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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第25章 片手間にサポートしながら生きていこう

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537.事なかれ主義者は邪魔をした

 明たちが亡者の巣窟の四十一階層目をしばらく探索していると、流石に異変に気付いたのか歌が聞こえ始めた。

 反響してどこから聞こえてくるのか分からないっぽいけど、しらみつぶしで探していくしかないだろう。

 明たちはヘッドセットに付与した『念話』によってお互いだけ意思疎通をしているので、どんなやり取りをしているかは分からないけど、なんか身振り手振りを交えて話をしている時もあるようだった。


「事前に決めたサインで端的に指示をする事はよくある」

「そうなんデスか?」

「……パメラは例外」

「よく冒険者やってこれたね」


 暇だからと騒ぐパメラを捕まえて、頭を撫でつつ映像を見る。どうやら接敵したようだ。

 敵は広い空間に乱雑に配置された大きな岩の上に座っていた。

 真っ暗闇の中だというのに、向こうもしっかり明たちを補足しているようだ。

 明たちと同じく、暗闇を見通す魔法か何かがあるのかもしれない。

 その敵の見た目は――。


「人間?」

「見た目はそうですが、魔物の可能性もあります。が、明たちが『加護封じの流星錘』を使う所を見ると加護持ちのようですね」


 ジュリウスが説明してくれたように、前衛の陽太が魔道具『加護無しの流星錘』を振り回して一気に距離を詰めている。

 ラックさんはそれについて行かず、周辺の警戒をしているようだ。

 明は戦闘になっても光魔法を使う様子はない。

 ゴーグルをつけているから視野は狭まるけど、魔力探知で十分対応できるし、光魔法は使っても空間全体を明るく照らす事は出来ない可能性が高いからだろう。

 また、ゴーグルにもいくつか魔法を【付与】している。当然、相手の加護を見分ける『鑑定』もつけておいた。

 それで加護を授かっている事が分かったからこそ『加護無しの流星錘』でまずは捕らえる事にしたのだろう。


「……魔物でも加護を授かる事はあるのかな?」

「そうですね……通常の神々であれば信仰を広めるために意思の疎通ができる者に加護を授けると思います。魔物に与えても信仰が広まるとは考え辛いので与えていないのではないかと思いますが、もしかしたら我々が気づいていないだけで加護を授かっている魔物がいても不思議ではありません」

「あ、捕まえたみたいデース」

「早っ!?」


 話をしているジュリウスの方を見ている間に陽太はサクッと敵を捕まえてしまったようだ。


「相手は遠距離主体。【剣聖】の加護を授かった勇者。当然の結果」

「なるほど……陽太もすごいんだね」

「ん」


 ドーラさんはこくりと頷いた。

 基本的に陽太と話す時はジュリウスが近くにいるから大丈夫だと思っていたけど、万が一敵対した時のために何かしら考えておくべきだろうか、と考えているとスクリーンの近くに設置された『魔動スピーカー』から明の声がした。


『静人、聞こえてますか?』

「あ、うん。聞こえてるよ」


 慌てて持っていた『魔動マイク』に魔力を込めて返事をすると明は『通信も良好なようですね』と言った後に言葉を続けた。


『恐らく人間だと思いますが確認のため一度戻ります』

「分かった。気を付けてね」


 明は返事を返さず、カメラに向けて手を振っただけだった。




 どうやら『亡者の巣窟』は邪神に加護を授かった者たちが潜んでいる場所だったらしい。

 何でこんな場所に、とかいろいろ疑問点はあるけど、今はとりあえず一網打尽にする事に専念する事にした。

 あの後も探索を続けた陽太たちは、同じ階層にいた人間を二名、捕えていた。捕えた者の搬送は、外で待機してたエルフたちが担ってくれたのでとんとん拍子に進んでいる。

 三人共今は一先ず作った檻の中に閉じ込めているが、「呪われてしまえ!」とか「今すぐにあのお方がやってくるぞ!」とか言っているらしい。


『静人、聞こえますか。次の階層に下ります。新しい階層で必要そうな物があれば作ってください』

「分かった。見てるけど、情報はしっかりと教えてね」

『分かってます』


 階段を下りてついた先も暗い坑道のような場所だった。

 明が持っている『自動探知地図』には地形だけが表示されている。

 今回は複雑に入り組んだ迷路のような階層だった。これは全部を見るのは骨が折れそうだ、とは思ったけど捕らえた人たちと話をしていたエルフたちから報告を受けたジュリウスが「最短距離で次の階層に移って大丈夫そうです」と伝えてきた。

 どうやら四十二階層には他の出口へと通じる転移陣があるだけで特に誰かがいるという訳ではないらしい。

 その次の四十三階層は食糧庫のような扱いになっている場所で基本的に誰もいないんだそうだ。

 四十四階層には建物があり、そこで生活をしている者たちが一定数いるし、話し合いをしている時もあるらしい。


「ちょうど今の時間帯は話し合いをしている時間帯らしいです」

「昼前なのに出かけてないんだね」

「元々闇夜に紛れて現れる者たちでしたが、シズト様の魔道具の影響で昼間から活動し辛い、というのも影響しているのかもしれません。それで、陽太たちの事ですが……このまま一気に四十四階層まで進ませるのはどうかと愚考します」

「そう、だね。でもその前に……転移陣の場所は把握できてる?」

「はい。問題なく」

「じゃあちょっと使えないように細工しておいてもらおうかな」


 後から戻ってきた人たちに明たちが挟み撃ちをされるのも避けたいしね。

 という事で明たちに連絡して転移陣に細工をして回ってもらった。

 まあ、細工と言っても魔法を【付与】した魔石を転移陣の上においてもらっただけなんだけど……これでしばらくは転移して戻ってくる事は出来ないだろう。

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