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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第4章 助手と一緒に魔道具を作って生きていく。

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幕間の物語22.戦士たちの報酬

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 ダンジョン都市ドランにはたくさんの冒険者が夢と希望を抱いてやってくる。

『戦士の集い』もそうだった。ドラン公爵領にある村からダンジョンで一旗揚げようと、幼馴染4人で一緒に冒険者登録をした。

 先輩冒険者からの可愛がりも上手く対処して、街の依頼をこなし、ダンジョンに潜るようになってからはそれ相応の装備を整えた。

 ゴブリン程度であれば問題なく対応できるようになってきた彼らは昇格試験も難なくクリアした。

 それでも彼らは驕る事はなかった。それは彼らのパーティーが全員前衛しかいなかったからだ。


「やっぱり前衛だけだとこの後は辛くなるよな」


 大剣を背負っているリーダーのトバイアスが呟くと、双子の兄弟である2人が同時に肩をすくめた。


「じゃあトバイアスが弓でも使えばいいんじゃない?」

「使えばいいんよね」


 そっくりな双子の兄弟、ニコラとテスラは片手剣にバックラーを身に付けている。ニコニコしているニコラの後をテスラがどうでもいいように同じような事を言っている。

 その後ろをついてくるのは、唯一金属鎧を身にまとって巨大な盾と槍を身に付けていた3人の中で一番大きなアントム。彼もまた、無言で頷いて肯定していた。

 全員弓も魔法も駄目だった。そこら辺の石を投げた方がまだ役に立つレベルだ。

 だが、お互いがお互いをよく知っていたので、今更パーティーを解散する気も起きず、ゴブリンリーダーも苦も無く倒せた彼らはEランク冒険者で今日も変わらずゴブリンリーダーを倒しにダンジョンに潜っている。


「にしても、ちょっとゴブリン多いな」

「確かにね。活発期になったって情報出てないけど」

「出てないね」

「………」

「ゴブリン程度倒せなくはないけど、戻るのもありだな」

「安全第一でやってかないとね」

「やってくって決めたよね」

「………」


 皆そう言いつつも悩んでいた。すでに4階層の奥深くまで進んでしまっていたからだ。ここからならフロアボスを倒して転移陣を利用した方が早く帰ることができる。食料等の余裕はあったから引き返す事は不可能ではなかったのだが、また同じ時間を使って戻っていく事になるため決断できなかったのだ。

 結局、前回のゴブリン狩りの時に異常がなかったため、まだ大丈夫だろう、と判断してフロアボスのいる5階に向かう事にした。

 そこで見たのは、ぼろ雑巾のように甚振られている男の冒険者と、繁殖として利用されている女性たちだった。


「た……た、すけ……」


 男の冒険者が彼らに助けを求めたが、彼らはすぐには動かなかった。

 ゴブリンの数が多すぎたからだ。

 だが、見た感じゴブリンが多いだけだ。ゴブリンリーダーも複数いたが、助ける事は可能だろう、と思ってしまった。

 アントムは盾だけを持って女性たちの方へ。その後ろを駆ける双子。

 大剣を振り回してゴブリンを薙ぎ払ったリーダーのトバイアスは男性を回収するために男を担いで、階段に戻ろうとして、絶句した。

 いつの間にか、たくさんのゴブリンたちが広い部屋の奥に並んでいたからではない。その奥に、明らかに変異種と思われる図体のでかいゴブリンがこちらを見定めるように見ていたからだ。


(さっきは見えなかったのに、なんで……いや、それよりも)

「全員、急いで戻れ!!!」


 トバイアスがそう言うのと、ゴブリンたちが一斉にこちらに走ってくるのは同時だった。

 アントムが女性数人を担いで急いで走る。【身体強化】という加護の中では珍しくない加護を持っている彼からしてみても、女性たちを数人担ぐのは厳しいはずだ。

 ニコラとテスラは【帯電】という加護を持っていた。迫ってきた数匹のゴブリンを痺れさせて動きを鈍らせながら殿を頑張っていた。

 奥の方にゴブリンたちがいたのが幸いして、階段まではゴブリンたちに追いつかれる事もなくなんとか逃げ切る事ができた。階段に入ってしまえば上がってくる事はない、と一息を吐こうとしたが、ゴブリンたちが上がってくる。階段を上がった先で戦うと数の不利でやられる事が分かっていた。

