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ASTROFUSION  作者: 赤嶺 龍
13/15

第十三話



 《Side-ハル》


 「ふっ、ぅう~~うっぐふぃ~…!!」

 ハルは背後で衝撃音が鳴る度に涙がますますあふれ、罪悪感と自責の念で押し潰されそうになっていた。

 「ズィイ~~ごめん゛ね゛ぇっごべんね゛ぇえ゛~~!!」

 自分がもっと頼れる人間だったらと頭の中でタラレバが増殖し、自責の念で頭が爆発しそうだった。

 涙目でGPSを確かめると、ハルのパラテオラ“ミーちゃん”からの信号はまだ微かに捉えていて、相手は今は2時の方向へとずれていた。ハルはそれをしばらく涙目で見つめると、やがてキッと表情を改め顔を上げた。

 「…あたしが、ヨシノを助けるんだ。スイはっ…きっと大丈夫。だから―――…っ…!!」

 ハルは急停止してやおらリュックを下すと、その中に入っていたオロチへ納品する予定だった監視カメラをのぞき込んだ。

 「皆ーー…この監視カメラ食べちゃっていいよ!!その後、実験段階まで進んだ戦闘用のARMスーツを構成するからね」

 それを合図にリュックの中や、ハルの周囲を飛んでいたパラテオラ達が監視カメラに群がり、一斉に機器をかじり始めた。

 まるで芋虫がリンゴを高速で食い荒らすように、いとも簡単にパラテオラ達は監視カメラを内部まで食い荒らし、旺盛な食欲で機器を侵食していった。辺りは様々な金属音が響き渡り、監視カメラは見る間に原型を失って穴だらけになり、リュックの中身は減っていった。

 「リュックになってくれた皆も、変身といて他の皆に加わって!」

 でっかいリュックだった物が途端にブルブルと震え出し、一気に端から粒子化し大小様々な虫となり、他の虫達と一緒に飛び立った。ハルはそれを見ながら着ていた洋服を上も下も脱いでいき、灰色のアンダーウェアのARMスーツ姿になった。

 「―――…よし。じゃあ皆っ…コード“DFドラゴンフライ―03B”!!フォっ…ーフォーメーションスタートっ!!」

 ハルはそう叫びながら両手を広げた。

 パラテオラ達がハルの体を旋回するように飛び回ると、やがてピンクの光を帯びながら次々とハルの体に群がり始めた。光をまとったパラテオラ達は、ハルの上半身や両足、W・PCの元へくっつくとお互い溶け合い、組織化しながら融合し変形していく。


 ハルの全身が光に包まれ、それが薄まりやがて消え去った後に現れたのは――――流線的なメテオロイドで構成された、金属装甲姿のハルだった。


 全身メタリックな薄緑色をした装甲は、背中に一対の可動式推進器と小さな主翼が装備され、左右の腰とふくらはぎの外側に可動式の補助装置として、それぞれ一対の小型の推進気が付いていた。

 アノミア専用の、エーテルを燃料源とした飛行型ARMスーツ“ドラゴンフライ”を装着したハルは、ガッチガチに緊張しきった顔で、コントロールパネルと化したW・PCのシステム設定画面をチェックした。

 「燃料オーケイ、システムチェックに異常無し…ぅう゛~っ、まだ人での実験なんてしたことないんだけどお~…っ…み、皆ぁ、サポートよろしくお願いしまぁああっっす!!!」

 ハルは覚悟を決めて、ホログラムの起動ボタンをクリックした。


 ――――…シュッ…ォオオオ――ーッゴォオオオオオオオオッッッ!!!


