まれてこの方無かった。

 もう、もう生きていけない…、ハルがそう思った時。

 「――――…だが、余計な事を他人に話し波風を立てるほど馬鹿ではないだろう。……お前は馬鹿が付くほど、お人好しそうだからな」

 ハルは思わず顔を上げ、フイッと顔を背けているゼフェルを見つめた。

 「…… …… …… …… ……………え?今の発言、一体どこが褒めてるんですか?」

 ゼフェルはその言葉にビキィッ!!と青筋を立てた。

 「ほぉお~~うそうかっ!!人がこれだけ慈悲深い心を示しているというのに、全く分からんというんだな!!なら仕方あるまい、一思いにお前を―…」

 「ぎゃあああああああああっ!?分かりました分っかりましたぁあっ!!すっごく嬉しいですぅうっ!何だか分かんないけどよく身に沁みましたあ~~~!!」

 ハルは頭を両手で庇いながら必死に叫んだ。

 「…チッ!初めからそう言っていればいいのものを、全く世話の焼ける…っ!」

 「しゅ、しゅみましぇ~~ん…」

 なぜあんなにこき下ろされ、心に深いダメージを負った自分が謝らねばならないのか。ハルはいまいち納得出来ないまま、とりあえず命を奪われることは無いと理解しホッと胸をなでおろした。

 ハルは改めて不機嫌そうな顔で腕を組み、搬入場を眺めているゼフェルを窺い見ながら意外に感じた。

 (――――…人型ヒューマノイドって…メテオラの最終形態…だよね。もっとこう…非人間的っていうかーー…すっごぉおお~~っく!!怖い存在なんだって思ってたのに…)

 メテオラは能力も力も、進化の道筋を辿るに従って強大になっていく事が判明している―――ということはその最終形態として、数十年前から都市伝説の様にその存在を噂されている“人間形態”ならどれ程の強さなのか、ハルには想像すら出来なかった。

 (でも…何か、普通の…ーー)

 ハルなどきっと虫ケラの様に見えているはずなのに、ゼフェルはなぜかハルを殺そうとしなかった。考えてみれば、本気で言うことを聞かせたいならいくらだって方法はあったのに…あの時ゼフェルはハルに報酬を切り出してきた。後になって反故にするつもりなのかもしれないが、ハルが泣いてパラテオラの命乞いをした時も、結局は誰も殺さなかった。

 もしかして――――もしかすると、この目の前の人物…いやヒューマノイドは“良い人”なんじゃ……?

 ハルはそう思い掛けたが、自分に対するゼフェルの今までの傍若無人なあれやこれやを改めて思い出し、激しく首を振って慌ててその考えを吹き飛ばした。

 「おい、そろそろ…」

 「そんなわけ無い無いっ!!あんな人を下僕のように扱う人が良い人なわけ無いっ!!悪魔っ…ーーあの人は悪魔ぁあっ!!」

 叫んだと同時に、ハルはゼフェルのまさに悪魔のような視線にぶち当たった。

 「びゃあああああああっっっ!!!」

 ハルは泣きながら、生物とは思えないスピードで後ずさった。

 「ちちち違うんですこっここれは、これはぁあ…っ!!」

 両手と首をめちゃくちゃに振りながら、さらに後ずさろうとするハルに、ゼフェルはまさに悪魔のようなドスの利いた表情になりながら口を開いた。

 「ほぉ……どうやら本当に死にたいらしいな、貴様」

 言うなりゼフェルの姿が一瞬消えたと思ったら傍らに出現し、やおら襟首を掴んでハルをもの凄い力で引きずり駆け出しながら、そのまま16階のビルの上から―――ーー“飛び降りた”。


 「うぅぎゃああああああああああ~~~~~~~~~~っっっ!!!」


 ハルは絶景の中、涙と鼻水を大量に撒き散らしつつ絶叫を上げて落下した。

 「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅううう――――――っっっ!!!」

 テンパって叫び続けるハルの襟首を、ゼフェルはポイッと放し空中へ投げ出した。

 凄まじいスピードで近づいて来る地上にハルは“あっ…もうダメ…―”と自身の死を悟った、次の瞬間。


 ーーーー…ッボヨヨヨォオオオンンンッッッ!!!


