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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

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幕間の物語257.『ドライアド観察記録 その2』 著者.ラピス・フォン・ドラゴニア

 世界樹周辺に生息していると判明したドライアドは、未だに謎が多い種族だ。

 前回の記録で推測した事柄は経過観察中だが、私一人では解明できない事も多々あるだろう。

 それでも記録を取り、後世の研究者たちにこの記録が何かしらの役に立てばと思い、筆を執る。

 これ以降はその記録である。




 観察記録を発表した際に質問があった内容をいくつか聞く事にした。

 まず最大の疑問は彼女たちがどうやって増えているのか、という点だ。

 彼女たち、と書いている通り、ドライアドたちは女性しかいない。見た目的に女性、というよりも女児な気もするが、今回はそれはどうでもいい事なので置いておく。

 ドライアドたちは人族でいうと大体五歳ぐらいの見た目をしている。

 もちろん、中にはもっと幼いドライアドもいたが、その子たちはまだ生まれたばかりで成長中らしく、会話らしい会話もできない。

 どのくらい経てば成長するのか分からないが、少なくとも一年で一気に成長する人族と比べると成長は遅いだろう。

 話はそれてしまったが、見た目的に女性しかいないドライアドたちがどうやって増えているのか、いろいろな説があった。

 精霊と同じく自然発生する説が現在の主流派だ。

 他種族の異性を捕らえたり、頭に咲いている花に他の植物から飛んできた花粉を受粉させたりしている、という説もあるがそれらは少数派だろう。

 結論から述べると、主流派が合っていたらしい。

 これは、ドライアドたちの中でも『古株』と呼ばれるリーダー格の子たちに聞いたので間違いないだろう。


「私たちは、ユグちゃんから生まれたんだよ」と頭の上に咲いた青いバラが特徴的なドライアドが言えば「私たちはリコちゃんから!」と負けじと教えてくれたのはジャスミンの花を咲かせた褐色肌のドライアドだ。

「私たちはフソーちゃんからです」と最後に教えてくれたのは菊の花を咲かせたドライアドだった。

 どうやら、ドライアドたちは世界樹の近くに生えていた植物に、世界樹から漏れ出る濃度の高い魔力が影響して生まれるようだ。

 ドライアドがお気に入りの植物以外の世話をする理由はその中からゆくゆくは、新たなドライアドが生まれるかもしれないからだそうだ。

 この事実を知るのに聞き取るのに時間がかかるだろう、と覚悟をしていたが、クレストラ大陸にある世界樹フソーで暮らしていた古株のジャスミンちゃんと、彼女に協力を依頼してくれたシズト様、ランチェッタ様には感謝しかない。


「……世界樹ユグドラシルでは白色の肌のドライアドである青バラちゃんたちが、世界樹トネリコでは褐色肌のドライアドであるジャスミンちゃんたちが生まれたという事であってますか?」

「そうだよ~」

「異議なし!」

「世界樹フソーでは勇者様たちの肌と似た色のお菊ちゃんたちが生まれた、と」

「はい、そうです。それが何か?」

「では、世界樹ファマリーでもドライアドは生まれているのでしょうか? であれば、この後にシズト様に聞き取りを依頼する必要があるのですが……」

「まだ生まれてないよ~」

「ファマちゃんはまだ自我が薄いから。ね~」

「そうですね。もう少し自我がはっきりしてから生まれるでしょう」

「なるほど……ちなみに、ファマちゃんというのは世界樹ファマリーの事であっていますか? 神様の名と同じで紛らわしいのですが……」

「じゃあリーちゃんにする?」

「異議なーし」

「私たちは今のところリーちゃんのところに赴いた事はないので、呼び方にこだわりはありません」


 呼び方に関する問いをするんじゃなかった。

 自由に話があっちこっち飛んでしまった。

 軌道修正するのは大変らしいので、しばらく自由に話をしてもらっている間に私は新たに分かったことをまとめておく。

 ドライアドたちは世界樹の周辺に生えている植物が、世界樹の魔力の影響で生まれる。

 多くの精霊と呼ばれる存在と同じく、ドライアド同士や、異種族と交わって生まれるという説や、受粉によって生まれるという事はないようだ。

 では、どうして我々人間のような見た目をしているのか、生殖機能は存在しないのか、世界樹ファマリーから生まれるドライアドはどんな姿形をしているのかなど気になることが新たに生まれたが、私だけで解明するのは難しいだろう。

 今はとにかく、観察を通して推測した事柄を確認するだけに留めようと思う。

 私が挙手をすると、話が落ち着き始めたドライアドたちが話を止めてこちらを注視してくれた。これは我が姉であるレヴィア・フォン・ドラゴニアがドライアドたちに指示をする前によくしている仕草だった。


「次の質問に移ってもよろしいでしょうか?」

「いいよ~」

「どんとこい!」

「構いません」


 三者三様の返事を頂いたので、次の問いに移る。

 彼女たちは食事をする必要があるのか、という点だ。

 精霊であるのであれば食事を必要としないはずだが、時折彼女たちは収穫物を食べているのを見る事がある。

 排泄をしている様子を見た事がないので、その食べた物がどこに消えているのかも気になるのだが、あまりデリケートな質問は避けたい。まだ関係構築ができていないからだ。


「んー、美味しそうだから食べてるだけだよ?」

「食べなくても平気!」

「でも魔力が薄い所だと食べる必要があります」

「食事をする事で魔力の変換をしている、という事でしょうか?」

「そう!」

「食べなくても平気だけど、お菓子は美味しい!」

「同意します。魔法生物さんからお裾分けを貰いましたが、あれはとても美味でした」


 ドライアドには味覚があるようだ。

 食べ物の好みもあるようだが、甘い物でも酸っぱい物でも、苦い物でも好きな子は好きなようだ。

 育てられている作物を丸かじりをしている様子を見ると、よく食べている物の味が特に好み、という事なのかもしれない。

 ただ、やはり食事自体はしなくてもいいようだ。そこは魔力から生まれたと言われている精霊や魔物と同じようだ。

 世界樹から漏れ出る魔力さえあれば生きていられるらしい。

 そうなると、世界樹周辺と比べると魔力濃度が低い街や村、森などで生活していないのにも頷ける。

 私がメモをしている間にどんなお菓子が美味しかったかプレゼン大会が始まってしまっていたが、議論が過熱して収拾がつかなくなり、時間となってしまった。

 次回開催時期は未定だが、今回の聞き取りで関係ない話を自由気ままにし始めてしまう事が改めて分かったので、手際よく質問をする事ができるように質問の流れも含めて考えておこうと思う。

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