58.相棒を決める
58.相棒を決める
【野営地】内にいてふと思った、この場所で【格納庫】って使えるんだろうか?と。【野営地】内は異空間だ、【格納庫】内も異空間だ、異空間内で異空間を開くとどうなるんだろう?
というわけで早速やってみよう。
座っていたキャンプ用の椅子から立ち上がり【格納庫】を使う。
「普通に発動するのか」
次は入れるかどうか………入れる。出たら発動した場所である【野営地】へと出る、と。
逆も行けるのかな?一旦【野営地】から外へと出てっと、【格納庫】に入り【野営地】を発動して入る。
「うむ、問題ないな」
どちらからでも問題なく行けるようだ。なら今度からは1度【野営地】に入ってから【格納庫】に行くとするか。
実は【格納庫】を使うと見た目がガレージなどのシャッターなのでデカいんだよな、それに比べて【野営地】は人が一人通れるぐらいの大きさの渦しかない。
つまり何が言いたいかというと【格納庫】の入り口はでかくて目立つから使いにくいのだ。だけれどこの【野営地】を経由する使い方なら目立つことなく使える。
ってこんなことは後でいいんだ、それよりもやりたい事がある。
【野営地】から再び【格納庫】へと入り機能解放ができるタブレットを手に取る。
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─ ▼
LV:─ <機能解放> ▼
補助:▼
〝リペアロボット〟1万GP~▽
〝作業員ロボット〟5万GP~▽
〝清掃員ロボット〟3万GP~▽
・
・
・
機能:▽
工具:▽
消耗品:▽
まずは作るにしても準備が必要になる、どうやって作るか知らないが武器とか購入したときに俺だけじゃ取り付けが出来ない。なので〝作業員ロボット〟の項目を開く。
全部で3種類あり一番やすいので5万GP、次が7万、最後に10万。それぞれ〝作業員ロボット〟〝力持ち作業員ロボット〟〝精密作業員ロボット〟となっている。
どうやら性能が変わるというより作業に合わせて使い分ける感じかな?
取り合えず一番安い5万の〝作業員ロボット〟を買ってみる。するといつもの感じで目の前に光りが集まっていきおさまるとそこにはリーダー格の『機械種マギア』の子機と見た目そっくりのやつがでてきた。
大きさは俺のひざよりちょっと上ぐらいしかない、四角い正方形の箱に四つ足が生えているやつだ。
「ふむ、ちょっとかわいいな」
自分が生まれ出た事を認識しているのか足を上げたり下げたりわちゃわちゃして動作確認をしている。その動きが少し滑稽で面白くどこか可愛さもある。
「そんな所に手があったのか………というか眼みたいなのがある」
〝作業員ロボット〟が動いているのを眺めていると意外な発見があった、恐らく正面と思われる場所に眼があり顔の様になっている。そして正面の下側から足よりかは短い手のような物がにょきっと2本伸びてきた。
「他のも買ってみてみよう」
〝力持ち作業員ロボット〟と〝精密作業員ロボット〟を1体ずつ買っていく。
「ヘルメットを被っている方が力持ちで………モノクルが精密か」
〝作業員ロボット〟より少し大きく手?前足?も太くヘルメットを被っているのが〝力持ち作業員ロボット〟だろうな見た目的に。
そうするともうひとつの眼の部分にモノクルを付けているのが〝精密作業員ロボット〟だろう、こちらは〝作業員ロボット〟と大きさは変わらない。
見た目で分かりやすいのはいいな。問題はこれがそれぞれ何体必要かだが。
〝作業員ロボット〟3体、〝力持ち作業員ロボット〟2体、〝精密作業員ロボット〟2体でいくか。
なぜこの数かというと物を持つには最低でも2体必要になりそうだから〝力持ち作業員ロボット〟は2体、〝作業員ロボット〟が3体なのは2体だと持ち上げれない物とかあったらこまるしそのための予備の1体で3体編成。
〝精密作業員ロボット〟が2体なのは力持ちと普通の方のと2グループに分けれるからそこに1体ずつ入れるつもりだからだ。
まぁ必要になればその都度買い足せばいいだけだし、まずはこれでいいだろう。
それぞれ買っていって結局は合計で49万GPの出費か結構かかるんだな。これで残りのGPは446万GPか、まぁこれだけあればまだ余裕で足りるだろう。
後は〝リペアロボット〟と〝清掃員ロボット〟も必要になるか?