 見捨てて逃げる事も頭をよぎった『戦士の集い』だったが、狭い階段で尚且つ自分たちが上にいる。彼らは覚悟を決めた。




 どれだけ彼らが戦ったのか、彼らには分からなかった。武器も防具もボロボロで、蹴り落して何とかしのいでいる状況だった。

 だが、突如上階から降りてくる足音が聞こえたかと思えば、彼らの頭上を誰かが飛び越えてまとめてゴブリンたちを蹴落とした。


「何があった」

「変異種がでた!何かわかんないけど、ゴブリンリーダーじゃないでかいやつだ!」

「ちっ。ドーラ、そいつだけ連れてダンジョンを出ろ。それで外の監督官に伝えろ。ここはアタシが抑えるけど、正直もっと下の階層のがやべぇかもしんねぇ」


 赤い髪にグローブを身に付けた女性を、彼らは知っていた。『鉄拳』のラオ。Bランク冒険者だった。アントムよりも大柄な彼女は女性らしい体つきを惜しげもなく晒していた。

 ゴブリンたちがより興奮して階段を上がってくるのを感じたが、ラオは造作もなく落としていく。

 トバイアスだけでなく、『戦士の集い』の全員が助かったと感じたが、状況は変わらず大量のゴブリンたちが階段を駆け上がってくる。

 伝令として戻っていったラオの連れが戻ってくるのは早くとも何時間後だろうか。不安を感じつつも、緊張の糸が切れてしまったのか、それとも痛みからか彼らは動く事ができなかった。

 ただ、状況はすぐに好転した。

 伝令に行ったはずの冒険者たちが戻ってきて、いきなり階段を鉄で塞いでしまったのだ。それだけではなく、怪我をポーションで癒してくれた全身鎧の冒険者と、一瞬で防具や武器を直してしまった黒髪の少年のおかげでまた戦える状態になった。


「これならゴブリンの相手はできるな」

「そうだね。とりあえずあのでかいのはラオさんに任せよう」

「任せちゃおう」

「………」


 作戦を仲間だけで立てていたらラオから黒髪の少年を守れと言われた。どんな加護かは分からないが戦闘系ではないのだろう。そんな冒険者を連れて行くのか、と疑問に感じていた戦士の集いだったが、すぐにその考えは覆された。

 木で大きな球を作ったかと思えば、それが投げられた後にゴブリンたちの眼前で液体のように変わった。それだけでも驚きだが、意思のあるもののようにうごめいてゴブリンたちの手足を拘束していく。

 その拘束されたゴブリンたちを直してもらった武器を使ってとどめを刺していくだけの単調作業をしながらトバイアスは呟いた。


「やっぱり俺も加護ほしいな」

「いや、加護持ちが皆あんな事できると思わないでほしいな」

「思うなよー」

「………無理だ」


 変なものに縛り付けられた黒髪の少年を目で追いつつ、トバイアスたちはその後は黙々ととどめを刺していった。




 突発性の活発期に巻き込まれた事によってより慎重になった『戦士の集い』は、報酬を固辞した。ただのとどめ作業と、解体作業をしていただけだったし、何より上級ポーションを使われていたのを知ったからだ。

 ただ、そんな彼らに黒髪の少年が報酬を譲ってくれたお礼だ、と言って後日ギルドを通して不思議なランプと大きく真っ白な紙を押し付けてきたときは困ったが。


「まあ、ランプ程度ならいいか。こっちの紙はよく分かんねぇけどダンジョンから出たやつかな」

「古くなってたから買い替えようかなって思ってたところだしー。細工もいい感じじゃん。どうやって使うのかよく分かんないんだけど、どこで買ったんかな?」

「探してみよう」

「………」


 その後、彼らがランプと似た細工の物を周囲に浮かべて露天商をしていたホムラを見つけて、貰ったものが魔道具だと知りとても驚いたのは言うまでもない事だった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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