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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

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514.事なかれ主義者はとりあえず餌付けをした

 水晶球を使った占いが終わった後もパメラが興味を示す占いをした。

 手相では「何事もなければ長生きできる」と言われたけど「子宝にも恵まれるだろう」とも言われた。

 ジューンさんが後から教えてくれたけど、手相を見るって言った人は加護を使っていなかったので、黒い髪に黒い瞳を持ち、他種族の女性を連れ回しているのを見てありきたりな事を言ったのだろう、という事だった。


「勇者様は襲われなければ長生きしぃ、女性から慕われやすいですからぁ」

「なるほど」

「加護がないのに首都で占い師として活動できている時点で、そういう観察眼や洞察力は高いとは思いますよ。加護持ちの占い師と比べると列は少ないですが、それでも常に誰かは並んでいましたよね? 加護持ちの占い師と比べると安いから、というのもありますけど占い結果にさほど興味はないから、安く済ませたいっていう人が利用しているんじゃないでしょうか」

「興味ないならそもそも占いをしなければいいのに」

「そういう国民性なのでしょう」


 そういうものなのか。

 あー、でも朝の天気予報とかニュースの後の星座占いは何となくチェックしてたなぁ。

 ラッキーアイテムはこれ! とか言われても別にわざわざ用意する事はなかったけど、一位だったら「なんか今日は良い事がある気がする」とか思って出かけてたっけ。

 初詣をした時は必ずおみくじを引いてたし、人の事をとやかく言えないかもしれない。


「ここのお店から良い匂いがするです!」

「じゃあ、そこでいいんじゃない?」

「少し並んでますけどぉ、のんびり待ちましょ~」


 お昼時という事でどこの飲食店も賑わっていた。

 とりあえずパメラが選んだお店にしたけど、時代劇に出てきそうな感じの古い木造建築のお店だった。

 ラクルの街を散策してみたけど、こういう感じの木造建築の所が殆どだった。

 服装も和服に近い感じだったし、江戸時代にタイムスリップしたんじゃないか、って思うほどだ。それもあって、僕たちの格好が珍しくてじろじろ見られてるのかもしれない。

 赤い布が敷かれた低い長椅子に腰かけ、膝の上に座っていると暇を持て余したパメラが僕の上に座った。両隣はエミリーとジューンさんで埋まっていたからだろう。ちょこんと太腿の上に小さなお尻を乗っけられていたけど、正直翼がちょっと鬱陶しい。


「どんな料理が出されるんでしょうねぇ」


 ジューンさんもエミリーもスンスンと流れてくる匂いを嗅いでいる。

 この独特な匂いは多分――。


「鰻じゃないかなぁ」


 アマテラスは内陸国だから海の魚という線は薄い気がする。

 転移門で入手が簡単になってきたから今後増えるかもしれないけど……あれ、鰻って川魚だよな? なんかで産卵するのは海って聞いた事があるような気もする。海、だいぶ離れてるらしいけど川を遡ってアマテラスまで来てるのかな? この匂いは多分蒲焼きだし、鰻な気がするんだけど……。

 ……まあ、深く考えても食べる時になれば分かるだろう。

 順番待ちの列は思った以上にサクサクと進んで、僕たちの番となった。

 店員さんが「普通の席しかありませんが、良かったですか?」と確認してきたけど、別にいいんじゃないかな。通されたのはテーブル席で周囲はがやがやとしていた。


「シズト様、どれをお召し上がりになりますか?」


 隣の席を確保したエミリーがモフモフとした尻尾を僕の背中にぶつけながら尋ねてくる。


「一番人気はひつまぶしだそうですぅ」

「じゃあそれにするデス!」

「僕もそれにしようかな」


 鰻料理をきっと勇者が伝えたんだろうなぁ、と思いつつメニュー表を見てみたけど、値段にだいぶ差があった。

 どうやら鰻は川やダンジョンにいる魔物らしい。その鰻系の魔物のランクによって価格がだいぶ違うそうだ。

 街の住人向けのこのお店でもある程度高ランクの鰻が手に入るのは首都だからだそうだ。

 とりあえずお金に困ってはいないので一番高いランクのひつまぶしを頼んだ。

 看板娘っぽいお嬢さんが大きな声で厨房に注文を伝える。


「エレクトリックイール、ひつまぶし四丁!」

「「「へーい!」」」


 ……どうやら電気系の魔物だったようだ。

 この中で一番魔物に詳しそうなパメラにどういう魔物か聞いてみたけど、覚えていないのか単純に遭遇したことがないのかきょとんと首を傾げられた。


「冒険者ならある程度魔物の事を覚えておいた方が良いんじゃない?」

「覚えていなくても何とでもなるから問題ないデスよ?」

「いや、敵の事を知っていたら戦いが有利になるでしょ?」

「そうデスか? ああ、だからみんな教えてくれるデスか」

「自分で覚える努力をしなさいよ」

「どうでもいい事は忘れちゃうデス」

「どうでもよくない事でも忘れるでしょ!」

「そんな事ないデスよ。おやつの時間は覚えているデス!」

「その内、僕の事も忘れそうだなぁ」

「それはないデスね」


 即答されたからちょっと嬉しかったけど、忘れられないように頑張ろう。

 店員さんが持ってきたひつまぶしは思っていたよりも量が多かったので、パメラにちょっとあげた。

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