表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

759/1355

508.事なかれ主義者は前向きに検討する

 セシリアさんと二人っきりで出かける事なんて今まであっただろうか?

 記憶を遡ってみたけど、基本的にセシリアさんとレヴィさんはセットで行動しているイメージしかない。

 そんな人と観光をしに行くのは正直緊張する。

 ただ、セシリアさんはそうでもないみたいで、いつも通りのおすまし顔だ。服装もメイド服だった。それ以外の服を持っていないのかな? と思ったけど「こちらの方が落ち着きますから」との事だった。

 澄ました顔で隣を歩いているけど僕と同じく緊張しているのかもしれない。


「それじゃあ、行ってくるね」

「行ってらっしゃいなのですわ」

「お気をつけていってらっしゃいませ」


 見送りのために農作業を一時中断したレヴィさんとモニカは同じ服を着ていた。農作業もできるようにと大きなポケットがお腹の辺りにある。アイテムバッグに付与している魔法陣を付与したらなんでも出てくるポケットになるのはセシリアさんのメイド服で実証済みだ。

 暇を持て余していたパメラが「キラキラなお土産楽しみにしてるデス!」と言うと、その隣にいたシンシーラは「あんまり高いものじゃなくていいじゃん」と付け足した。それに文句を言うパメラをスルーしている。


「セシリアちゃんの言う事をしっかり聞くのよ? お姉ちゃんとの約束ね?」

「まあ、ジュリウスもついていくだろうし、大体大丈夫だろ」


 やらかす前提で話をしているラオさんに反論することはできない。観光するだけだから大丈夫だと思うけど価値観とか文化とか違うからなぁ。


「皆様、レヴィア様の事をよろしくお願いいたします」


 深々と頭を下げてセシリアさんが言うとレヴィさんは心外そうに頬を膨らませた。


「留守番くらい問題なくこなせるのですわ~!」

「何かあればすぐに帰ってきますから、ご安心ください」

「無視は良くないのですわ! 途中で中断する事がないようにいつも通り過ごすのですわ~!」

「そのいつも通りをできればやめて欲しいんですけどね」

「それは無理なのですわ」


 真顔で即答したレヴィさんを見てセシリアさんは深々とため息をつき、もう一度「よろしくお願いします」と頭を下げていた。




 セシリアさんと手を繋ぎ、禁足地を出てビッグマーケットに設置してある転移門を目指す。

 どんな会話をしようかと悩んでいたけど、セシリアさんの方から話題を振ってくれるから特に困る事はなかった、

 レヴィさんに報告する関係で、こっちの大陸についても詳しくなっているらしい。


「こちらの大陸では、呪伝の加護によって広がっていると思われている呪いは、収束しつつあるようです。新たに呪われるものも一定数いますが、症状は軽いもの達ばかりのようです。金銭の受け取りの時に勇者様の世界のようにトレーを使ったり、極力身体的接触を避けたりしているおかげでしょうね」

「あー……確かに前世ではお金の手渡しは駄菓子屋くらいだったかも……?」


 セルフレジが導入されたらよりそうなったし、こっちの世界でもセルフレジを導入すればさらに良くなるかな。

 大陸ごとにある程度通貨が統一されているから国ごとに変える必要はないから楽そうだけど……うん、作るにしてもいろいろ付与しなくちゃいけなさそうだからやめとこ。

 考え事を止めてやめたところで、隣からの視線に気づいた。


「……なに?」

「いえ、ラオ様にやらかさないように見張っておけと言われましたが、思考も止めた方が良いのかと思案したところです」

「いや、やらかすようなものを考えてないからね! ………たぶん」

「私の杞憂でしたか。それなら問題ないですね。そろそろビッグマーケットです。気を引き締めていきましょう」


 セシリアさんの言う通り、人の喧騒が近づいて来ているのが分かる。

 僕に気付かれないように護衛をしていた世界樹の番人たちが、僕たち二人の周りに現れて周辺の警戒をしつつ歩く。

 護送しているエルフの集団に気付いたのか、ビッグマーケットを見て回っていた人々によってできていた人混みが左右に割れていく。


「南のビッグマーケットには後から同盟に加入した国々に続いている転移門が設置されています。数合わせのために例外的にアマテラスとクロトーネは北のビッグマーケットに設置しています。北にガレオールと繋がっている転移門が設置されている事もあり、向こうの方が国際色豊かなため南側に設置された国々から批判の声も上がっていたようです」

「そうなの? ムサシから何も聞いてないけど」

「シズト様のお耳に入れるような事ではないと判断されたのでしょう。今後、ミスティア大陸にあるイルミンスールと繋がる可能性がある事を提示したらそういう批判の声も小さくなったそうです。まあ、それ以前に呪いが蔓延してそれどころではなくなってしまった、というのもあるんでしょうけど」

「……なるほど?」


 確かにフソーとイルミンスールを繋げたらわざわざイルミンスールに転移する際にファマリーを経由する必要がなくなるな。

 色々問題も出てくるかもしれないけど、利便性で考えたら普通にありだ。

 転移門を設置する事に反対されたとしても、転移陣を設置するのは前向きに検討しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