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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第25章 片手間にサポートしながら生きていこう

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526.事なかれ主義者は身動きが取れなかった

 それから数日経ったけど、陽太は結局毎回遅刻した。

 そして、毎回終わりの時間が後ろにずれこんでしまって姫花が文句を言いながら帰ってきていたらしい。

 陽太もお気に入りの子を指名しようとしたけど、人気な子で既に他の人から指名が入っていたそうだ。ここ数日、その子と一緒に夜を過ごす事ができずにイライラしている様だった。


「このおっさんから変えてくれよ!!」


 魂の叫びだったけど、約束は約束だ、と明は陽太をドランの屋敷に住まわせる事にしたようだ。

 誓文書を交わしていたのはこうなるって分かっていたからなんだろうなぁ。


「いやぁ……申し訳ない」

「たいちょ……ラックの不運は今に始まった事じゃないですからね」

「こうなるのは当然」


 しみじみとカレンさんとシールダーさんが言った通り、遅れてしまったのはラックさんが不運にもトラブルに巻き込まれて、陽太も道連れになったのが原因だった。

 ラックさんを見捨てて集合場所に集まるという選択肢もあっただろうに、なんだかんだラックさんを助けてしまうのが陽太の良い所なんだけど……こればっかりはパーティー内の事だから僕が口を出す事じゃないだろう。


「まあまあ、ヨウタ、落ち着いて。宿代が浮くし、朝から探索できるようになるだろうから報酬も当然増えるだろう? そうしたらもっと高い子と遊ぶことだってできるし、いっぺんに複数人だって夢じゃないよ?」


 そういう話はドライアドたちがいない所でお願いしたいなぁ。

 時刻は昼間で、周りにはドライアドが日向ぼっこをしている時間帯だった。


「ほんとにパーティーの資金から出すの? それなら姫花の分も出してほしいんだけど?」

「であれば、ドランの屋敷に住めばいいですよ。そこら辺の交渉も終わってますから」


 ドランの屋敷は夜はセバスチャン以外泊まっていないので明たちに貸し出す事になったらしい。

 昼間は商人やら王侯貴族やらが訪れるけど、勇者が警備をしている、という体にしておけば特に問題もない感じらしいし文句があるならファマリアまで来ればいいってだけだ。

 向こうはあくまでファマリアまで来るのが面倒な時のために仮で受け入れてもらっているだけだし。


「でも食事は自分たちで作らなきゃいけないんでしょ? めんどくさっ」

「そのくらいできないと嫁の貰い手なくなるんじゃないですか?」

「その発言時代遅れじゃない?」

「そもそも世界が違いますから、価値観や文化が異なるのは当然でしょう」

「姫花は癒しの力もあるからぁ、そういうのしなくてもお手伝いさん雇えばいいだけだし~。そうだ! お手伝いさんを雇えばいいじゃん! それで、ご飯を作ってもらえば万事解決でしょ?」

「可愛い子で募集かけようぜ!」

「「却下」」


 明と姫花の声が重なった。

 面倒事を持ち込まれたくないし、屋敷で陽太たちが夜にお楽しみをしていると考えると向こうの屋敷は使いたくなくなるからやめて欲しい。


「なんでだよ。エロい事しなければいいんだろ? 見てるだけだったらいいじゃねぇか。それこそ、シズトから可愛い奴隷派遣してもらえば――」

「ウチの子たちはそういう目的で買ってるわけじゃないからダメでーす」

「で~す!」

「です!」

「ですわ?」


 陽太が僕を見下ろした。そんな目で見ても決定は変わらないです。


「……さっきから気になってたんですけど、何してるんですか」

「日向ぼっこだけど?」

「ぽかぽか!」

「温かい!」


 ジュリウスが用意してくれた絨毯の上で横たわっているとドライアドたちも集まってくるので絨毯の上は大混雑している。

 その様子を先程まではスルーしていた明だったが「そうですか……」とだけ言って話を戻した。


「可愛い子を募集はかけませんが、食事を準備する人を雇うのはありですね。全員分の食費がそれで賄えるでしょうし」

「あれ、明も結局泊まる事にするの?」

「はい。それが効率的ですから」


 僕の問いかけにチラッとこちらに視線を向けて返事をした明だったが、すぐに姫花に視線を移した。


「そういう訳ですから、姫花も一緒にどうですか? 部屋数も多いですし、お風呂も当然のようにありましたよ。もっと大きなお風呂で人が少ない所に行きたいって言ってたじゃないですか」

「そうだけど~……」

「とりあえず、少しの間お試しで泊って、気に入らなかったら出て行けばいいと思いますよ。ただ、その場合は自腹で宿代などは払って頂きますが」

「はぁ。分かったわよ。……部屋が余ってんならシールダーも泊まるの? それなら姫花、シールダーの隣の部屋が良いんだけど」

「いや、俺は帰る」

「ドランには宿舎がありますからね」


 それまで黙って成り行きを見守っていたカレンさんがシールダーの意見に賛同した。どうやら彼女もまた宿舎とやらに帰るらしい。


「じゃあ、俺も今まで通り宿舎で……」


 ラックさんは今までも宿舎で寝泊まりする日があったみたいだったけど、満場一致で屋敷に寝泊まりする事になった。

 まあ、ここ数日の遅刻の原因がラックさんだもんね。


「料理人の手配などはこちらで進めていいですか?」

「そこら辺は向こうにいるセバスチャンに相談して。余計な人を招き入れたくないかもしれないし」

「分かりました」


 明はそう答えると、陽太たちを連れて転移陣を使ってドランへと向かった。

 明たちがいなくなって若干警戒モードだったドライアドたちも普段の様子に戻ったので、日向ぼっこもおしまいに……したかったけど、起き上がろうと体勢を変えたら、ドライアドたちが僕の足やらお腹やらの上に乗ってきて身動きが取れなくなってしまった。


「助けてジュリウス」

「かしこまりました」

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