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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう

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491.事なかれ主義者は神託を授かった

 久しぶりに会った神様たちからのお願いは二つあった。

 一つ目は、神様たちもそこそこ外見が変わったので像を作り直す事。

 ファマ様は身長がさらに伸びて縦に大きくなったけど、横にも大きくなった。エント様もプロス様も身長は伸びているけど、一番大きくなっているのは間違いなくファマ様だろう。まだ僕の方が高いけど、その内抜かされそうだ。


「じゅ、順調に信仰されているからなんだなぁ」


 ニコーッと嬉しそうに笑っているファマ様は大きささえ変えれば何とかなりそうだった。

 エント様はというと、大きくなってより女の子っぽくなった。以前も子どもというより女の子っぽい体型になったなぁ、とは思ったけどいろいろな所がさらに成長したようだ。

 また余計な事を考えると恥ずかしがってしまうから、無心で眺めた。……っていうか、そもそもそういう趣味はない。

 プロス様は三人の中で一番小さい。それでも、成長はしている。


「当たり前でしょ! ちゃんと見て作ってね!」

「はいはい」

「はいは一回!」

「はい」


 元気いっぱいなプロス様はむしろしっかり見て欲しい、という事ですごく近づいてきた。

 そんなに近いと見辛いんですけど……。


「細かい所もしっかり作って!」

「はい」


 大きく丸い瞳と、肩まで伸びた焦げ茶色の髪は変わっていないし、顔立ちもまだまだ幼さが残っている。

 このまま成長してもこういう感じなんじゃないだろうか?

 なんて事を考えていたら「エントに負けないくらい素敵な女神になるもん!」と怒らせてしまった。

 荒ぶる神様をファマ様がひょいっと持ち上げて僕から遠ざけた。


「つ、伝える事がまだあるんだな」

「そのために呼んだんだよ……?」

「そうだった! 神力溜まったから子ども作っていいよ!」


 神様からのお願いの二つ目は、プロス様の加護を授けるために子どもを作って欲しいとの事だった。

 ……女の子の見た目の子に子どもを作れと言われると何とも言えない気持ちになるなぁ。

 っていうか、そんなホイホイ作れる物じゃないし。

 僕の心を読んだのか、エント様が可愛らしく首を傾げた。


「毎日してればその内できるんじゃないかな……?」


 ちょっと女神様たちには子どもを作る作らないの話に入って来ないで欲しい気がしてきた。

 今までも姿が子どもだったから「子どもを作って」とか言われるの何だかなぁ、なんて後から思う時もあったけど、その時は子ども姿の神様たちの必死の訴えだったし気にならなかったんだろう。

 ただ、今は可愛らしい女の子の見た目だし……うん。なんというか、ませてる子たちから言われているような感覚というか……。言語化が難しい。

 うーん、と考え込んでいる心の声もすべて駄々洩れなので、三柱がそれぞれの顔を見て、それからファマ様が挙手をした。


「じゃ、じゃあオイラから言えばいいんだな?」

「んー……まあ、プロス様やエント様からよりはまだいい、ですかね?」

「わ、分かったんだなぁ。じゃ、じゃあ頑張って伝えるんだなぁ」


 プロス様が精一杯背伸びをして、ファマ様の耳に顔を近づけて何やら耳打ちを始めた。

 それをファマ様がうんうんと頷きながら聞いている。


「プ、プロスもシズトの子どもに加護を授けるくらいには溜まったらしいんだなぁ。マ、マネキンゴーレムの効果もあって、着々と認知が広がっているんだなぁ」


 僕が作ったマネキンゴーレムには、プロス様の名前と似顔絵を胸のあたりと背中に刻印してある。信仰を広めるためには


まずは認知してもらう必要があるだろう、という事でそういう風にしていたんだけど、それを元にエルフたちが量産しているマネキンゴーレムにもそれぞれプロス様の名前と似顔絵が刻まれていた。

 想定外の事だったけど、それが功を奏したようだ。

 今のところは看護者の対応しかしてないけど、今後は危険な仕事とかにも活用されるからもっともっと広まっていくだろう。

 プロス様が再びファマ様に耳打ちをしている。それをふんふんと頷きながら聞いていたファマ様が、口を開いた。


「だ、だから子どもを作っていいって事なんだなぁ。プ、プロスの教会で式を挙げた者たちの誰かが妊娠したらすぐに授けるから、しっかり守るんだなぁ。も、もちろんオイラの加護を授けた子を宿した者も守るんだな!」


 子どもを宿していようがいなかろうが守るのは変わらないですよ。

 まあ、どっちかって言うと守られてばかりですけど、なんて事を考えていると今度はエント様がファマ様に耳打ちをしている。身長が伸びた事もあって背伸びを少しする程度で十分なようだ。


「も、もちろんシズト自身も身を守るんだな、ってエントが言ってるんだな」

「そうですね。……あと、性に関する事じゃなければ別に普通に話してもらっていいですよ」

「は、判断が難しいんだなぁ」

「その都度言いますね。とりあえず、子どもを作る事とか男女の仲の事とかはファマ様が話してくださると助かります」

「わ、分かったんだなぁ」

「話はもう終わりですか?」

「と、特にもうないんだなぁ。む、むしろ、シズトの方から何かあるんだな? こ、これからまたしばらく神力を貯めるからこうして呼び出して話すのはしばらくないと思うんだなぁ」

「そうですね……。特にないです」


 僕がそう答えると「そ、それじゃあ向こうに戻すんだなぁ」とファマ様が言った。

 三柱に手を振られて見送られる中、視界が真っ暗になっていき、目を開いたら元の場所に戻っていた。

 教わってすぐに呼ばれなかったし『神降ろし』の事じゃないと分かっていたけど、本当に何も言われなかったなぁ。

 そんな事を思いつつ、静かに傍で待ってくれていたジュリウスに協力してもらって、集まって僕の体によじ登っていたドライアドたちを地面に下ろしていった。

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