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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第23章 呪いの対策をしながら生きていこう

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487.事なかれ主義者は肉を焼いた

 タカノリさんから『神降ろし』の方法について聞いた翌日の朝。

 目が覚めると、ベッドの中にクーが潜り込んでいた。


「護衛が必要でしょ~」

「一緒に寝る護衛なんて聞いた事ないよ」

「あーしは寝てても周りに誰がいるか分かるから寝ててもいいの!」


 寝癖がついてしまったクーの髪の毛が何とかならないかと悪戦苦闘していると、寝床として使っているテントの外側からジュリウスの声が聞こえた。


「朝食の準備が整いましたが、いかがなさいますか?」

「すぐに向かうから待ってて」


 とりあえずクーをテントの外に放り出して、誰もいなくなった事を確認してから着替える。

 今日は禁足地から外に出る予定はないので、動きやすい恰好にしておいた。

 自分用の小さなテントから出ると、テントに敷かれたふかふかの絨毯の上に寝転がっていたクーが僕の背中めがけて転移してきた。いつもの事なのでしっかりと背負い直し、ジュリウスが待っている外へと向かう。

 大きなテントから出ると、既に食事の準備は整っていた。

 ジュリウスはアイテムバッグの中から料理を出して並べている。

 僕はジュリウスが引いてくれた椅子にクーを置いた後に、僕も席に着いた。


「いただきます」


 手を合わせて食前の挨拶を言ってから食事を始める。

 クーの食事の世話をしながらなのでいつもより時間がかかるのを、巨大な瞳がジッと見ていた。

 僕たちの食事の後に焼かれたお肉を食べる予定のエンシェントツリードラゴンだ。

 見た目的に草食っぽいけど普通に雑食だった。

 世界樹の根元は一種の魔力溜まりで、その場にいるだけで魔物は食事が不要になるらしいんだけど、それでも美味しい物は食べたいらしい。

 その気持ちは分かる。分かるけどジッと見つめられてたら食事がしにくい。

 ジュリウスに指示をして先にご飯を食べてもらう事も考えたけど、こういうのは順番が大切らしい。

 ………犬のしつけかな?

 なんて、失礼な事を考えていたからか、なんかドラゴンさんの目が細められた。

 このドラゴンには思考を読む力があるのだろうか。

 そんな事を思いつつ、パンをかじっているとジュリウスがドラゴンさんと僕の間に割って入って、話しかけてきた。


「今日はどうされる予定ですか?」

「世界樹の世話をして、呪い対策の魔道具を作るだけだけど?」


 本当なら観光もしたいんだけど呪いが蔓延しているからなぁ。

 もう面倒臭いから一気に治す方法とかないだろうか。


「左様ですか。キラリーからの報告がありましたが、どうやらウィズダム魔法王国が転移門を繋げる事を求めているそうです。知識神の教会を通じて、魔道具の有用性を理解したようですね」

「繋げるデメリットも理解してるのかな? こっちの大陸では転移門がないからそこまで伝播する呪いは広まってないんでしょう?」

「キラリー、どうなんだ?」

「ハッ! 他の大陸の様に他者に広がっていく呪いは確認されているようですが、仰る通りそこまで被害は甚大ではないのではないかと思います。入ってくる者も、出て行く者も制限されていますが、知識神の教会の者たちだけでなく、各ギルドから得た情報なので間違いはないかと思われます。ただ、転移門があるシズト様たちの大陸と異なり、情報がすぐに伝わらないので若干ずれが生じていると思いますが……。また、ミスティア大陸ではまだ世界樹の素材が市場に出回っておりませんので、備蓄されていたエリクサーや上級ポーションが尽きれば問題が表面化してくるのではないかと思います」

「そうなった時のために、転移門を通じてこことの繋がりを深めておきたいのでしょうね」

「なるほど……? とりあえず転移門を作ればいいんだね。交渉はキラリーさんに任せちゃっていい?」

「お任せください。呪われてない者の中には、外交を担当していた者もおりますので」


 以前、邪神の信奉者が潜伏していた際に、結構な数のエルフが呪われてしまっているらしい。

 街が閑散としていたのは、その影響もあるようだ。

 呪われた者の多くが、何かしらに秀でていた者たちだったようで、何かあれば療養中の者たちに聞いて対応しているのが現状だそうだ。

 ………面倒臭いな。転移門が繋がったら今はほとんどいない他国の外交官も増えて対応に追われるだろうし、もうササッと治しちゃった方が後々楽ができるんじゃないかな。


「ねぇ、ジュリウス」

「なんでしょうか」

「この街の呪われた人たちにエリクサーやら上級ポーションやらを使ったら文句言ってきそうな人っているかな?」

「そうですね……。各ギルドに根回しさえしておけば、他の者たちは問題ないかと」

「商人とか怒らない?」

「残っている商人はそのほとんどがエルフですから問題ないかと」


 エルフだったら問題ないって断言する所がちょっと怖いけど、今回は目を瞑ろう。


「じゃあ、もう面倒臭いから呪われた人たちを一気に治しちゃおうか。国として運営するために必要な人材も結構いるんでしょう?」

「……あ、はい。そうですね」


 ポカンと口を開けていたキラリーさんが、ハッと我に返ってコクコクと頷いた。


「ギルドの根回しはキラリーさんたちにお願いするね。損をした人たちにはそれ相応の補填の準備もお願い。残された金銀財宝は好きなように使っていいよ」

「わ、分かりました!」

「あと、呪われた人たちに必要なエリクサーとか上級ポーションとかの数の確認をお願いしてもらってもいい? 足りなかったら作らなくちゃいけないし……って、思ったけど、材料は何とでもなるだろうけど調合はどうするの?」

「薬師ギルドに依頼をすれば問題ないかと」

「呪われている者たちの中にも薬師が数人いたはずです」

「じゃあ、依頼をかけつつ、必要な人から順番に治していく事にしようか。僕はとりあえずイルミンスールの世話が終わったら転移門だけ作って、必要な材料を集めておくから、キラリーさんたちは早めに根回しお願いね。あ、根回しをする人手が足りないなら、先に薬のストックがちょっとはあるからそれを使って使えそうな人を治しておいて」

「分かりました!」


 キラリーさんは良い返事をした後、走り出した。

 待機していたイルミンスールの世界樹の番人たちも彼女の後を追う。

 そうして残された僕とクーはのんびりと食事を終わらせたんだけど、いきなり問題が発生した。


『それで、儂の肉は誰が焼いてくれるんじゃ?』

「あ、はい。すぐに呼び戻します」


 ジュリウスに呼び戻しに行ってもらっている間、クーを背負いながらお肉を焼いたけど、ドラゴンさん用のお肉は分厚過ぎてなかなか火が通らなかった。

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