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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

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496.事なかれ主義者には心当たりがない

 朝食を食べ終えたホムラとユキは、ラオさんとルウさんと一緒に大国ヤマトに向かった。

 僕はというと、いつも通り世界樹フソーのお世話を済ませた後、呪い用のポーションの材料を作るためにせっせと畑を回りながら【生育】を使っていった。

 今回の呪いの蔓延がなかったらこんな大量生産する事はなかっただろうけど、食糧危機とかに直面したら使える加護だよなぁ、と改めて思った。

 レヴィさんが無事に子どもを産んだら、この加護は子どもにも授けられているらしいし、それ以外にも生育の加護持ちは増えていくかもしれないので、今後食糧の事で頭を悩ませる事はなくなるかもしれない。

 ……まあ、それだけ大量に食べ物を量産したら経済に影響は大きいだろうし、他にも問題が出てくるんだろうけど。

 それらに関しては、今考えても仕方がない事なので、ファマ様の加護が世界に広まってから考える事にした。


「もう終わりにするのですわ?」

「そうだね。この後の事を考えると、魔力もある程度残しておきたいし。レヴィさんたちはこのまま作業を続けるの?」

「そうですわ! ここの子たちとも仲良くなるのですわ!」


 オーバーオールを着て、フソー周辺に生息している黄色人種っぽい肌の色のドライアドたちと一緒に収穫に励んでいたレヴィさんはやる気満々だ。

 レヴィさんの妹であるラピスさんがドライアドたちに関する研究をしているんだけど、彼女たちと仲良くなるために手っ取り早いのが同じ行動をする事なのではないか、と推測しているらしい。

 それでレヴィさんはここの子たちと一緒に作業をしようと考えたようだ。

 ここのドライアドたちは他の大陸の子と比べるとレヴィさんの言う事を聞かない時があるそうだ。

 それは、普段一緒に生活をしているムサシがいるからなんだろうけど、万が一の時に自分の言う事も聞いてもらえた方が良いだろうから、とドライアドたちと仲良くなるために作業をするらしい。

 それに付き合わされるセシリアさんやモニカは大変そうだけど、ここ最近ずっと農作業をし続けているから慣れたそうだ。


「二人とも、お腹に気を付けてね」

「分かっているのですわ!」

「何が起きてもそこだけは守りますのでご安心ください」

「お腹以外もしっかり守ってほしいなぁ。……セシリアさん、二人の事よろしくね」

「しっかりと見張っておきます」


 特にレヴィア様を、と視線だけで言うセシリアさんに後の事は任せて、僕はその場を後にした。




 朝の日課を終わらせた僕は、珍しくドーラさんと二人だけで外に出た。

 まあ、見た感じ二人だけなんだけど、ジュリウスを筆頭にエルフたちがどこかから見守ってくれているんだろうけど。

 ドーラさんは全身鎧を身に着けておらず、つばが広い白い帽子とワンピースを着ていた。スカートは短めで、露になっている細い太腿が白く眩しい。

 彼女の白くて細い指先は、僕の手を握って離さない。

 人形のように整った顔立ちは周囲の人の視線を集めているけど、眠たそうな印象を与える青い目は、周囲の視線を気にした様子もなく前だけを見据えていた。あ、こっちみた。


「何?」

「いや、なんでもない。これからティエールの首都に行くんだよね?」

「ん、楽しみ」


 以前、お留守番組だけで行われた麻雀大会では、ドーラさんは四位だったらしい。そのご褒美として、今回『美食の国』として有名らしいティエールに観光しに行く事となった。

 ティエールの首都周辺でもやはり呪われた人はいたらしいけど、ドーラさんが「行きたい」と言ったので優先的に対応してもらったので今は落ち着いているとの事だった。完全に私利私欲のために優先順位を着けてるけど、このくらいは許してほしい。

 ビッグマーケットまでのんびりと歩いて移動したけど、元都市国家フソーもだいぶ以前の賑わいを取り戻してきているようだ。

 ……いい加減、元都市国家フソーという呼び方だと面倒だから新しい国の名を考えたらどうか、とムサシを通してクレストラ国際連合の国々から打診されているようだけど、僕にはネーミングセンスないし、ムサシに適当に決めておいてもらおうかな?

 ビッグマーケットのある広場に着くと、さらに人は増えた。

 移動が大変そうだ、と思っていたらどこからともなく現れたエルフたちが交通整理を始めた。

 露店と露天の間の道にたくさんの人がいて通れなさそうだったのに、通行人が左右に分かれて道ができた。


「人が予想よりも多かったため、転移門までお供いたします」

「ありがと……?」


 目立つのは嫌だけど、この場合は仕方がないんだろうか。

 そんな事を思いながらジュリウスに先導をしてもらいつつ、ドーラさんと並んで転移門に向かう。

 左右に分かれた人たちからじろじろと見られるのは仕方がない。

 仕方がないし、獲物を狙う狩人のような鋭い眼差しの女性や商人がいたり、羨ましそうに見られたりするのは分かるけど、僕を見て青ざめる人がいるのは解せぬ。目が合ったら声にならない悲鳴のような物を出してそうな顔で人ごみの中に消えて行ったし、なんかあの人たちにやったかなぁ?

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