 背中の推進器から白桃色のエーテルジェットが噴射され、腰と両足の補助推進器もジェットを放ちながら姿勢制御を開始し――――ハルの体は徐々に地面から離れ、地上数メートルで一旦停止するとそこから一気にジェットは勢いよく噴射して威力を増し、上空へ向かって一直線に上昇し始めた。

 「ひぎゃぁああああああ~~~~っっっ!!!」

 生まれてから一度たりとも飛行経験などないハルは、あまりの猛スピードに気絶しそうになりながら涙や鼻水を垂らして飛び立った。やがてスピードが落ちて滞空状態になったハルは恐る恐る下を見て、眼下に広がる光景に目玉がこぼれるくらいに目をひんむいた。

 「あわわわっ…ふわ゛っぅわ゛△@◇*?□#♪!◇〇※☆~~~~~っっ!!!」

 地上百数十メートルの絶景に完全にテンパったハルは、ワタワタと体を大きく動かした。しかし姿勢は自動的に見事に制御されていて、ハルがどんなに暴れても墜落することはなかった。やがてハルは落ち着きを取り戻すと、いくぶん冷静になって今の自分の状況を確認した。

 「…っ…ふーっ、ふ―っ……だっ、大丈夫大丈夫…み、皆がしっかりしてくれてるから…」

 ハルは青ざめながらW・PCを見てGPS画像に表示されたミーちゃんのシグナル記号を操作し、ロックオン状態に設定した。

 「もっ目的地はミーちゃん…しゅしゅっ、出発進行―――っ!!…っどぅわわあっ!!!」

 背中のジェット推進器が角度を変え、ハルが地上とほぼ平行の姿勢になった途端にエーテルジェットが噴射し、高速でミーちゃんのいる方向へ飛行した。

 「~~~~~っっっ!!!…はっ、速ぃい…!!」

 眼下に広がる市街地が流線となって背後に遠ざかっていく。

 (…ぅう~目が乾くし耳痛いし、空気が上手くっ呼吸出来ない~!これはメット着用という改善の余地があ~~っ)

 ハルは顔に当たる風圧に苦労しながら、改めて眼下の景色に見入った。

 「でもっ…凄い…ははっ、皆、実験成功だよね!私空飛んでるぅ~なははははっ!!」

 恐る恐る両手を広げても姿勢は崩れず、ハルは束の間自分が鳥にでもなった気分を味わった。日差しはジリジリときついが、体感温度は寒いくらいでちょうどいい。廃墟が続くビル群の上空を颯爽と飛ぶのはとても気分が良く、日常から解き放たれたような気分にハルはなりかけた。

 「―――ハッ!いけないいけないっ、ヨシノを助けなきゃいけないのに…」

 目を細めながらハルがGPSを確かめると、ミーちゃんのシグナルが強くなってマークがどんどん近くなって来ている。

 (やったあっ!!これならあと2、3分で…)

 ハルが有頂天でそう思った―――その時。


 ―――ープスンッ!


 「……はぇ?」


 …プッ…スプスプスプブブスブスブブブブォオオンンン…ッッ!!!


 一瞬聞こえた異音の後に背後のジェット推進器が振動し出し、瞬く間に揺れが大きくなっていく。

 「どぇっ…ぇええええええ~~~~っっ!!?ちょっ、ちゃ、着陸っ…着陸ぅうううう~~~~~~っっ!!!」

 地上百数十メートル地点でハルの体があちこちにデタラメに揺れ、グラリと大きく姿勢が崩れた瞬間――――ハルの体はきりもみしながら急落下し始めた。

 「ぅぎゃああああああ~~~~!!!何っっかすっごいデジャブ感んん~~~~~っっ!!!」

 背後の推進器はジェットが消えたり点いたりを繰り返しながら、ガタガタな軌道を描いて落下しつつも何とか飛行し続けていた。しかしすでにハルの目の前には、廃墟のビルが間近に迫って来ている。

 「ぃい゛い゛やぁ゛あ゛あ゛~~~っっ!!!皆たすっ、助けてぇええええ~~~っっ!!!」

 きりもみ状態のハルは上下左右が分からずに目を回し、自分がどこを飛んでいるのかさえ前後不覚になりながら飛行し続けた。眼前にビルの屋上が迫ったその瞬間、推進器は急噴射して高度を上げてビルとの衝突を回避した。その反動で大きく左へと曲がったハルの体は、道路が伸びるアスファルトへ向けまたもやきりもみ状態で落下し始めた。

