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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第26章 他力本願で生きていこう

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541.事なかれ主義者は手詰まりになった

 思わず捕まえてしまった邪神の信奉者(?)は、それはもうとても怒った。

 口汚く罵りながら、自由の利く部分を動かしまくったせいで、シェルター周辺の大地が無残な事になっている。

 シェルターの方には傷一つないし、抜けそうにもない。明がシェルターに『重量化』とか『固定化』とかそういう感じの効果がある魔法を使ってくれたからのもある。

 ただ、残念ながら邪神の信奉者をどうにかする方法は未だ思いついていない。

 あの巨体だから全身をすっぽりと包み込んで身動きできなくするのも難しい。アダマンタイトをやっぱりもっと買い占めておけばよかったと後悔している。

 ただ、アダマンタイトが無尽蔵にあってもそれが上手くいったかは分からない。

 アダマンタイトは他の金属と比べると【加工】の習熟度が低い。薄く、素早く、正確に包み込むのは正直難しいだろう。


「食料は一ヵ月分くらいの備蓄がアイテムバッグの中にありました、マスター。ダンジョン探索用のアイテムバッグを持参していた事が功を奏したようです」

「確認ありがと、ホムラ」


 転移魔法が使えない状況がどのくらい続くのかは分からないけど、長期戦になる事も想定して食料などの確認をしてもらったけど、十分すぎるほどあるようだ。っていうか、一ヵ月もこの中で暮らすのはしんどいのでできればさっさと終わらせたい。


「ご主人様。謎の大地の変色は未だに続いているわ。このペースで変色が広がっていくと、今日中にはファマリアにも影響が出る可能性があるわね」

「こっちの方は何とかしないといけないのか……。十中八九呪い関係の変色だよね、あれって。どのくらいの影響があるか分からないから、さっさと逃げた方が良いんだろうけど……不毛の大地を覆っている変な黒いやつのせいで外には出れないんだよね?」

「そうね、ご主人様。機動力のあるライデンに確認してもらったけど、通れなかったようよ。一種の結界のような物だろう、という事だったわ」


 ユキに確認してもらっていた方はあんまり状況が良くないようだ。

 こうなったらあのよく分かんないデカブツを何とかするしかないんだけど、明たちは諦めてしまっているようだ。

 明にお願いして映像を元に遠距離魔法を放って貰ったけど上級魔法ですらダメージを全く与える事ができていなかった。明は「だから言ったじゃないですか」と驚いてすらいない。

 映像を見る限り、とてつもない威力の雷が何回も落ちてたけど、それでもまったく聞いてないなんてあれは本当に生物なんだろうか。

 姫花にも念のため神聖魔法を使って見てもらったけど、そもそもあれはアンデッド系の魔物ではないから効果がないらしい。

 近接戦闘を主体としている陽太は戦力外のため、パメラと争いながらポテチを食べ続けていた。本人曰く、もしもの時に全力で戦う事が出来るように力を蓄えておくためらしい。

 ファマリアにいれば空に浮かぶ魔道具を作るとかいろいろやりようはあっただろうけど、ここじゃそれもできないだろうし……。


「よく分からないデスけど、パメラたちみたいに丸ごと閉じ込めてみたらどうデスか?」

「丸ごと?」

「このシェルターの事ではないでしょうか? 暴れ回る相手を封じるためにぴったりと包み込む事は難しいとの事ですが建物を作る要領で周囲を丸ごと覆ってしまえば……」

「……まあ、限りなく薄くすればできるかもしれないけど、明たちが外に向けて魔法を使えていたし、あんまり意味ないんじゃないかなぁ」

「どのような加護を使っているのか分かりませんし、とりあえずやってみるのはいかがでしょう?」


 まあ、確かにどうなるかはジュリウスの言う通りやって見ない事は分からないし、サイズさえ間違えなければギリギリ行けるだろう。


「でも、加工中の金属は液体みたいなもんだから邪魔されたらうまく囲えないよ?」

「そこについては魔法が使える者に注意を惹いてもらいましょう」




 明と姫花に魔法を使ってもらってあのデカブツの注意を惹いてもらっている間にササッと【加工】をした。これでアダマンタイトの残量はなくなってしまったけど、無事に包み込む事が出来た。


「どう? 大地に広がってるの止まった?」


 僕の問いかけに答えたのはホムラだった。

 首をゆっくりと振って「以前、変化がないようです、マスター」と答えた。

 あのデカブツが大地に触れていようがいなかろうが、もうあの大地の変色は止まらないらしい。


「伝播する加護のような物でしょうか?」

「でもあれって、生きている者同士が触れ合わないと移らないんでしょ?」

「そうですね。ただ、それに似た別の加護があっても不思議ではありません。邪神に限らず、似て非なる加護を複数授ける神はいますから」

「そう……でもそうなるとあの喚いている人……? の加護を封じたり倒したりしても大地の変色はとまらない、とかない?」

「やって見ない事には分かりません」


 ジュリウスは静かに首を振った。いくら長く生きていると言っても、『鑑定』の魔法がなぜか通らなかった相手の加護が分かるわけもないか。

 大地の変色を止める方法として思いつくのは相手の加護を無力化するか、殺すかくらいだけど……どちらも方法は思いつかない。

 明の最大攻撃力を誇る魔法は全く通用しなかった。

 僕が作っている加護無しシリーズの魔道具は効くかもしれないけど、それを相手に取り付ける方法がない。

 拘束しているアダマンタイトに直接付与できればもしかしたら行けるかもしれないけど、それをしたらシェルターに固定している関係で僕たちまで加護を使えなくなってしまう。

 囲ってしまったから逃げられる事はないだろうし、拘束している部分だけを切り離してもいいんだけど、それをしたら直接触らないと【付与】ができない。


「……もうこうなったら神様に打開策がないか聞いてみるか」

「教会でもないのに、どうやって尋ねるんですか……」

「お祈りしたら答えてくれる時あるじゃん?」

「いや、そんな事ありませんでしたけど……」


 明たちが変な者を見るような目で僕を見てきた。

 あれ、もしかしてこれって一種のチートなのか?

 いや、単純に加護を授けている相手がほとんどいないから祈りが届きやすいだけか……?

 分からないけど、藁にもすがる思いで祈りを捧げた。

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