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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

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503.事なかれ主義者は引き続き観光する事になった

 怒涛の妊娠ラッシュが判明しても、夜にする事は変わらなかった。

 変わった事と言えば、順番くらいだろうか?

 本来だったら昨夜の相手はシンシーラだったはずなんだけど、急遽繰り上げでノエルになった。

 ノエルは一通り魔道具の確認が終わってしまった事に加えて、僕が魔力切れすれすれの状態で新たに魔道具を作る事が出来なかったので普通に夫婦の営みをする事になった。

 魔道具にしか興味がなさそうなノエルだけど、好意は持ってくれているんだろうな、と最近実感するようになってきた。

 朝起きたら既にベッドはもぬけの殻になっているのはご愛敬だろうか。……せめて昨夜使ったお気に入りの魔道具はしまっていってほしい。

 今日のお世話係はパメラだったよな、等と思い出しつつ着替えを持って寝間着として使っている甚兵衛姿のまま部屋を後にし、お風呂場へと向かう。

 朝からした訳じゃないから必要ないんだけど、お風呂が好きなんだから仕方がない。

 脱衣所で甚兵衛を脱いでタオルを片手に浴室の扉を開くと誰もいなかった。

 時々先回りした誰かがいる時があるんだけど、今日はのんびりと入る事ができそうだ。

 寝癖で大爆発している髪と、汚れてない体を洗った後、のんびりと泡風呂に入って遊んでいると、脱衣所の扉が勢いよく開かれた。


「シズト様、ご飯デース! あ! 遊んでるデスか? パメラも遊ぶデース!」


 元気よく翼を羽ばたかせて泡の山に突っ込んできたのは翼人族のパメラだ。

 黒い翼が白い泡まみれになろうがお構いなしな彼女は服を着ている状態だった。


「いや、ご飯は?」

「ご飯は後でも食べられる気がするデス!」

「遊ぶのも後でできるからね? ほら、遊んでたのがばれたら怒られるよ」

「嫌デス! 遊ぶデス!」


 泡風呂の中に潜ってしまったパメラを手探りで探す。

 服っぽい感触を捕らえたと思って握ったら中身がなかった。

 ひょこっと泡の中から顔を出したパメラがぶるぶると顔についた泡を振り落とし、満面の笑みを浮かべた。


「変わり身の術デス!!」

「なんか違くない? っていうか、ちゃんとインナー着てるよね!?」

「もう脱いだデスよ?」

「すぐ着てもらえるかな!?」

「何を言ってるデスか? お風呂に入る時は服を脱ぐのデスよ?」

「そう思ってるなら脱いでから入ってくれないかな!?」


 とりあえず腰にタオルを巻いて、パメラ用のタオルを取りに行っている間もパメラは遊んでいる様だった。

 別に誘惑をするつもりは本人にはないんだよなぁ、と思いつつ、浴槽の近くに洗面器を置き、その中に大きなタオルを入れておく。


「風呂から上がる時はこれを体に巻いて大事な所隠してね」

「無理デスよ? 翼が邪魔で胸は隠せないデス」

「……そっか」


 よくよく思い返せば、パメラの湯浴み着って背中部分が大きく開いてたな。

 そんな事を思いつつ、諦めて自分の体に着いた泡を洗い流し、脱衣所で体を素早く拭いてから着替えを済ませた。

 パメラは一人で遊ぶのはつまらないからとすぐに追って出てきたが、泡がまだついていたので洗い流してくるようにと追い返し、僕は脱衣所を後にした。

 急いで脱衣所を後にしたので髪が濡れていたけど、厨房から食堂へと移動している途中だったジューンさんとばったり出くわして乾かしてもらったので問題なかった。




 食堂には当然のように皆揃っていた。

 温め直してもらったスープを飲んでいると、狐人族のエミリーがため息交じりに呟いた。


「パメラに行かせるべきじゃなかったですね」

「いや、まあ……朝から泡で遊んでいた僕も悪かったかもしれないし、許してあげてよ」


 パメラは食事抜きにはならなかったけど、おやつ抜きになってしまったのでしょんぼりと肩を落として壁際に佇んでいる。

 エミリーはキッと僕を睨んだ。尻尾はボワッと膨らんでいないので怒ってはいないようだ。


「シズト様は甘いです。良い所だと思いますが、パメラにはもう少し厳しくしないといけません」

「これでも厳しくしてるつもりなんだけどなぁ」


 遊んでもらえると思っていたパメラを拒絶して今日は遊ばなかったし。

 まあ、パメラの見た目がお嫁さんたちの中では幼い方だからちょっと甘やかしてしまうのは確かにあるし、反省しなくちゃいけないんだろうけど。

 今日の事を振り返ってどうするべきだったか考えていると、食事を一足早く終えていたレヴィさんが「今日は何をするのですわ?」と聞いてきた。


「世界樹のお世話と薬の素材を量産した後はのんびり過ごすつもりだよ」

「観光はしないのですわ?」

「んー、三人も妊娠している事が分かったのに外に出るのはちょっとアレかなって」

「妊娠したっつっても、まだまだ当分先だから気にすんな」

「そうそう。個人差はあるけど、あと三か月くらい経たないと見た目に変化はないのよ?」


 食事を終えて魔力マシマシ飴を舐めていたラオさんとルウさんと同意見なのか、パメラの隣で立っていたシンシーラが何度も頷いている。


「助けて欲しい事があったらすぐに言うのですわ。だからそれまでは安心していつも通り過ごしてほしいのですわ~」

「元々の予定であればぁ、次はハイランズでしたよねぇ」

「パメラと一緒に行く約束してたデス! おやつ無くても平気だったデス!」


 元気に騒ぎ始めたパメラをエミリーがボソッと何事か言って静かにさせていた。

 結局、予定通り観光する事になった。

 皆の総意なのであれば、と観光を楽しむ事にしたけど「何かあったらすぐに呼び戻してね!」と、出かけるまでに何回も皆に言い続けたのだった。

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