 「ららららららららぁあああ~~~~~っっ!!!」

 強烈な遠心力とめまいのせいでW・PCにさえ触ることが出来ない。廃墟のビルの谷間を、目を回したハルがデタラメな軌道で落下して行く。

 「もうダメぇえ…っ!!やっぱ実験無しで試すんじゃっ…ぬぁあがっだぁあ゛あ゛~~~っっ!!!」

 ハルは強く目をつむり、涙と鼻水をまき散らしながら近づいて来る自身の死に絶望して叫んだ。


 ――――――ーッバッッツゥウウンンンッッッ!!!


 「ひぎゃああっっ!!!」

 瞬間、ハルの全身に勢いよく柔らかな“何か”がぶつかり、網目状のそれがボンレスハムの様にハルの顔に強く食い込んだと同時に落下が止まった。


 「エンジンを停止しろっ、アホタレっっ!!!」


 その時鋭い声が耳に届き、ハルは何が何だか分からないながら声を上げた。

 「しっシステム停止っ、緊急停止ぃい~~っ!!!」

 ジェットはそれでも噴射し続けていて、次の瞬間ハルの体はまたどこかへ向かって投げ出され宙を舞った。

 目を開けたハルが見たのは―――あと十メートルあまりでアスファルトに衝突しようという怖気をふるう光景だった。ジェットは激しい音を立てて噴射と停止を繰り返すと、唐突に機能を全停止させた。

 「い゛にゃあ゛あ゛あああ~~~~っっ!!!」

 真っ逆さまに落ちていくハルには、ただ目をつむることしか出来なかった。


 ――――ーッッボゥウウンンン…ッッッ!!!


 「――――……えっ…?」

 ハルが思わず目を開けた時、体は高く宙へと跳ね上がっていた。そのまま何度も上下に高くバウンドしたハルは、あまりにデジャブなこの状況に呆気に取られ頭が真っ白になった。


 「…全くっ…!!貴様はこの惑星で、最も度し難い下等生物だな」


 バウンドが収まったハルの元へ近づいて来たのは、全身黒ずくめの服に、長い漆黒の髪の傲岸不遜な態度を隠そうともしない美貌の男―――ゼフェルだった。

 地上1メートルの地点で糸で編んだ網にくるまれたハルは、呆けた様に大口を開けてゼフェルを見つめたままフリーズしていた。

 「…何だ、頭をシェイクし過ぎて、とうとう人間の言語さえ忘れてしまったのか」

 ゼフェルは眉間にしわを寄せ、両腕を組んでハルを見下ろした。

 「…っ…ゼっ、ゼ…―」

 「一体何がどうなったら、きりもみ状態で空から落下してくるなんて状況に陥るんだ、この間抜け。お前みたいな珍妙すぎる生物は会ったことがない―――…というか、本当にお前は人間なのかと俺は疑いたく…」

 「…ぅっ…ぅぇえええええええ~~~~んん!!!あぅああああ~~~~~っっ!!!」

 いきなり赤子の様に泣き叫び出したハルにゼフェルはバッと後ずさり、その姿勢のまましばらく硬直した。

 「…っ…だからっ…、そのすぐ泣き喚くのをっ…」

 「ありがどぉ゛お゛~~っありがどゼヴェルぅう~~っ!!ぁあああ~~怖がっだよ゛お゛ぉ~~っあぁはああ~~~っっ!!」

 網の中で体を丸めて泣きじゃくるハルを見てゼフェルはしかめ面で髪をグシャグシャとかき回すと、左手を振って糸を操作しハルをくるんだ網を地面に下ろして形を解除した。

 「うぅう~~…ぅう~~っ…」

 ハルは後を引く恐怖感で立つことが出来ず、地面に下ろされても横たわったまま泣いている。そんな状態のハルにゼフェルは嫌々ながら近づき、もはや人間とは定義付けたくもないような、その間抜けで珍妙すぎる生物を見下ろした。