 「―――…ッ!!?」 

 ハルの体は見えない力で、まるでトランポリンで遊んだかのように高く弾んだ。

 そのまま続けざまにハルの体はボヨヨォ~ンッ!!と弾み、ボヨンボヨンボヨヨォン…ッ!!と実に間抜けに弾み続けた。

 「―――ぶふぅっ!!」

 呆気に取られて弾み続けているハルの耳に声が届くと「あはははははっっ!!」と、続いて堪え切れないような爆笑が響いた。

 魂の抜けたハルが振り返ると、傍らの地面に何事も無く着地していたゼフェルが腹を抱えて笑っていた。

 「――――…?…」

 ハルが自身の体の下をまさぐると、細かく透明な柔らかい“糸”が、まるで網のように広がってハルの体を包んでいた。

 ハルは遅れてやって来た震えに全身をわななかせた。

 「…ひっ…―――…ひ、ひどぃいいいっっっ!!!ひどいひどいひどいよぉお…っっ!!しっ、死んだって思ったじゃんかあっっ!!ゼ、ゼフェルの馬鹿あっ!!鬼ぃいっっ!!人でなしぃい~~っっ!!」

 ハルは網の中で体をジタバタさせながら泣きわめいた。

 「俺に失礼なことをほざいた罰だ。…あー楽しめた」

 満足そうに鼻息をもらしてゼフェルはうなずいた。ハルは網の中で体を丸めてシクシクと泣き出した。

 「うぅ~…もうやだぁ~~、もうこんなのと関わりたくないよぉお~~…」

 「16階を降りる手間が省けただろう―――ーアイギスの視察はもういい。上から見た分で十分わかったからな」

 ハルは網に包まれながらガバッと顔を上げた。

 「じゃあもういいのっ!?いいんだよねっ!?」

 その瞳はキラキラと輝き、解放される期待に満ち満ちていた。

 ゼフェルは斜に構えた態度でハルを見「―――…まあな。そろそろ時間も昼だ」と言った。その途端、ハルが自分のW・PCをみて顔色を変えた。

 「ぬわわぁああ~~っっ!!11時20分じゃあんっ!?スイに怒られるうっ!!遅れちゃうう~~~っ!!」

 ハルは網を掴むやいなや、画面の早送りのように素早くそれをよじ登り、網から脱出すると同時に猛ダッシュで砂けむりをあげて駆け出した。

 「おいっ…!」

 ゼフェルが呼びとめる間もなく、ハルの姿はすでに小さくなっていた。

 「――ー…あいつは馬鹿か…。人質の虫はどうするんだ」

 ゼフェルは呆れ果てたように呟いた。



 《Side-スイ》


 狭い路地を何度も曲がりながら歩いていくと、道路の先に“クジラ亭”が見えてきた。

 まだ12時前なのに、すでに数人が順番を待っている。スイは辺りを見回してハルが来ていないか確かめたが、姿は見えなかった。

 「…ハル、まだ来てないな」

 「スイは、その子と親戚か何かなの?」

 「え?いや違う。あたしとハルと、この店で働いてるヨシノは皆難民みたいなもので、小さい頃から3人一緒だったんだ」

 「そうか…小さい頃から女の子3人で…―――大変だったろうな、こんな時代だから…」

 「あ~…まあ、ね。アキト、ハルが来てないから、悪いけど列に並ばないでもいい?」

 スイはあまり、その話題を深く掘り下げたくなかったので話を変えた。

 「ああ、もちろん…――でも、良い匂いだなぁ」

 アキトはそう言いながら、深呼吸してクジラ亭から漂ってくる食事の匂いを吸い込んだ。

 「じゃ、暑いからこっちの…」

 スイがそう言いかけた、その時。


 「スぅうィイイ~~~~~~っっっ!!!」


 叫び声とともに、猛スピードでハルが駆けて来た。

 「ッ!!――も、もしかして、あの子…?」