リペアって書いてあるしこっちは損傷したら修理してくれるんだろう、清掃員はそのままお掃除ロボットって事か。
〝リペアロボット〟は2種類しかなく普通のと〝高速リペアロボット〟の2つ。〝清掃員ロボット〟は1つしかない。
悩む必要が無くていいなこれ。〝高速リペアロボット〟を3体、〝清掃員ロボット〟を2体ほど買ってみる。
〝高速リペアロボット〟は1体5万、〝清掃員ロボット〟は3万なので合計21万GPだ。
「何だこれ?三角頭巾にナースキャップ………?いつの時代だよ」
四角い体の横に箒とちりとりが取り付けてある〝清掃員ロボット〟とナースキャップを被った〝リペアロボット〟が出てきた。大きさは普通のと変わらない。
「っていうか邪魔だなこれ」
買っておいてなんだが結構場所をとる、なんだかんだ言って全部で12体もいるからな。今は目の前に集まっているから【格納庫】内に余裕があるが、これがバラバラに動いていたら結構じゃまかもしれない。
と、言うわけで。
次にちょっと見ていて欲しいなって思った機能があるのでそれを解放したいと思う。
それが〝お手伝いロボット専用部屋拡張〟という機能だ、これを解放すれば恐らくこの問題は解決する。
機能を解放するのに必要なのは10万GPなのでサクッと買っていく、すると入口から見て左の壁に切れ込みが入り何かそれっぽい入口が現れた。
「それでどうやってあそこに仕舞っていくんだろう?」
ロボット専用の部屋を拡張したはいいがどうやってあそこに入ってもらうんだ?
目の前には何かお互いにやり取りしているのかそれぞれ向き合って手を動かしわちゃわちゃしている12体の四角いロボットがいる。
「あ~えっと、ハウス?」
取り合えずペットにするような言葉を投げかけてみたが多分コレジャナイ感がするな。なぜならこっちが言葉を発した事に反応して見てはくれているのだが理解できなかったのか四角い箱を斜めにしている。
それは首をかしげているって事なのか?
何かこういう時の為の機能とかないのか………ってこれか?〝補助AI機能〟ってやつ、5万だし解放しておこう。
『補助AI起動します。おはようございます、ご用件は何でしょう?』
「うお、対話型なのか」
『はい、私は対話型補助AI【ヘレナ】です』
「ヘレナねぇ何が出来るんだ?」
『私が可能な事は【格納庫】内におけるあなたの補助です、些細な要望から恋の相談まで多岐にわたります。何がというのは説明するには時間がかかります、ですので何をして欲しいかをまずはおっしゃってみてください。それから可能かどうかを答えます』
言ってることはごもっともだな………ここでヘレナが何をできるか全部聞いても覚えれる自信はない、それなら都度可能かどうか確認するほうが楽か。っていうか恋の相談はいらないだろう。
「それじゃぁ、さっき〝お手伝いロボット専用部屋拡張〟という機能を解放したんだがこいつらを格納する方法が分からない、どうすればいい?」
『私におっしゃってくだされば、こちらから命令を飛ばします』
「なるほど、それじゃぁヘレナ。こいつらを一旦格納してもらえるか?」
『了解』
補助AIであるヘレナへと買ったばかりの機械たちを格納するように頼むとすぐに命令が飛んだのか12体いたロボットがぴくっと反応して全て壁に出来ていた通路へと入っていった。
おぉ、面白いなこれ。
「さて、それじゃぁ本番といきますか。ヘレナ、ここに制御済みの【リスィクリスタル】がある。これで新しく機体を作りたいんだが事前に解放したほうがいい機能とかあるか?」
