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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

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515.事なかれ主義者はそっとしておく事にした

 アマテラスを訪れた翌朝もいつも通りの時間にパチッと目が覚めた。

 隣を見ると昨日のお世話係だったユキが生地の薄いネグリジェを着て横になっている。

 胸元が大胆に空いているから大きく膨らんだ胸に視線が行きそうになるけど何とか堪えた。

 肌とは対照的に真っ白な髪をそっと撫でてみて、様子を窺う。

 彼女はまだ寝て……ないな、これ。狸寝入りだ。

 そっと視線を逸らしてユキに声をかける。


「ユキ、起きてるなら部屋から出てって」

「………」

「寝たフリしても分かるからね。ほら、早く起きて」

「キスをしてくれたら起きるわ、ご主人様」

「会話ができてる時点で起きてるじゃん」

「これは寝言よ、ご主人様」

「ほんとにそうだったらびっくりだよ。ほら、今日は朝食を食べたらファマリーに一度帰るんだから早く起きて!」


 彼女の方を見ずに彼女の体を揺さぶっていたけど、なんか手を掴まれた。

 なんだ? と疑問に思っているのも束の間、僕の手は動かされて手のひらに柔らかな感触を感じた。

 慌てて手を引っ込めるとスケスケのネグリジェ姿の彼女を極力直視しないように気を付けつつ体を無理矢理起こし、部屋から追い出した。


「据え膳食わぬは男の恥って、ご主人様の世界で言うんじゃないかしら?」

「そういうのは日が落ちてからするものなんだよ。ほら、朝ご飯食べる前に色々準備があるんじゃない? 女性の身支度って時間がかかるっていうし、早く自分の部屋に戻って」


 ユキの返事を待たずにばたんと扉を閉めると、僕は今日着る服をアイテムバッグの中に手を突っ込んで取り出した。

 今日は特に誰かと対談する予定はないし、普段のラフな格好でいいだろう。

 無地の長ズボンと、手編みのセーターを着る。魔道具化しているからどんな気温でも暑くも寒くもないんだけど、季節でいえば冬だからそれっぽい格好にした。世界樹の周りは魔力の影響で気候が安定するみたいだからあんまり冬っぽさはないけど。

 季節を実感できるように何かしらのイベントでも企画するべきかなぁ、なんて事を考えながら部屋を出るとレヴィさんとセシリアさんが部屋の前で待っていた。


「おはようなのですわ!」

「おはようございます、シズト様」


 レヴィさんは最近よく着ているオーバーオールを着ている。お腹あたりにあるポケットの中にはいつでも魔道具に魔石をセットできるようにするためか、魔石が詰め込まれているようだった。

 セシリアさんはいつものメイド服を着ている。長いスカートでも問題なくレヴィさんを追いかけ回しているけど転けたりしないかいつもハラハラしている。

 ただ、メイド服にこだわりがあるのか、動きやすいからといってミニスカートにはしなかった。いつもスカートを持ち上げて裾を踏まないようにしながら追いかけ回している。


「おはよう。今日も朝から農作業してたの?」

「当然ですわ!」

「なんともなかった?」

「問題ないのですわ!」


 規格外の大きさの胸を張って答えるレヴィさんから視線を外してセシリアさんを見ると、彼女もゆっくりと頷いた。


「今日も普段通り、朝日が昇る少し前から支度を整え、ドライアドたちが活動し始める頃に一緒に作物の世話をしていました。危ない場面は特にありませんでした。ドライアドたちはレヴィア様のお腹の中の子が気になるのか、レヴィア様のお腹に視線が集まっていましたが、アクションは特になかったです」

「特に何もなければいいけど、くれぐれも気をつけてね?」

「分かっているのですわ〜」


 レヴィさんが妊娠してそろそろ十三週目。そろそろお腹の膨らみも分かるようになってきた。

 流産の心配は神様パワーでほとんどないとはいえ、授業で何となく知っている知識でも人が生まれるっていうのは大変な事だとは分かる。

 僕もレヴィさんと一緒にいる時は気を付けないと……と思いながらさっそうと階段を下りていくレヴィさんを慌てて追った。




 世界樹フソーと世界樹イルミンスールのそれぞれの根元に転移陣を設置したので、シグニール大陸を経由せずにミスティア大陸へと移動する事が可能になった。

 ただ、そうなるとランチェッタさんとディアーヌさんの二人に会う機会がほんとに少なくなってしまうので、世界樹フソーのお世話をし終えた後、当初の予定通り一度ファマリーに戻る事にした。

 出迎えてくれたのは転移陣の輝きを見に集まった肌が白いドライアドと黒いドライアド、それからアンジェラとリーヴィアだった。


「おかえり、シズトさま。ランチェッタさまはご飯を食べたらお仕事に行っちゃったよ。お昼に一度戻ってくるって言ってたよ」

「そっか、教えてくれてありがと。またちょっと背が伸びた?」

「そうかなぁ。分かんない!」


 気のせいかな。当初あった時よりも頭の位置は高くなったけどまだ撫でやすい高さだ。

 アンジェラの相手をしている間、リーヴィアは護衛としてついて来ていた世界樹の番人たちの輪の中に向かっていたけど、その中でも一番背が低いジュリーニに何やら話しかけ、すぐに走ってどこかに行ってしまった。

 アンジェラは「しょうがないなぁ、リーヴィアちゃんは」と、ため息を吐くと彼女の後を追いかけて行った。

 何を話していたか分からないけど、なにやらジュリーニが他の世界樹の番人たちに弄られているような気がする。

 耳をピンと立てて聞いていた雰囲気があるシンシーラやエミリーに聞いたら教えてくれるかな、って思ったけど二人ともにんまりと笑っただけで教えてくれなかった。


「当事者たちが言うのなら私たちも言ってもいいかもしれませんが、そうじゃないなら口を噤んでそっとしておくのが良いと思います」

「下手に拗れた時が面倒じゃん」

「……僕が知らなくても問題ない?」

「まあ、問題ないんじゃないですかね?」

「シズト様には直接関係ないじゃん」

「それなら……まあ、いいか」

「この後は自由行動じゃん?」

「ちょっとお昼の支度とかするべき事とかあるので解散でよろしかったでしょうか?」

「ん? まあ、そうだね」


 ノエルは戻ってきた瞬間に屋敷に走って行っちゃったし、レヴィさんはリーヴィアとジュリーニのやり取りに興味がなかったのか、ドライアドたちを連れてポーションの材料となる薬草の畑の方に行っちゃったし、自由にしても問題ないでしょ。

 レヴィさんたちが準備をしてくれているし、お昼まではとりあえず薬草の量産でもしてようかな。

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