 ギョッとしたアキトが見る間にハルはやって来て、2人の目の前で横にスライドしながら急停止した。ハルは息を切らしながら、必死な表情で喋り出した。

 「はぐあ゛っ、ぅあの゛っぞのお゛っ…がっア、アグジデンドぅお゛がっ、あっ――…ぐぇっふぉ!!おぶぉ…っ!!!」

 言い切る前にハルは盛大にむせてしまい、スイはそれを見て軽く呆れた。

 「もう…落ち着いてハル。ゆっくりでいいから」

 「はっ、はひぃっ!スゥ~~ハァ~~ッスゥウ~~~…ぁえ?」

 深呼吸したハルはその時やっとアキトの存在に気づき、深呼吸の途中のままピキィッとフリーズした。

 「こ…こんにちは…」

 アキトがおずおずと挨拶するとハルは固まったまま訳も分からず頭を下げ、そのまま“何?この人”という表情でスイを見た。

 「いいからまず列に並ぼう。説明はそれから」


 「でぇええ~~っ!?行き倒れぇっ!?」

 クーラーの効いた涼しい店内にハルの大声が響いた。

 「ちょ、ハル!声、声大きい」

 ハルは慌てて手で口を塞いだ。

 3人は4人がけのテーブルにつき、スイとアキトが向かい合い、ハルはスイの隣の席に座っていた。

 「あ、あたし…行き倒れの人って初めて見たぁ」

 スイはハルのそのあまりに間抜けな発言に脱力しながら、言葉を継いだ。

 「そ。だからG・O・Cの寮で世話になるんだ」

 「ふ~~ん…何で目を隠してるの?」

 真顔のハルが無邪気に質問した。

 「――ッ!!い…いやあのっ、ここれは…」

 「ハルっ!!」

 スイはハルの唐突すぎる質問に思わず割って入った。ハルは空気の読めないこうゆう類のことをよくやらかしてしまう。

 「色々理由はあるだろ!?初対面の人に失礼だよ、ハル!」

 実はスイも気にはなっていたのだが、空気を読んであえてスルーしていたものを…。ハルは自分がやらかしたことを悟り、一瞬で真っ赤になるとアワアワと弁解した。

 「あっあ、そそうですよね!?もんのすごいギョロ目とかっ、見たら卒倒するくらい怖い目とか―…」

 「ハルっ!!!」

 ひゃあ~~っ!と今度は真っ青になってアワアワするハルを代弁して、スイはアキトに謝罪した。

 「ごめんアキト、この子ちょっと空気読めなくて…!決して悪気があって言ってるんじゃないから、それだけはほんとだから!」

 「いっいや、いいんだ。その…ちょっと理由があって、あまり人に見せたくなくて…」

 「ほら、ハルも謝るっ」

 「ごごごめんなさぁあい!す、すいませんでしたぁ!」

 ハルはガバァッ!と勢い良く頭を下げた。するとそこへ、


 「お待たせしましたあ!ポークソテー定食のお客様ぁ?」


 ウェイトレスの女性が料理を運んできた。

 「は~いっ、あたしでぇえすっ!」

 さっきまでの反省した態度をかなぐり捨て、ハルは表情を輝かせ威勢よく手を挙げた。

 「ハルぅ…」

 そのあまりに現金な態度に、スイは頭が痛くなる思いがした。

 「うわ~美味そうだなぁ」

 アキトは失礼な質問をされたことなど無かったかのような大人な態度で、ハルに話し掛けた。

 「うん、おいしいよぉ。クジラ亭のは何でも美味しいから、あたし大好き!」

 「じゃあ…俺の頼んだ特盛ハンバーグ定食も、期待出来るかな」

 「出来る出来る。本当にでっかいから」

 ハルは嬉々として、早速分厚いポークソテーにナイフを入れながらそう答えた。

 (あれ?…珍しい。人見知りなんだけどなハル…)

