56.資格
56.資格
配管が剥き出しになった通路を歩いていく、足元には申し訳程度の間接照明が等間隔で設置されているがそれだけでは暗くて何も見えないのでアサルトライフルに取り付けてあるウェポンライトをつけてそれを頼りに進んでいく。
【気配感知】には時々地上にいるであろう『機械種マギア』がうつるが地下の通路からは何も感じないし、【罠感知の指輪】にも今のところなにも反応はない。
通路は人がすれ違えないほど狭く歩きにくい、ただ埃などは無く空気もどこかで換気しているのか息苦しくはない。
「ん、扉?」
暫く歩くと扉が見えてきた、鍵もかかっていなさそうな何の変哲もないただの扉だ。
扉を開けるとさらに地下へと続く階段が現れた。
降りていくしかないか。
何だかどんどん怪しい雰囲気になってきたが、ここまで来たら何があるのか気になるし見てみたい。
もしかしたら本当に何もない通路だったりするかもしれないがこういう探索自体が楽しいので問題ない。
地下へと続く階段を降りきると、これまた扉が現れた。今度のは両開きのドアだ。
またしても鍵などはついていないようなのでそのまま開けて中へと入っていく。
「何だ!?」
両開きのドアを通り中へ入ると暗かった視界が一気に明るくなった、一瞬明るさに目がやられて何も見えなくなったがすぐに慣れてきて目の前が見えるようになる。
「ここは………何だろう研究室っぽい?」
そこは広い部屋になっておりどこかの研究室のような雰囲気を感じる、壁には液晶パネルがいくつも取り付けられているがいくつかは壊れているのか壁から外れて斜めになっていたりする。
他にも机やパソコン類の機器などが沢山ある。
そんな中でも一番大きくて目立つ物が部屋の中央に存在している、円柱にガラスが取り付けられており上と下に何か機械が繋がっている。
円柱は広く、人が何人か入れるほどの大きさになっていてここで何かの実験的な事をしていたのが何となくわかる。
『資格ある者の存在を確認、これより診断を開始します。動力を確認、正常。プログラムを確認、正常。その他の項目、一部欠損はあるものの動作に問題は無し。自己診断問題無し、いつでも始められます。資格ある者、所定の位置へとどうぞ』
「………なんだ?これ」
突然スピーカーの電源が入る音がして、すぐに先ほどの言葉が流れてきた。資格ある者?なんだこれ?
いつでも始められます?何が?所定の位置ってどこ?
「これか?」
足元から誘導灯の様な光が出てきて中央にあった円柱へと続いている。恐らくここへ入れって事だろうけど………
「そもそもここは一体何なんだ?」
『ここは資格ある者へとスキルを付与する場所です』
「ぬおっ!?受け答えできるのか?」
『はい』
思わずつぶやいた言葉にこたえるように先ほどの声が答えた、どうやら受け答えできるタイプのやつらしい。
「資格ある者の資格とはなんだ?なんのスキルを付与するんだ?」
受け答えしているお前はなんなんだとか色々気になる事はあるけど聞いたところで仕方ない、ならば聞く事は単純だ。
『資格とはアイテムボックス系の異空間へと物を仕舞うスキルを持っている事、機械または銃を取り扱うスキルを持っている事、そして資格者のレベルが一定以上である事が資格ある者の条件になります。付与されるスキルは【制御:機械種マギア】となります』
【制御:機械種マギア】?何だそれ………
「【制御:機械種マギア】とはどういったスキルなんだ?」
『【制御:機械種マギア】とはスキルを持っている本人が『機械種マギア』を操れるようになり制御が可能となるスキルです。一種のテイムスキルと言えるでしょう』
テイムスキル!あの有名なやつか、これはめっちゃ欲しいな。
「スキルを付与するにあたってなにか俺にデメリットは存在するか?」
『ありません』
ふむ………
「そちらがスキルを付与するメリットがあるのか?」
『ありません』
何もないのにスキルだけくれるとか逆に怪しいんだが………
「なぜスキルをくれるんだ?」
『私達は資格ある者へとスキルを付与するだけです、なぜ………などはありません』
つまりただ機械的に資格を持つ者に対してスキルを付与するだけの施設って事か。
所謂ボーナスステージみたいな物なのかな?ここは隠し部屋みたいだったし。
「ここに立てばいいのか?」
そういって俺は円柱を指さす。
『はい』
ずっと立ち止まっていた入口から移動して部屋の中央にある円柱のガラスに囲まれた機械の中へと入っていき中央で立ち止まる。
『シークエンスを開始………』
「なんだこれ………」
機械の声が聞こえたかと思うと円柱全体が光り出し、体を何かに触られているようなぞわぞわっとした感触を感じる。
何かプログラムが動いているのだろうゴォォォっという音が聞こえてくる。
『資格ある者へと干渉を開始します』
「おぉぅ、気持ち悪い………」
さっきまでは体の表面をさわさわされる感じだったのが今度は体の中を探られているような感覚を覚える。
これが中々に気持ち悪い。
『資格ある者の魂への干渉に成功、スキルを付与します』
「ぐっ!」
心臓をガシッと捕まれたかのような、高い所から落ちる映像を見せられたかのようなキュっとする感覚が襲ってきた。
ものすごく嫌な感じ。
円柱の中もいよいよクライマックスなのか、キラキラとした光りがどんどんあふれてきて何だかこのままだと爆発してしまいそうな気さえする。
『スキルの付与に成功しました、休眠状態へと移行します』
「ふぅ」
今まで襲ってきていた感覚が一気に全てなくなり、電源も落ちたのか暗くなった。どうやら無事にスキル付与には成功したみたいだ。
『スキル【制御:機械種マギア】を獲得しました』
いつものスキルを獲得したときのポップが表示されてホッと息をつく、部屋が暗くなってしまったのでウェポンライトをつけて明かりを確保する。
『スキル内に【制御:機械種マギア】を確認、【GunSHOP】スキルに新商品が追加されました』
「お?新商品?」
【制御:機械種マギア】が増えたからって事はそれに関係する商品かな?