『はい、〝立体映像投影機能〟を解放することをお勧めします。この機能は機体を作る際にパーツなどの外見がどういった見た目かを確認でき、さらに能力値も表示してくれます』
「へぇ、それは便利そうだし解放するか………これも5万か。他には?」
『一応それだけあれば機体を作るのに問題はありません、あえて言うのであれば〝無重力機能解放〟を買うのもいいと思います』
「あれは高すぎるから買えないな。んじゃ早速作ってみるか」
『はい、それではまず機体のコアである【リスィクリスタル】を収納する胴体を選びましょう』
「ふむ」
【GunSHOP】を開きパーツの部分を見ていく、コアを守る胴体か………
「お、これが〝立体映像投影機能〟か」
取り合えず適当に最初にあったやつを選択すると目の前に立体映像が投影された、人型の胴体でよくあるロボット物のアニメとかでよく見る形のやつだ。
「なんかでかくないか?」
目の前に映像があるのだが結構でかい、胴体だけでこんなに大きいのか?
『それは実際のサイズです、収縮する事も可能ですが実寸で見たほうが分かりやすいと思いそうなっています』
「これが胴体だとすると全身だとどれぐらいの大きさになるんだ?」
『パーツによりますが全て初期パーツで組んだ場合8メートルから9メートルほどになります』
8メートルから9メートルってデカいな………普通に人が中にはいって操縦できるレベルの機体になるぞ。
「ん、これはなんだ?頭の部分がないけど」
他にも色んな物をポチポチと選んでは投影させてみていくと途中から変なのになった、頭がなく胴体と顔っぽいのが繋がっているやつがでてきた。
『そちらは一体型のパーツです、胴体と頭がひとつになっています』
「こんなのもあるのかぁ、面白いな」
長方形に細長いやつや、楕円形の蜘蛛の胴体みたいなやつ、円板がポンっとのった形のやつ、子機と同じ四角い箱みたいなやつと色んな形があった。
「取り合えず基本的な人型の胴体にしてみてほかのパーツも試しに付けていってみよう」
◇ ◇ ◇ ◇
『マスター、お気づきですか?』
「んあ?どうかしたのかヘレナ?」
あぁでもないこうでもないと色んなパーツを見て選んでいるとヘレナの呼ぶ声が聞こえた。
『あなたがパーツを選び始めてから既に5時間が経過しています。そろそろ食事か休憩をとるべきでは?』
「は?5時間?いやいやそんなに経っている訳が………ほんまや………」
お昼過ぎ1時ぐらいにやり始めたパーツの確認、携帯を見ると現在時刻は6時を過ぎていた。
「いつの間にこんなに時間が過ぎてたんだ」
『あなたが立体映像を見ながらニヤニヤとしている間です』
「流石にニヤニヤはしていないだろう」
『録画してありますが見ますか?全部で27分の映像があります』
「見ないです、そんな映像は消去しなさい」
『了解、消去します』
それにしても5時間も経っていたとはなぁ気づかなかった………どうしよう、全然決まらない。
無難な人型もいいし、その人型の中でも変わった形の胴体や腕、足など面白い物がいっぱいある。
そこにさらに変わったもの、胴体と頭が一緒になったやつなど変な形の奴まで見ていくと決めきれない。
「はぁ、どうするかなぁ全然決まらない………何かいい案はないか?ヘレナ」
『はい、まずは何をさせたいかを考えるのがいいのではないでしょうか?前に出して戦闘をさせるのか後ろで荷物持ちをさせるのか。それによってどんな機体にするかを決めるのはどうでしょう?』
「なるほど?」
確かに言われてみればその通りかも、何をさせたいか?か。
今の俺の現状を考えると前にだして戦闘って感じのが欲しいわけじゃないなぁ、むしろ前にいたら銃の射線にはいって邪魔かも?