 スイは意外な思いで2人を見た。

 「…そういえばハル。おなかの具合悪いって言ってなかった?そんなの食べて大丈夫なの」

 ハルは途端に口に入れたソテーを詰まらせ、激しくむせた。

 「ッゴフォッ!!、エフォッ!!グェフォ…ッ!!」

 「ハル!?んもう…っ何やってん…」

 ハルは慌てて水をグビグビ飲んでからやっと落ち着いた。

 「はぁ…っ死ぬかともっだあ…!…う、うん、だ大丈夫!少しおかしいなってくらいだから…っで、でも午後の狩りはほんとに…」

 「分かってる。私も今日は午前中の狩りでかなり消耗したから、午後の狩りはやめて家に帰るよ」

 「えっ!?そ、そうなんだ…」

 「だから一緒に帰れるよ」

 「…っ…!…あ、いやそのぉ~…」

 「スイ、もう一人の子はウェイトレスしてるの?」

 ハルが言い淀んだその時、アキトが質問してきてスイはそちらに気を取られた。

 「あ?ううん、ヨシノはコック。厨房で働いてる―――…ほら、あの若い子がそう」

 ハルは二人を尻目に密かにホッと胸を撫で下ろし、食事を再開した。スイが厨房を指し示すとアキトが振り返り、中で忙しく働いているヨシノを見つけた。

 「ああ本当だ。…凄いな、皆立派に自分の仕事見つけてるんだ」

 その時、厨房にいたヨシノがスイの視線に気付いたのか顔を上げた。スイが手を上げると、ヨシノは微笑みながらうなずいた。

 「今の時代、子供だって働かなきゃ暮らせない世の中だからね。…でもヨシノは良かったよ、良い職場が見つかって」

 「――ー俺も、これから頑張りたいよ。ソウジさんと話したけどすごく頭が切れて、並みの人物とは思えなかった。あんな人が副団長なんだから、G・O・Cはきっと良いハンターギルドなんだろうな」

 「ッ!!ソウジさんと会ったの?スイ」

 ハルが顔を上げて喋った。

 「うん。今回の仕事褒めてくれた」

 「えぇ~いいなあ~」

 「G・O・Cは本当に良い組織だよ、アキト。でもG・O・Cに入ったなら、気を付けなきゃならないこともある」

 「何を?」

 「――…“ギルガメシュ”に目を付けられる」

 「ギルガメシュ――…確か団員の人が言ってたよな、臓器売買されるとか…。そんなに怖い組織なのか?」

 「あれは半分冗談だけど――ーでも、この街のNo.1ギルドで…しかもG・O・CはNo.2だからさ、何かとしのぎを削ってるんだよ、お互い」

 「そうか…――分かった。気を付けるよ」

 「そうだよっ、気を付けたほうがいいよっ!あの人達陰湿だから、陰湿ぅう~~~っ!!」

 ハルはそう叫んで、フォークとナイフを持ったままブンブンと振り回した。

 「ちょっとハル、危ないっ!」

 「ど、どうかしたのか、ハル」

 ハルは目に涙をためて、悔しそうに両手を握りしめた。

 「うぅう~~…」

 「いや…、ギルガメシュの奴等にハルが嫌がらせ受けてさ。それでちょっと、厄介ごとに巻き込まれてるんだよ」

 「そうか…」

 「でもそれも今日で終わるよ、なっハル!」

 ハルはそれを聞いて途端に青い顔になり、ズドォオ~ンッと暗くなった。

 「ブラスカ~…」

 「だぁからそれは、私がいるから…」

 「特盛ハンバーグ定食のお客様ぁ?」

 ウェイトレスがやって来て話は中断された。

 「あっはい。―――…うわ…っ」

 返事をしたアキトの目の前に、デミグラスソースのたっぷりかかった大人の掌サイズのハンバーグが、鉄板の上でジュワジュワと音を立てながらデンッと置かれ、次いでサラダにスープに大盛りの御飯と次々にテーブルに添えられた。