『続いてスキル【制御:機械種マギア】とスキル【GunSHOP】とスキル【空間庫】が共鳴し、スキルリンクが発生しました。スキル【格納庫】を獲得しました』
「おおぅ」
一気にポップがぽぽぽんっと表示されてびびった、なんだか一気に増えたな。ここらで一度ステータスの確認しておくか?都合がいい事にここは安全地帯みたいだし【野営地】に行く必要もないだろう。
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:62 → 65
STR:98 → 135
VIT:56 → 97
AGI:97 → 138
DEX:662 → 695
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:6
<上級>【空間庫】Lv:5 → 6
<スキルリンク>【野営地】Lv:2
<上級>【射撃】Lv:10
<中級>【銃術】Lv:4 → 7
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:10
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:7 → 8
<ユニーク>【風読み】Lv:─
<中級>【計算】Lv:1 → 5
New<初級>【体術】Lv:7
New<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─
New<スキルリンク>【格納庫】Lv:─
ふむ、まずはレベルが65になってた。実はここまでに戦闘が終わってからレベルが上がる事が何回かあったが、レベルが上がっただけだしなーで毎回確認するのが面倒になって見てなかった。
なので今後は基本的には何かいいスキルを手に入れたときとか大きくレベルが上がった時に確認するぐらいにしようと思っていた。
次にステータスだが、相変わらず数値のおかしいDEXと全く伸びないINTとMNDは無視するとして、STRとVITとAGIの数値が結構上がってきている。
これは自分のステータスの力に気づいて動いて戦闘するようになったというのもあるが【体術】スキルを手に入れたのもあると思う。
<初級>【体術】Lv:7
<体を鍛えた者へと与えられるスキル、動きを補助しステータスが強化される>
とまぁこんな感じのスキルでこれのお陰でステータスが伸びたって言うのもあるけどちゃんと動いて戦闘するようになったのも大きいと思う。
他のスキルに関してはまぁ順調にレベルが上がったなってのもあるけどいつの間にか【計算】スキルがめちゃくちゃ伸びてた。
何でだ?ってそういえば【計算】スキルって獲得したとき使えないかもなぁっておもってろくに説明も見てなかったな。見てみよう。
<中級>【計算】Lv:5
<脳内での処理速度が劇的にあがるパッシブスキル、日常で扱う計算から目測による物体の大きさや対象との距離、放物線の計算や弾道計算など干渉する部分は多岐にわたる。(補足)【計算】スキルのレベルがどれだけ上がろうとINTステータスは伸びないので注意しましょう>
「はっ………?」
あれ………?え………?めちゃくちゃ有能スキルじゃね………?
ん?そういえば俺ってここ【アルミーシュ】ダンジョンへ来てからやたらと距離や大きさが正確に測れていたな………?まさか?
気付いていなかっただけで実はかなり役に立っていた?そういえば〝対物ライフルFoxtrot〟を使ったときもスムーズに狙いをつけれたな?
