124.製作の時間
124.製作の時間
やたらとでかい球体の【デス・ボール】を倒してから3日、それが全て解体するまでにかかった時間だ。
作業員ロボット数は30体ほど、作業スピードはそこまで遅いわけじゃないし昼夜関係なく動けるはずなのにそれだけの時間がかかった。
ロボットの数をもっと増やせば解決するだろうが、普段30体でも余り気味なので今この瞬間の時ためだけに増やすのもなーって思ってやめておいた。
解体作業が進んでいる間は暇だった待つことしかできないからだ、かといってこの場を離れるのはどうなのかという問題もあり作業音に寄ってきた敵を倒しつつのんびり待つことにした。
解体した素材は【格納庫】へと入れていたのだがすぐに置き場所が無くなり入らなくなったので【野営地】のほうに野ざらし状態で置いておくことにした、幸いな事に【野営地】では雨などは降らないので素材が劣化するような事も無いだろう。
大丈夫だとは思うがはやめに素材を使い切らないとな。
「それで、どうしようか」
「どうしましょう」
【ラピトリア】での素材集めは【デス・ボール】のお陰で終了したので今は家に帰ってきて【格納庫】でヘレナとドローンをどうするかの相談をしている。
「うーん、まずはパターンをいくつか見せてくれる?」
「はい」
ヘレナにそうお願いすると空中に映像が投影される。表示された画像には丸い物や四角い物、飛行機のような形の物や剣のような物もある。
画像に映っているそれぞれの設計図は今回作ろうとしている羽根の無いタイプのドローンになる。
羽根のないと言ってもヘリコプターについているプロペラのような物の事を言っており飛行機などの羽はむしろかっこいいからありかもしれない。
ロボットアニメなどで出てくる某ファ〇ネルみたいな形のも好きだし、シンプルな球体のドローンなども割と好きな部類にはいる。
剣型にして浮遊する剣っていうのもかっこいいだろうし、悩みどころだ。
「ヘレナ、反重力のドローンは作るとしたら何機まで製作可能なんだ?」
「大きさによりますが、平均的な物であれば500機ほどでしょうか」
「平均的ってどれぐらいの大きさ?」
「70センチから1メートルちょっとぐらいです」
「そのぐらいの大きさで500機か、小さいのを作る場合はもっと数を揃えれる?」
「手のひらサイズのドローンにする場合は700機ほどでしょうか」
「あんまり増えないのか」
「がわを作る素材はあるのですが反重力エネルギーコアの数が足りません」
「あー、コアか」
なるほどなぁ、取り合えずあれだな。ドローンの数は最大でも平均的な大きさの500機と考えておいてそこをベースに考えよう。
作れる数が決まったら次は目的によってどんな物がほしいか考えよう。
まずは偵察用のドローンは絶対に欲しい、出来れば隠密性の高い物。次に武装を載せれるタイプのも欲しいな、銃を取り付けるのもいいけどそれより爆発物を上空から落とす専門のとかも欲しい。
後はどういうのが必要だろう?荷物運ぶ用の大きいのとか?
それか大きいドローンに自分が乗ってみるとか………?ロマンではあるけれど意味はないか。
「隠密性の高い偵察用のドローンを作るとして、最低でもどれぐらいの大きさが必要になるかわかる?」
「少し待ってください………そうですね、隠密性の求め方で変わってくるとは思いますが。例えば近い距離でも見つからないようにする場合、機体を小さくしつつ光学迷彩のような物を使う必要があるので最低でも30センチほどのスペースは欲しいですね」
「30センチ、そんな小さくていけるの?」
「はい」
30センチか………小さいけれど想像していたよりかは大きいな。
「近い場合でそれだと、遠距離から偵察する場合のドローンならどう?」
「遠距離からになるとカメラを高性能な物にしたとして、それでも50センチほどのスペースがあれば最低でも10キロほど先の物が見える偵察用ドローンを作ることが出来ます」
「50センチで10キロも先が見えるのか………」
「はい、しかし遠距離から偵察するドローンは現実的では無いと思います」
「どうして?」
「それは使用する場所がダンジョン内だからです、遠距離型の物を使用する場合平行に見るのではなく上空から見下ろす形にしなければまともに偵察はできないでしょう」
「まぁ、それはたしかに。上空からじゃないと障害物が多くて遠くは見えないもんな」
「はい、それに加えて洞窟型では高度が足りず使えませんしフィールド型にしても高度制限がありますので使えはするでしょうが効果的とは言えないでしょう」
「どこで使うにしても効果的に使用できるまで高度をあげれないってわけか」
「はい」
んー、それじゃぁ洞窟型でも使えてフィールド型でもある程度使えるだけのカメラ性能で大きさも考えないといけないって事か。