 「すっげぇ美味そう。あ~腹減ってたんだあ」

 「ね?ね?でっかいでしょ?」

 ハルが勢い込んで言うと、アキトははしゃいだ様子で肯いた。

 「本当だ、食べごたえありそうだよ」

 そのすぐ後にスイの頼んだ海鮮パスタが運ばれてきて、3人はしばらく食事に没頭した。


 食事を終え、飲み物を飲みながら満腹感を満喫していたハルとアキトを横目に、スイは気まずげに少し躊躇すると思い切ったようにハルに話しかけた。

 「あのさ…ハル。今回の仕事でちょっとトラブルが起こって―――…その…ごめんっ!!」

 スイは深く頭を下げた。

 「ふぇっ?何、どうしたのスイ」

 「実は……」

 スイはホルダーから“それ”を外し、ハルの目の前に置いた。それを見たハルの目が、目ん玉が飛び出るのではないかというほどひん剥かれた。


 「そ…っそ、そ……蒼龍そうりゅうぅううう~~~~~っっっ!!!」


 店中に轟く程の大声を上げたハルは、亀裂の入ったその自作の銃を持ち上げた。ハルの目にはたちまち涙が盛り上がり頬を流れた、ついでに鼻水も。

 「う゛ぅえ~~…な、なんて可哀想な姿にぃい~~~っ!!」

 「ほんっとうにごめんっ!!融合体の攻撃を防ぐ時に当たって…でも、蒼龍がいなかったら多分…私がやられてた」

 涙塗れのハルは、蒼龍に頬ずりしながら盛大に嘆いた。

 「痛かったよねぇ゛え゛え~、う゛ぅっ…!!でもスイを助けてくれてありがとねぇ~蒼龍ぅう~~~っ!!」

 その光景はかなり異様で、店中の視線を痛いほど集めた。アキトは呆気にとられながら口を開いた。

 「その…銃にそこまでするものなのか?また買い直し…」

 それを聞いたハルの目がギランッ!!と瞬いた。

 「蒼龍をぬわぁあんだと思ってんの、アキトっ!!」

 「え、銃…」

 「全っっ然違うよおっっ!!!蒼龍は…っ!あたしのパ…」

 「わぁあ―――っ!!ハル落ち着いて!!店の人が迷惑がってるからさっ、少し落ち着…」

 パラテオラのことを大声で言おうとしたハルを、スイは必死に止めようとした。

 「スイのせいじゃんっ!!スイが蒼龍をこんな風にしたから…っ!今日はこの子達大変な目に逢ってばかりなんだよ!!人質にされたりっ、人質に…―」

 「それはごめんっ!!申し訳ないとしか言えない。けど…」

 「ハル、スイどうしたの?」

 その時ヨシノが心配気な顔で、わざわざ厨房を抜けてやって来た。

 「…ッ!!ヨシノっ!大丈夫、ちょっとハルが興奮しちゃって。すぐ出てくから、アキトごめん、いいかな?」

 「ああ、俺は全然いいよ」

 ヨシノはアキトに気付くとスイを振り返った。

 「スイ、この人は…?」

 ハルはその傍らで、視線を宙に向けたまま呟いた。

 「…――ーあれ?…何、か…忘れて…」

 「ああヨシノ。今は詳しく説明出来ないけど、G・O・Cに入ったアキト。アキト、彼女がヨシノ。ハルと私の3人で一緒に暮らしてるんだ」

 「初めまして。スイに命を助けてもらった縁で、今ここにいます」

 「まぁ、そうですか…スイがお世話に…」

 (ちょっと何この、お母さんが娘の知り合った男性にお世話になってます的な…!)