「めちゃくちゃ当たりスキルじゃんかー!」
過去に戻って適当に流していた俺にビンタしたい気分だ………はぁ、今度からはちゃんと新しいのを手に入れたら確認しよう。
ちょっと気分が上がったり落ち込んだりで忙しかったけど気を取り直して本命の今回手に入れたやつみていくか。
<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─
<『機械種マギア』をテイムする事ができるスキル、テイム方法は動けなくした『機械種マギア』のコアへと直接触り制御を意識する事、またはコアだけを手に入れてテイムスキルである【制御:機械種マギア】をしてからパーツを取り付けていく、2つの方法がある。なおパーツについては自分で作るか『機械種マギア』を倒して集めましょう>
「ほぉ、そうやってテイムするのか」
動けなくするにしてもパーツを手に入れるにしてもコアが無ければ始まらないって事か。
恐らくコアのランクによって強さとか変わるんだろうなぁ。
後はどっちにしろパーツが必要って事か、動けなくするって事はある程度破壊するのが前提だろうし。
でも自分好みにカスタマイズできるのは楽しみだな………
最後にスキルリンクか、リンクするのは意外だったけどこれで3つ目か。他の人と比べてどうかわかんないから3つが多いのか少ないのか分かんないけどスキルが増えるのは単純にうれしい。
後地味に【制御:機械種マギア】もユニークスキルなんだよな。レベルが無いのは残念だけど、レベル上げする必要が無いって考えれば少し楽かな?
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─
<制御した『機械種マギア』を格納する倉庫、格納庫内は異空間になっておりカスタマイズに必要な工具などが充実している。また、GPを消費する事で新しい機能を解放できる>
「ふむふむ、【野営地】みたいな感じかな?ちょっと中を見てみるかってこう現れるのか」
【格納庫】スキルの使用を念じると目の前にシャッターが現れた、ガレージなどによくある下から持ち上げて開けるアレだ。
「よっこいしょっとって見た目は一緒か」
シャッターをガラガラと持ち上げると【野営地】へと行くときと同じような見慣れた渦が出てきた、このシャッターは何のためについているのか………
気になるがそのまま中へと入っていく。
「おー!すっごい!」
【格納庫】内はアニメで見たようなロボットが格納されているやつそっくりだった。広くて真ん中ぐらいの高さには格納された物をいじるためだろうか動く通路が設置されている。
壁には様々な工具が並べられているが、どれが何かなのかさっぱりだ。
「たしかGPで機能を解放できるって書いてあったよな?どれ………これか」
入ってすぐの所にタブレットが立てかけてあったのでそれを手に取り電源を入れる。
「ふむふむ、見た感じは【GunSHOP】とか【野営地】と一緒だな」
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─ ▼
LV:─ <機能解放> ▼
補助:▼
〝リペアロボット〟1万GP~▽
〝作業員ロボット〟5万GP~▽
〝清掃員ロボット〟3万GP~▽
・
・
・
機能:▽
工具:▽
消耗品:▽
「お~自分で作業しなくて済むのかこれ」
【格納庫】で使えるタブレットの項目にはGPで購入できる物が並んでいた。〝リペアロボット〟これは壊れたのを修理してくれるやつだろう、安いので1万、一番高いのでひとつ10万GPもする。
他にも〝作業員ロボット〟は自分の代わりにテイムした『機械種マギア』をいじってくれるみたいだし、作業ででたゴミを片づける〝清掃員ロボット〟までいる。
そのまま次の項目を開いてどんどんとみていく。
「はぁ!?何だこれ?〝無重力機能解放〟?」
機能の項目の一番したにめちゃくちゃ気になるのを見つけた〝無重力機能解放〟ってやつだ。これってもしかしてアニメとかで見る宇宙空間みたいなことが【格納庫】内で出来るって事?うわぁめっちゃほしいこれ。
「でもこれ1000万GPか………」
流石にそんな機能が安いはずも無く、考えられないほど高かった。
「そういえば【GunSHOP】にも新商品増えたんだっけ?」
ちょっと忘れていたがそういえば新商品増えていたんだった、確認するか。恐らく【制御:機械種マギア】に関する事だろうけど。
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:6 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▽
外装:▽
防具:▽
消耗品:▽
特殊:▽
New兵装:▼
〝ハンドガン〟50万GP~▽
〝サブマシンガン〟75万GP~▽
〝ショットガン〟80万GP~▽
〝アサルトライフル〟100万GP~▽
〝スナイパーライフル〟130万GP~▽
〝グレネードランチャー〟150万GP~▽
〝ロケットランチャー〟200万GP~▽
〝ブレード〟30万GP~▽
・
・
・
Newパーツ:▼
〝頭〟5万GP~▽
〝腕〟3万GP~▽
〝胴〟5万GP~▽
〝腰〟4万GP~▽
〝脚〟3万GP~▽
〝足〟5万GP~▽
〝背中〟7万GP~▽
〝スラスター〟10万GP~▽
・
・
・
「おぉ……いっぱい増えたな………」
武器である兵装はかなり高いがパーツはそこまで高くないからバランスが取れているのか?ちょっとよくわからないな………これはじっくり腰を落ち着けて見ないといけないかもしれない。
っていうかもはや【GunSHOP】じゃなくなってきているな。まぁそのへんは今更か。
今日はここまでにしてゆっくり見て行こう。それに早く『機械種マギア』欲しいしな………