「んーじゃぁ例えば出来るだけ小さくして機動性を高めてカメラ性能もフィールドで使えるぐらいの物にするとしたらどの程度の大きさでいける?」
逆の発想だ、光学迷彩とかで見つからないようにするのではなくて見つかっても逃げればいいのだ精神。
偵察用ドローンを使う相手は人ではなく魔物だ、ドローンが見つかったとしても魔物ならそれが何なのか理解できないだろう。
「それでしたらかなり小さく出来ますね、これくらいでしょうか」
そう言ってヘレナが空中へと投影させた画像には卵一個分ぐらい小さな丸いドローンが映っている。
「これは実寸大?」
「はい」
「こんなに小さく出来るのか………この大きさでカメラ性能はどれぐらいになるの?」
「今使用している物と変わらないです」
今使用しているドローンのカメラ性能は足りないと感じたことが無い、それと同じだけの性能をこの小ささで可能なのか。
「じゃぁ取り合えず偵察用の物はこれにするとして次は形か」
形をどうするか。
「もういっその事シンプルな球体でいいか」
飛行機っぽいやつとか剣みたいなのとか作ってみたいけど、変な形にすると面積が広くなって被弾率あがりそうだしな。
それに卵ほどの大きさの物体ならスピードが多少遅くても的が小さくて被弾しにくそうだ。
「今使っているドローンって100機ほどあるけれど稼働率はどれぐらいなの?」
「普段使用しているのが60機ほど、残りは撃墜されたときや故障のさいの予備として待機しています」
「現状それだけの数で偵察って足りてる?」
「はい、現在の数で大体半径3キロぐらいは隙間なく偵察できています」
100機で3キロの範囲を隙間なく偵察できているなら十分だな、1方向だけに限定すればもっと先まで偵察できるわけだし。
「じゃぁこれで100機作ってみようか」
「はい、製作を開始します」
一般的な食用卵Mサイズとほぼ同じぐらいの大きさの球体を100機、これが偵察用になる。
「じゃぁ次は手榴弾とかを上空から落とすドローンだな」
偵察用が決まれば次だ、手榴弾などの爆発物を投下する専用のドローン。
今までは4つプロペラが付いているドローンで爆発物を投下していたがやはり専用のが欲しい。
なぜ専用のを作るのかというと、今のドローンだと取り付けられる爆発物が限定されているからだ。
そもそも何かを取りつけるように作っていないドローンだから結構無理やりな感じで爆発物を載せて投下させていた。
「爆発物を掴む手のような物が欲しいよな、後はある程度の重量を持てるだけの馬力も。例えばC4爆弾を載せるとして5キロから10キロぐらい載せたい」
「でしたらドローンの大きさは最低でも1メートルほどは必要になると思います」
「1メートルか、カメラは最低限の物で機動性もある程度にしてもそれぐらいは必要かな?」
「はい」
「ふむ、じゃぁ最低でもその大きさにするとして。形か………」
問題はやっぱり形か、どうやって爆発物を運ばせるか。
UFOキャッチャーのように手を作って持つ感じにするのか、ドローンの天板に乗せる感じにするのか。どっちの方がいいんだろう?投下する事を考えるとドローン下部に爆発物を取り付けてそのまま落とすのが楽そうなんだが。
でも手にすると関節とかが弱点になりそうなんだよな、壊れやすいとかありそう。
手じゃなくてハッチのような物にして開閉式にするか?それも壊れやすそうではあるが手よりかはましかもしれない。
「いや、別に下にハッチを付ける必要もないのか」
ドローンの下に爆発物を載せて投下させるのは難しい操作が出来ないから簡単に落とせるようにしているだけだ。その点こっちはヘレナが操作するドローンになる、ある程度の細かい操作は可能だ。
「ならいっその事こうして、こんな感じでどうだ?」
空中投影されたディスプレイをいじり図面を仕上げていく。
出来上がったのは長方形のゴミ箱を横に倒したような形の物だ。設計的には上部にハッチがついていてそこへ爆発物を入れる、投下する時はドローンを横回転させて落とす感じだ。
はい、結局ハッチは作る事にした。
壊れる可能性があるだろうけれどハッチが無いと見た目もよくないし、爆発物が直接見えるのもよくないと思ったからだ。
そもそも下にハッチを作りたくないのは、下の場合中に入れた爆発物の重さでハッチに荷重がかかるからだ。
荷重がかからないようにするためには爆発物を中で吊れるようにしないといけない。機構が増えるとそれだけ弱い部分が増える、扱う爆発物によっては結局機構を増やさないといけないかもしれないがその時はその時だ。
「取り合えずこれは試しで1機だけ作って試してみよう」
「はい、では製作に入ります」
試作機という形にしてまずは使ってみよう、使いにくければまた違う形のを考えよう。
「よし、今日はこの辺にしてゲームでもするか」
作るのに時間かかるだろうし試すのとかは明日だ。
寝る前にオンラインゲームで装備取りに行きたい、週ボスとかも倒しておかないと。