 スイはそんなことよりと、ハルの事が気になってチラリと横目で伺いギョッとした。ハルは真っ青に蒼褪め、あまつさえブルブルと全身を震わせているではないか。

 「ハルぅっ!?ご、ごめん、本当に…」

 「…やっちまった…」

 「は?」

 「やだハルどうしたの!?顔が真っ青じゃない!?」

 ヨシノとアキトもその様子に気付いた。


 「…や…やぁっ――…やぁあっちまっったぁああああ~~~~~っっっ!!!」


 ハルは絶叫した。


 スイとヨシノはクジラ亭の従業員一同とお客さんに平謝りしながら、会計を済ませてとりあえず店の外へ出た。

 「ヨシノ、店へ戻りなよ。仕事中だろ」

 「でも…ハルが…」

 ヨシノは気遣わしげにハルを見た。ハルは真っ青な引きつった顔で「悪魔のとこに…忘れてきちまった…やっちまった…」と、ブツブツと薄気味悪く一人で呟いている。

 「あぁ~私が対処するから。ほら、さっさと行った行った」

 「うん…―――っあ、スイっ!!凄いのよ、午前中にあのジュンイチさんがクジラ亭にやって来たのっ!“化神けしん”のジュンイチさんよっ!!」

 ヨシノは興奮も露わにしてスイに喋り、スイは目を真ん丸にして驚いた。

 「―――…え…?それ冗談とかじゃ…なくて?」

 ヨシノはうんうんと何度も肯いた。

 「ジュンイチさん、しばらくこの街にいるんですって。だからね、滞在してる間にスイと会ってくれませんかってお願いしたら――…会っても良いって!」

 それを聞いたスイは、見る間に頬を上気させた。

 「――…う…そ…マジでっ…?」

 “あの”ジュンイチと…?自分にとっては伝説で…神のごとく雲の上の存在のあの人と…?スイの頬が勝手に緩んでその顔に笑みが広がった。

 それを尻目に―――傍らで全身を硬直させながら、アキトは頭を押さえて呟いた。

 「…ジュン…イチ――…?」

 次の瞬間自分の意思とは関係無く、アキトが見たこともない記憶が次々と頭の中にフラッシュバックした。


 何人もの人間が無残な死に方で倒れている――――それを見つめ笑っていた“自分”の耳に不意に声が聞こえた。


 『酷いことをする―――…お前その姿、“亜人種型デミ・ヒューマノイド”か』


 振り向くと、擦り切れた黒い野球帽を被った短髪の男が、柄の長い大剣を携えながらこちらを琥珀色の瞳で見据えていた。自分は男の強さを瞬時に悟り―――狂喜に任せニィイッと、口が裂けるような笑みを浮かべた。


 辺りは、爆撃にでも晒されたかのように地形が一変していた。

 自分は荒い息を吐きながら、何とか立っていた。体のあちこちから体液が流れる感触がする。それでもなお自分は全身で喜びを感じていた。

 対する短髪の男もまた同じ様な有様だった。帽子を無くして素顔が現れ、頭から流れ出た血が男の顔を濡らしている。男の瞳は初めに会った頃の温かみのある琥珀色から、中心が赤みがかった人間味の薄い金色へと変化していた。

 『あぁ…お前は強い“アエシュマ”。けど…―――俺も“化神のジュンイチ”と呼ばれる身なんでな…』

 男は言い、見る者を思わず怯ませる様な獰猛な笑みを浮かべた。

 『……負ける訳にはいかねぇんだよ』


 男は言葉とともに―――大剣を手放した。


 男の体が鈍い音を立てながら巨大化していく―――皮膚が金属へと変化し、全身を漆黒の装甲が覆っていき――…それは…ーーー“その姿”は――ー…

 

 「アキト?」

 