 「…お前、今までよく生き残ってこれたな。運が良いのか悪いのか…」

 「…――ゼフェルぅうっっっ!!!」

 ハルはいきなり身を起こし、ゼフェルの両足にしがみついた。

 「ぎゃあああっ!!!貴様何をっ…」

 「ありがとありがとありがとぉお~~~!!あなたは命の恩人様ですぅ、神です仏ですぅう~っゼフェル様あ~~っ!!!」

 ゼフェルは涙や鼻水を垂れ流しながら、凄まじい力でしがみついて来るハルの頭をわっしと掴むと自分から遠ざけようとした。

 「俺の体に触れるな下等生物っっ!!クソッ!鼻水が…っ」

 「ゼフェルって嫌な奴だって思ってたけど、ほんとは優しいんだねぇ~ンフフぅ~~っ」

 幸福感で満たされたハルは感動しきりでそう言うと、ゼフェルの足に顔をうずめ強く抱きしめた。

 「――ー…っ!!!」


 ッゴッッッ!!!


 「ギャッッフゥウンンッッッ!!?」

 次の瞬間ゼフェルはハルの頭に思いきり拳骨を食らわせ、ハルは目に火花が散るような痛みで頭を押さえながら、地面を左右にゴロゴロと転がった。

 「いっ痛ぃ゛い゛~~!!酷いよゼフェル~!」

 ゼフェルは息を乱し、目の前の相手を踏み潰したい衝動に駆られながら口を開いた。

 「貴様っ…――次に俺の服を汚したら…全身す巻きにして吊るしてやる…っ!!」

 「うぅう~~純粋な感謝の意を表してるのにぃ~…」

 「クソ…っ!!ぁ゛あ゛気色悪いっ!!」

 ゼフェルは濡れたパンツをバタバタと振って何とか乾かそうとしながら、思いきり毒吐いた。

 「……ところでゼフェル…どうしてここにいるの?」

 頭に出来たたんこぶの痛みが少し治まると、ハルは赤く腫れた大きなこぶをさすりながら上体を起こして聞いた。ゼフェルはパンツを気にしながら表情を消すと、少しの間無言になった。

 「ーーー…俺の追ってる奴の“光”を感じたから、ここまで来た。そうしたら―――…なぜだか無様に墜落中の貴様に会ったという訳だ!!――ーほらっ、貴様の忘れ物だ」

 「…ッ!!ムーくぅうんっ!!」

 深緑のコガネムシに似たパラテオラがゼフェルのポケットから飛び立ち、広げたハルの両手の中に着地してつぶらな目でハルを見上げた。

 「おぉ~よちよち怖かったねぇ、もう大丈夫だよ~忘れちゃってごめんねぇ~」

 ムー君の甲殻に頬ずりしながら猫なで声で喜ぶハルを、ゼフェルは呆れた視線で見下ろしながら口を開いた。

 「―――で?お前はなぜこんなところで墜落して…」

 ゼフェルの言葉が終わらないうちに、ハルは自分が一体なぜ決死の覚悟で空を飛んでいたかを思い出しカッと目を見開くと、がばっといきなり立ち上がり急いでW・PCのGPS画面を見た。

