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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第25章 片手間にサポートしながら生きていこう

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538.事なかれ主義者は大きさに驚いた

 四十二階層、四十三階層は素通りした明たちは四十四階層に降り立ったようだ。

 四十四階層も暗闇に覆われていたけど、広い空間だという事は『魔動カメラ』に追加で付与した『暗視』の魔法のおかげで分かる。


「ほんとにダンジョン内に建物を建てて生活してるみたいだね。こんな真っ暗な中で生活できるとは思えないけど……。っていうか、畑みたいな物まであるじゃん! どうやって育ててるんだろう?」


 魔道具を通して見ているからか、植物を見ても育て方とかは頭の中に入って来ない。

 ファマ様から授かった【生育】の加護のおかげで植物を見ればだいたいどうすれば分かるのに不思議な感じだ。


「ダンジョンでしか育たない作物を育てているのでしょう」

「そんなのもあるんだ?」


 光合成をしなくても問題ないのはダンジョンの魔力を栄養としているからなのだろうか?

 気になる事は多々あったけど、明たちは日が暮れる前には一度帰りたいらしいので既に動き始めていた。

 事前にどんな場所か世界樹の番人が捕らえた者たちから聞き出してくれたおかげで対策も練る事ができていた。どうやって聞いたのかは怖いので聞かない。


『設置完了しました。魔道具、起動します』


 建物の中にいるであろう者たちに気付かれないように気をつけながら、ぐるりと囲むように設置していったのは『加護封じの結界』と便宜上呼ぶ事にした魔道具だ。先程サクッと作って明が持っているアイテムバッグと『共有化』している魔道具に突っ込んでおいた。

 結界内では加護を使えなくする魔道具なので、明たちにも少なからず影響はあるけど、それよりも呪いの加護を封じる方が先決だと判断したようだ。

 邪神の信奉者は一部を除き、基本的には加護を用いた呪いに特化しているので、加護を封じてしまえば制圧もスムーズにいくのではないか、とかなんとか言ってたな。

 魔道具が無事に発動している事を確認した陽太たちは早速建物に突入した。


「明たちは加護無くても大丈夫なんかな」

「問題ないでしょう。加護を使えなくても、詠唱さえ覚えていれば魔法は使えますから。前衛職の筋力増加などの恩恵がある加護は普段と感覚が違って戸惑う所はあるかと思いますが、そうなると分かってさえいれば大丈夫でしょう」


 ジュリウスが言った通り、建物に入った明たちはどんどん相手を無力化していく。

 罪もない冒険者とかいたら困るな、とか思ったけど建物の中には邪神の信奉者しかいなかったっぽい。

 慌てふためいて「神よ、お助けください!」とか叫んでいる物もいたけど結界内ではどれだけ頑張っても加護を使う事はできないので、陽太にボコボコにされて無力化されていた。

 その様子を見ていたドーラさんがぽつりと呟く。


「捕虜収容所に使えそう」

「そうですね。しばらく戦は起きないでしょうが、あってもいいかもしれませんね」


 結構強力な魔道具だから今後使われる事はなくなるかと思ったけど、今回のダンジョン探索が終わってもアイテムバッグの肥やしになる事はなさそうだ。




 四十四階層も無事に制圧する事ができた。

 途中の階層の構造が単純すぎたので探索がサクサクと進んでいたけど、お昼ご飯の時間を過ぎていたので次の日にフロアボスの階層に行く事になった。

 ダンジョンの魔物がリスポーンしてしまうかもしれない、という懸念点はあったけど、翌日ダンジョンに潜った時には特に魔物は生まれてなかった。


「魔物が生まれない階層なのかもしれませんね」

「都合が良すぎる」

「そうですね。明らかに拠点にする前提の構造なのがひっかかります」


 ジュリウスとドーラさんが何やら後ろで話をしている。どうやら『亡者の巣窟』は普通のダンジョンではないようだ。


「ダンジョンマスターが意思疎通できるタイプだったとかでしょうか?」

「協力関係、聞いた事ない」

「ダンジョンマスターってなに?」

「ダンジョンコアを守る最後のフロアボスの事です」

「相手は魔物。協力関係なんて無理」

「魔物を従える力があったらどうでしょうか? 邪神の加護で有名なのは『呪い』ですが、他に何かあっても不思議ではないかと」

「難しい話はよく分かんないデース。その内分かる事デスよ」


 ジュリウスとドーラさんの話を頑張って聞いていたパメラだったけど、飽きてしまったようだ。

 とりあえずダンジョンの奥に進んでしまわないようにパメラを後ろからギュッと抱きしめて捕まえておく。


「お兄ちゃん? あーしをしっかり背負って欲しいんですけど?」

「ごめんごめん」


 背中に背負われているクーが不満げな声を出したので、左手でクーのお尻辺りを支え、右手でパメラを抑えておく。

 抑えられている間はパメラも大人しくしてくれているんだけど、両手じゃなくても大丈夫なようだ。


「お兄ちゃんのエッチ~」

「いや、片手で支えるんだったらここしかなくない!?」

「あ、階段を下りるデスよ!」


 魔物も、邪神の信奉者もいない事を確認し終えた明たちは四十五階層へと向かっている。

 その様子を見ていたけど、やっぱり階下に続く階段も、四十五階層も真っ暗だった。

 でも魔道具に付与した『暗視』のおかげで何があるかは見える。

 大きな扉が明たちの目の前にある。

 明たちはそれぞれが準備できているかを確認すると扉を開けた。


「……………でかくない?」


 扉を開けた先に見えたのは、蛇のような胴体だけだった。いや、竜かもしれない。

 分からないけど、全貌が見えない。

 なぜか明たちが一歩も前に進まないから何かしらトラブルが起きたのかもしれない。

 どうしたのか問いかけようとマイクを手に取った時、動きがあった。


『……せっかくいい所だったのに………はぁ。何でこんな所に人間がいるのかなぁ?』


 先ほどまで見えていた蛇の胴体のような物が動く。

 頭……というか、体を持ち上げた蛇の下半身を持つ巨大な何かが明たちを見下ろしていた。

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