 アキトはスイの一言で、一気に現実へ引き戻された。

 「…あ…」

 目の前のスイは明るい表情で、アキトを見上げて言った。

 「アキトもジュンイチって知ってたか?凄いだろ!“化神”なんて言われてる人と会え…」

 「あの…っ!!俺っ…ちょ、ちょっと買い物のほうに行ってくるよ。あの…場所っ、教えてもらったから…っ」

 「…?あ、ああ別に良いけど――…」

 「じゃ、じゃあっ!ほほんとありがとう、スイ。ハルも、ま、また…っ!」

 そう言うと、アキトはまるで逃げるようにして立ち去ってしまった。スイはハルと二人取り残されて、ポカンとしながらその遠のいていく背中を見送った。

 「――ーな…なんだよあいつ…」

 スイは何が何だかわからないまま、でもすぐに思いはジュンイチと会えるという事実に立ち帰った。

 「凄い…あのジュンイチと会えるなんてっ…」

 会った時のことを思うとスイは今から緊張しそうで、慌てて今の現実へと半ば無理矢理頭をシフトさせた。

 「ハルっ!さっきから何テンパっ――…ぅ゛おっ!?」

 スイが振り返るとそこだけ異様に暗い空間が広がり、地面にうずくまったハルがドヨ~ォオンと地面を見つめ俯いていた。ヨシノはジュンイチとのことを報告した後ハルを心配気に見ていたが、スイが半ば無理やり仕事へと戻らせた。

 「ハル――…クジラ亭に来た時、“アクシデントに遭った”って言ってなかった?…何があったの?」

 「――――…し、信じてもらえるか分かんないけど…」

 「信じるよ。ハルが嘘つけるほど、器用じゃないのは分かってるし」

 ハルは救いを求めるように潤んだ瞳でスイを見上げた。

 「会っちゃったの…―――その、…ヒュ、ヒューマノイドに」

 「―――ッ!!…何でそんな大事なこと今まで黙ってたのっ!!?」

 「う゛ぅう~~~…だってあたしだって、訳も分かんないまま無理やり街の案内に連れ出されてぇ…報酬くれるとか、人の内面ズゲズゲ言い当ててこき下ろすとかっ、挙句の果てに皆を人質をとられて16階からジャンプさせられるとかぁあ―――――っっ!!!」

 ウガァ~~っ!!と髪をワシワシしてテンパるハルを見て、スイは思った。

 (な…―何言ってんのか全っ然分からないっ…)

 「ハル…待って!どういう事?そいつは結局ハルを襲ってきたの!?」

 ハルは涙目で拗ねたようにスイを見上げて言った。

 「確かに…脅されて石ころ市や運搬場の案内させられたけど…。ん~でもゼフェルは、悪いヒューマノイドには見えなかった…」

 「ゼフェルっていうの、そいつの名前。外見は?―――…金髪で、男のくせに綺麗な顔してた!?」

 スイはもしやと思い一応聞いてみた。まさかヒューマノイドがこの街に2人もいるなど、まず常識では考え難い。

 「えぇ~?違うよお。ゼフェルはねぇ、真っ黒でウェーブがかった長い髪の毛でぇ、なんかすっごくいばりんぼな顔でね―――…目が金色してたっ!」

 ハルはそう言い切ると、気を取り直したのか立ち上がった。スイはそれを傍目に眉をしかめた。

 (…何それ…ロギアの他にもう一人いるっての?しかも、そいつ等が私達3人の目の前に…っ!?)

 その事実に思い至ったスイは背筋に寒気が走った。なんだか嫌な予感がする―――…またこの能力のせいで災厄を招いているんだろうか…。

 スイは呑気に目の前に佇んで、自分をほえ?と見つめているハルを見て無性に腹が立ってきた。

 「…っていうかハル!そんなヒューマノイドの奴となんで知り合ってんの!?」

 ハルは実に情けない表情になりながら、悲嘆に暮れたように叫んだ。

 「だぁ~あって植物にお水あげてたら、いきなりビルから飛び降りて、気付いたら家の屋根に立ってたんだもぉん!!フカコーリョクだもぉおんっ!!」

 「ッ!!――…じゃあそいつ…私達の家の場所を知ってるのっ!!?」

 「うん…追い払えなかったぁ~…。――でもっ!!家に住むのは拒否したよっ!全身全霊でっ!!」

 「あ、当たり前だっ!!―――…まずいな…ハル、そいつまた家にやって来そう?」

 スイは頭の痛くなる思いでハルにたずねた。ハルは叱られた犬のようにシュン…とうなだれた。

 「――…うん…もしかして報酬をくれに来て…んにゃ、そうじゃない…っ、スイっ!あたしゼフェルにもう一回会わなきゃっ!!」

 「は!?何でっ」

 「あたしの子が一匹人質になったまま、あたし忘れてきちゃったのっ!!ゼフェルにひ、酷い事されてるかもぉっ!!こ、コチョコチョくすぐりの刑とか、クルクルもてあそばれの刑とかあ…っ!!」

