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後日譚176.『ドライアド観察記録 その3』 著者.ラピス・フォン・ドラゴニア

 私たち人族も肌の色が違うように、ドライアドたちも元々暮らしていた場所によって肌の色が違う。それぞれのドライアドの特徴は下記の通りだ。

 肌が白いドライアド。世界樹ユグドラシル周辺で暮らしていた。

 人族の幼児くらいの背丈の子が殆どだが、歳を重ねると少しずつ大きくなっていくらしい。ただ、我々人族と異なり、成長するのにだいぶ時間がかかるそうだ。

 一番長く生きているドライアドは『古株』と呼ばれ、他のドライアドを率いる存在のようだ。肌が白いドライアドの古株はシズト・オトナシが『青バラちゃん』と命名していた。

 古株である『青バラちゃん』はシズト・オトナシが経営している魔動具店の店長を任されている。

 古株が昼間に不在だからか、肌が白いドライアドたちは悠々自適に生活している事が多い。

 最近は白い服を着ている人に引っ付くのがブームになっているようだ。

 試しに私も着てみたが「なんか違う」と言われて引っ付いてくれなかった。

 褐色肌のドライアド。世界樹トネリコ周辺で暮らしている者たちだそうだ。

 彼女たちの背格好は肌が白いドライアドと同じである。『古株』という役割も同様にあり、古株の子は世界樹の代理人であるジューン様によって『ジャスミン』と名付けられている。

 褐色肌の子たちはガレオールの女王ランチェッタ・ディ・ガレオールと協力関係を築いているようだ。

 ガレオールは塩害によって作物がなかなか育て辛い所であったが、シズト・オトナシが作った魔道具によって塩害を抑える事ができる可能性があるそうだ。長期的な影響がないか確認するために実験農場を設けているそうだが、そこで褐色肌の子たちに働いてもらっているそうだ。

 ドライアドは基本的に植物が育ち辛い所では活動が難しいそうで、実験農場の外は潮風がきつく出たがらないらしい。

 ただ、褐色肌の子たちは冒険心が旺盛で、潮風が平気な子もいるらしく、船の貨物や荷馬車にこっそり紛れ込んで『お出かけ』をしている事があるそうだ。


「どうして外を旅するんですか?」

「えー、なんでだろ~?」

「世界が広がっているから?」

「知らない土地が面白そうだから?」

「勢力拡大?」


 …………しばらくドライアドたちの話を眺めていたが、結論は出なかった。彼女たちが特に外に出向くのに、明確な理由は特にないらしい。

 勇者様たちの肌の色と似ているドライアドは、クレストラ大陸にある世界樹フソーで暮らしている。

 彼女たちはどれだけ長い年月生きたとしても小柄である事は変わらないらしい。古株の『お菊ちゃん』と呼ばれているドライアドがそういうのだから間違いないだろう。

 ただ、観察していて気付いた事だが、フソー周辺で暮らしているドライアドは年数が経つにつれて言葉遣いが丁寧になっていくようだ。

 それに何かしらの意味があるのかは謎だが、世界樹の根元に住み着いている大きな梟が関係しているのではないか、と推測している。世界樹の根元に住み着いている魔物についてはまた後日、ドライアドたちとの関係性も含めてまとめようと思う。

 緑色の肌のドライアドはミスティア大陸にある世界樹イルミンスールに籠っている。ファマリアに来る事がなかったため、転移陣を使わせてもらい現地にいって調査をしてきたが、本当に肌が緑色だった。保護色だろうか?

 彼女たちの特徴はとにかく大柄である事だ。他のドライアドたちはその多くが幼児くらいのサイズだったが、人族の成人くらいの大きさの子も中にはいた。

 そんな彼女たちは、一日の大半を寝て過ごしている。起きているドライアドを探しては聞き取りをするのに苦労した。体が大きいからエネルギーを使わないようにしているのだろうか? 真相は謎のままだ。

 最後に、最近発見されたドライアドについてである。

 彼女たちの肌は真っ黒で、暗闇の中に溶け込むようになっている様だった。彼女たちを見てミスティア大陸のドライアドたちも保護色ではないか? と思うようになったのは余談である。

 黒い肌のドライアドたちは夜行性である。どうして彼女たちだけが夜行性なのかは分からないが、世界樹周辺に鬱蒼と広がっている森の中が光をほとんど通さず、暗いのが関係しているのかもしれない。

 夜行性の彼女たちは、昼間は基本的に寝ているそうだ。だが、一部のドライアドたちは森や世界樹に危害が加えられないか警戒するために起きているらしい。

 その原因となった出来事は、一部のエルフが世界樹を伐採しようとしたから、との事だった。ドライアドたちと良好な関係を築いていきたいのであれば、世界樹に傷をつけない事を推奨する。




 以上が現在確認できているドライアドたちの見た目と性格の特徴についてのまとめである。

 だが、ミスティア大陸には『大樹海』と呼ばれる広大な森が大陸を分断している。そこにもドライアドがいるのではないか、という話があったので後日調査に向かおうと思っている。

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