かといって後ろで荷物持ちさせる必要もないしな【空間庫】があるし。
うーん、ダンジョン探索で今足りない物………足りないってわけじゃないが移動がちょっと面倒かな?ランクの高いダンジョンは基本的に広い、それもかなり広い。
そうなるとどんどんと移動がめんどくさくなってくる。
そう考えると車っぽい機体が欲しいかもしれない、けどそれだけじゃ勿体ないな。
他には………射撃をするうえで欲しい物と言えば盾かな?後は姿勢をちゃんとして構える事の出来る土台とか?
ふむ、こうやって何が欲しいか考えると何となくまとまってきたな。
「移動できて盾になって安定した土台っぽい機体が欲しい」
『なるほど、それではこんな感じの機体はどうですか?』
「なんだこれ?」
ヘレナが立体映像を操作して投影したのは戦車みたいな見た目の太い四つ足に体の横に分厚い盾みたいな装甲がついてて、上の部分に円盤が乗っていて広い形になっているやつだ。
『移動を考え安定感のある多脚に足の先はタイヤを取り付け歩く事も走行する事もできるようになっています、次に体の横についた対になっている盾ですが戦闘時これを前へと出す事で敵からの攻撃を防ぐことができます。また、このまま突進して攻撃などもいいでしょう。そしてなによりこの機体は中へ乗り込む事も出来ますが外の背中へと乗るための足場がついておりそこから攻撃もできます』
「ほぉ」
見た目は足の少ないカニっぽい感じ、平べったくて高さもそんなにないが胴体が分厚いので結構な威圧感がある。
さらに盾を展開した場合、正面からは盾しか見えずその大きな体をすっぽりと隠している、だがのぞき穴があるようでそこから前が見えるようにはなっている感じだ。
「結構いいなこれ、でもこれ装甲とかどれぐらいの強さがあるんだ?見た目はいいけど打たれ弱いとかだと意味ないからな」
『そうですね、一番安い装甲だとあなたがお持ちの〝アサルトライフルFoxtrot〟の一撃で千切れ飛ぶぐらいです。現状一番高い装甲ですと先ほどの銃に徹甲榴弾を装填した物でも50発ほどは耐えるでしょう』
「ふむ、結構硬いのか………っていうか俺が持っている武器の威力とかを何で知っているんだ?」
『私はスキルで作られたAIですから、あなたの情報は全て入っています。昨日晩御飯に卵かけご飯を追加して食べたことも知っています』
「まじかよ、っていうか卵かけご飯は別に知らなくていいだろうに」
確かに昨日ちょっと物足りなくて食べちゃったけども。
「その装甲の強さは盾の強さか?それともこの脚とかの装甲の強さなのか?」
『脚などのパーツの装甲の強さです、盾の場合さらに強くなり徹甲榴弾の弾を300発は耐えます』
「ふむふむ、ヘレナが提案してくれたこれ作るとしたら合計GPはいくつになる?」
『そうですね、頭と一体型の胴体が70万、その下の脚と胴を繋ぐ腰部分が30万、脚が50万、盾が50万になり合計200万GPとなります』
200万か、今残りは410万ある。半分くらい使う事になるがこのために貯めたんだし使おう。
「それじゃぁそれで作ってみてくれ」
『はい、それではパーツを順次買っていきます。作業員としてロボットを使ってもいいですか?』
「うん、使ってくれ」
『はい、それでは製作を開始します。完成までには3時間ほどかかります』
「了解、それじゃぁご飯食べてくるよ」
ヘレナに任せて俺はご飯を食べる事にする、補助AIってもっと簡単な物かと思っていたがあればかなり便利だな。
あー完成が楽しみだなぁ。