 その“酷い事”の内容があまりに酷くない事にスイはガクッと脱力しながら、そのゼフェルという人物を語る時のハルの態度に、さっきからあまり危機感が感じられないことに気付いた。

 「…ハル…そいつは、人の家に押し入って、そこの人間を有無を言わさず殺すような残忍な奴?」

 ハルは目を見開き、頭と両手を大きくブンブン振りながら答えた。

 「ゼ、ゼフェルはそんな事しないよおっ!?確かにタダで朝食偉そうに食べたり、すっっごぉお~っっく尊大な態度とるけど、いきなり人を殺すような、そんな怖い人じゃないよっ!!」

 ハルは嫌に必死になって、そのヒューマノイドを弁護した。

 (…ハルは野生動物のカンみたいに相手が自分をいじめる悪い奴か、そうじゃない奴か結構嗅ぎ分けるからな――…)

 「ハル、じゃあさ…そいつは、捕えたパラテオラを使ってハルを良いように利用する狡猾で危険な奴ってこと?」

 ハルはそう問われると、う゛ぅ~~んっと頭をひねって思い悩んだ。

 「その子を使って、またあたしを尻にひくとは思うけどぉ…うぅ~~ん…本当に酷い事はしない気がぁ……する」

 「一応…話せばわかる奴ってこと?」

 「う゛うぅ~~~…ん」

 ハルは90度近く横に頭をひねって思い切り呻吟している。スイはそれを見て呆れながら思った。

 (一体そいつ、どんだけ傲岸な奴なんだよ…)

 「一応…そうだとぉ、思う…」

 「話せばわかるってことでいい?」

 「う゛う゛ぅ~~~~…うん。」

 ハルは渋々といった態で肯いた。

 「そいつが今、どこにいるのかは分かんないんだよね」

 「うん――…あ。スイっ!あたしゼフェルと連絡先交換してた!」

 「何ヒューマノイドなんかと呑気にアドレス交換してんだよ、ハル!!」

 スイはあまりのハルの間抜けっぷりにツッコんだ。

 「じゃあ…そいつと連絡とってもう一回会おう、私とハルとそいつで。その方が話が早い」

 「あっ、じゃあコールする?」

 「いや、悪いけど今は駄目」

 「どぅおえ!?だってあたしの…」

 「うん。でもハルの態度から見ると、そいつは力づくで人を使って殺すような酷い奴じゃなさそうだから。今の私達には、重要な片付け仕事があるだろハル」

 「――ッ!!ブラスカ…!」

 ハルは見る間にプレッシャーを感じて蒼褪め、自分がこれからしなくてはならない現実を思い出したようだった。

 スイはうなずいて真剣な表情で答えた。

 「そう。そっちのほうをまずやっつけてから、その後ゼフェルって奴に連絡とって会う事にしよう」

 「う…うん。そ、そうだね、うん」

 ハルは伏し目がちに答え、萎びた植物のように目に見えて力を無くしていた。

 「ハル、大丈夫。私があんたを守るから」

 スイはそう言い切ると、ハルの肩に手を置いてギュッと力を込めた。ハルはそこからエネルギーを得たようにやがて安心すると小さく頷いた。

 「う、うん。あ、あたしもがっ、がんばる」

 「じゃあオロチのクソ野郎のとこに行こうか」

 「う、うん!」

 ハルとスイはオロチ邸に向け、強さを増す日差しの中歩き出した。



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