 「ぬぁああああっ!!――って止まってるうっ!?ヨシノっヨシノがっ…ゼフェルぅうっっ!!!」

 思い切り眉をしかめたゼフェルはまた抱き付かれないよう慎重にハルから距離をとりながら、ワタワタと慌てながら訳の分からないことを叫ぶハルに答えた。

 「一体何なんだ、訳が分からん」

 「あのね!友達がっヨシノが攫われて――…っていうかっ、そそそうだよっ…仲間っ!!ゼフェルの仲間でしょあの人っ!!」

 「は?俺の――…?」

 「スイが教えてくれたっ!あの人ヒュヒュっ、ヒューマノイドなんだって。えっと名前はぁ…確かノ、ロ…ノビタ…?」

 それを聞いた瞬間ゼフェルの顔色が変わり、ハルの両肩をつかむと力任せに揺さぶって叫んだ。

 「“ロギア”かっ!!金髪でうすら寒いほどの美形のっ!!」

 「あぅあうあわわあ~~確がにそっ、そんな名前だっ…」

 ハルは激しく前後に揺さぶられながらゼフェルに答えた。

 「どこにいるっ!!…今ホログラムを見ていたなっ!!」

 ゼフェルは両手を放しハルの左腕をとると、投影された画面を見た。

 「この点がお前で――…ここから、約12時の方向…―――…っ…!!」

 ゼフェルは言うなり、ハルの存在など目もくれず駆け出した。

 「あぁ…っ待ってよゼフェ…」

 ゼフェルが左手を振り上げると全身が大きく跳躍し、素早くビルの屋上へ着地した。そのままゼフェルはビルとビルの間を飛び越え、その姿はハルの視界から消えてしまった。

 一人取り残されたハルは、ポカンと大口を開いたままゼフェルの消えた方向をしばらく見つめた。

 「えっ…ぇええ~~っ!!何で何でぇ~!?…ハッ!?あたしもすぐ行かなきゃっ…皆、ドラゴンフライモード解除!!通常の戦闘モードへ移行して…っ!!」

 ハルが号令をかけるとパラテオラ達が濃いピンクの光を帯びて分解し始め、ハルの全身を先程までとは違う形態で再び覆始めた。

 やがて薄れた光の中から現れたのは――――腿を覆う程のビッグサイズのピンク色のパーカーに黒のスパッツ、ひざ下の黒のロングブーツ姿のハルだった。パーカーやスパッツやブーツも、一見服のように見えるが質感はメタリックで、まるであしらいの様に細かな電子回路のようなラインがあちこちに張り巡らされている。

 ハルはW・PCを操作すると各種のチェックを始めた。

 「照準補助モードOK、対衝撃瞬間シールドOK。よしっ…―――行っく…」

 ぞー!!と叫ぼうとした矢先着信音が鳴り響き、その音がスイからのものであることを知らせた。ハルは言葉を飲み込むと慌てて通話に出た。


 [ハル?]


 その低く落ち着いた声を聴いた瞬間、ハルはあまりの安堵に脱力してその場に倒れそうになってしまった。

 「スイぃい…っ!!あのメテオラは!?大丈夫なの、まままだ追われてるのぉっ!?」

 [ハル落ち着いて。かなりヤバかったんだけど、強力なハンターの人が助けてくれて、メテオラは撃退出来たから…私はもう大丈夫]

 「そっ…そうなのっ…?…はぁあ~~良かったああ~~っ!!」

 ハルは今度こそ本当に安堵して、体育座りで地面に座り込んでしまった。

 [――うん。それでハル、ヨシノの行方は?シグナルが途絶えたりしてない?]

 ハルはバッと立ち上がると勢い込んで話した。

 「だだだ、大丈夫!今ね、近くでシグナルが止まってるの!!場所と位置座標を示したGPSの画面データそっちに送るね!あ、あぁあたし頑張るから、スイ!ヨシノを絶対奪い返すから…っ!!」

 [え、あちょっとハル…!]

 鼻息荒く通信を切るとハルはW・PCを操作して、ヨシノの現在地の画面データをスイのW・PCへ転送した。

 「ヤっすん、このGPSデータを3分おきにスイのW・PCへ転送してね!」

 ハルのW・PCと融合していた小さな赤茶の、ヤスデに良く似たヤっすんが頭をもたげ触角をユラユラ揺らすと、また元の融合状態へ戻っていった。ハルはもう一度GPSを確認し、両手を握りしめて鬼気迫る表情で意気込んだ。

 「むむむむぅう~…!!絶対逃がさないからねっ!!ヨシノ―――…今行くよぉおおっっ!!!」

 ハルはダッシュし、猛スピードで先行したゼフェルを追い掛け始めた。

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