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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第23章 呪いの対策をしながら生きていこう

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489.事なかれ主義者はまだまだ作り続ける

 イルミンスールのドライアドたちに手伝ってもらいつつ、加護を用いてエリクサーやら上級ポーションの材料を量産したんだけど、イルミンスールの呪われた人たちに行き渡るのに数日かかってしまった。

 その原因は生産力だった。


「上級ポーションともなると、調合するのには特別な技術が必要ですからね。薬師ギルドにいた者たちに依頼はしましたが、人手が足らずにパンクしてました」


 葉っぱを粉末状にしたり、身を細かく刻んだりする単純作業はイルミンスールに残っていた冒険者やら手の空いていた観光業の人たちに協力してもらって薬師ギルドの専門職の人たちの負担を減らしたらしい。

 ただ、それでも作る時に魔力を込める必要があるから、一日に作れる上限は決まってしまって、薬が行き渡るまで時間がかかってしまった。

 まあ、新たに呪われる人がいなかったからまあいいか。

 そんな事を思いつつ、ドラゴンさんが焼き肉を食べ終わるのを眺めているとキラリーさんが話しかけてきた。


「本日お帰りになられるのでしょうか?」

「そうだね。なんかあった?」

「いえ、特に何も問題は起きておりません。ただ、今後他国からの使者が増えるのではないか、と思いまして……」


 つい先日、ウィズダム魔法王国の首都とイルミンスールは転移門で繋がった。

 その情報は、転移門の影響力と共に遅かれ早かれ他国にも広まるはずだ。

 その後の流れは火を見るよりも明らかだろう。

 呪いが完全に治まったイルミンスールに多くの使節団がやってきて、エリクサーやら上級ポーションと共に、転移門の設置の申し出も出てくるはずだ。


「その事に関しては、タカノリさんにも協力してもらう事になってるから、二人で頑張ってくれる? 価格とかの相場はウィズダム魔法王国を参考にしてくれればいいから」


 キラリーさんは「分かりました」とだけ言うと、下がった。

 この一週間で大きく変わった事と言えば、タカノリさんと、そのご家族がイルミンスールに引っ越してきた事だろうか。

 加護を神様に返上してしまったタカノリさんには、教会に居場所がないとの事だったので、イルミンスールに身を寄せてもらう事になった。

 この街であれば、タカノリさんに恨みを持っているであろう邪神の信奉者たちも簡単には侵入できないだろうから、というのが一番の決め手だったようだ。

 以前までの力があるタカノリさんではなく、『邪教徒狩り』で各国に飛び回っていた顔の広いタカノリさんが欲しかったので、こっちに引っ越すために必要な諸々の事はバックアップした。

 そのおかげでトントン拍子に話は進んで、数日前からタカノリさんはご家族と一緒にイルミンスールで生活している。


「それにしても、本当に禁足地の中じゃなくてよかったのかな。市街地よりもここの方が安全なのに」

「彼にも色々あるのでしょう」

「そっか~……キラリーさん、タカノリさんの周辺警護の人員は多めにしておいてもらえる?」

「かしこまりました」


 控えていたキラリーさんに追加の指示をあれやこれやと出している間に、ドラゴンさんがお肉を食べ終えた。


『次はいつ戻ってくるんじゃ?』

「んー、分かんないけどまた二週間後くらいじゃないかな。イルミンスールは大丈夫そうなんだよね?」


 僕が問いかけると、ドラゴンの頭の上に乗っていた向日葵ちゃんが「大丈夫~」と答えてくれたので、予定通り二週間後くらいを目途に戻ってくる事をドラゴンさんと約束し、ファマリーへと戻る。

 転移するとドライアドたちが周囲に集まっていて、その中にレヴィさんやモニカ、セシリアさん、ドーラさんがいた。


「ただいま」

「お帰りなのですわ~」

「「お帰りなさいませ」」

「ん、お帰り」

「レヴィさんもモニカも体調大丈夫?」

「全く問題ないのですわ~」

「本当に命が宿っているのか疑問に思うほど何も変わりないです」

「宿ってるのですわ」

「魔力を感じられますからね」

「ん」


 不安そうにお腹を撫でるモニカは魔力探知が僕と一緒でできないので実感があまり湧かないのだろう。

 ただ生理が来ないという事で僕よりは妊娠しているんだろう、と分かるみたいだけど。


「僕がいない間に何かあった?」

「大きな変化は特になかったのですわ」

「アキラ様たちが『離れ小島のダンジョン』を踏破してませんでしたか?」

「ああ、そういえばそういう話もあったのですわ。ホムラの指示で、ダンジョンコアはそのままにしてもらっているのですわ」

「取ったらダンジョンがなくなるんだっけ?」

「そうですわね。奥の方に進みさえしなければ初心者用のダンジョンとして使えるから、という判断みたいですわ」

「そっか。町の子たちの育成で使ってるもんね。呪いの方はどう?」

「相変わらず広まっているのですわ。それに対して、暫定的に国際的な組織はガレオールが主導して作ったのですわ。ただ、まだ発足したばかりだから呪いの治療を強引に進めるのはしない方が良いですわね」

「そっか。ムサシの方はおおむね根回しが終わったって事だし、当初の予定通りクレストラ大陸から進めようか」


 その前に世界樹のお世話をしなくちゃいけないけど。

 世界樹ファマリーのお世話をサクッと済ませた後、レヴィさんに集めてもらった白黒様々なドライアドたちに協力してもらって、エリクサーやら上級ポーションの素材を量産する事にした。


「収穫だ~」

「こーやって取るんだよ!」

「はい!」

「違う、そうじゃない!」

「土作るぞ~」

「こうやってたい肥を混ぜるんだよ!」

「はい!」

「そこちがーう!」

「お水一杯上げて!」

「はい!」

「集めた草は、あそこの箱に入れて!」

「はい!」

「種まきするよ~」

「はい!」

「種はテキトーでいいかな?」

「これも植えていい?」

「こっちもいいんじゃないかなぁ」

「レモン!」

「は……ダメなんじゃないでしょうか」

「人間さんには聞いてない!」

「すみません!」

「ダメですわ~」

「ダメなのか~」

「残念~」

「ですわ~」

「れもーん……」

「……お、恐れながら申し上げます。ちょっとくらいならいいんじゃないでしょうか?」

「お?」

「おっ?」

「レモン?」

「ダメですわ」

「………はい」



 ………近衛兵も混じる必要ってあったのかな。

 ちょっと疑問に思ったけど、まだ農作業に不慣れな新参っぽい近衛兵たちは率先してドライアドたちの指示に従いながら作業をしている。近くのドライアドたちに一挙手一投足観察されながらする作業はとても緊張しそうだ。

 そんな事をお思いながら魔力切れギリギリになるまで【生育】を使って植物を急成長させ続けた。

 人手が多かった事もあるけど、こっちの白と黒のドライアドたちはキビキビと動くから一時間ほどで大量に素材を手に入れる事ができた。

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