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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第23章 呪いの対策をしながら生きていこう

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484.事なかれ主義者は様子を見に行く事にした

 ランチェッタさんとディアーヌさんとの長い夜を終えた翌日の朝は、ミスティア大陸にある世界樹イルミンスールの世話をしに行く必要があるからと断って、身支度を整えたらすぐに朝食を食べた。


「それじゃ、行ってくるね」


 お嫁さん全員と、ドライアドたちに見送られながらホムンクルスのクーを背負った僕とジュリウスは転移陣を使って世界樹イルミンスールの根元へと転移した。

 イルミンスールの根元に広がる禁足地から出る予定はなかったのでクーを置いて行こうと思ったんだけど、お留守番兼万が一の時のための避難手段としてずっと別行動をしていたのが不満だったらしい。今回は絶対について行くと引っ付いて離れなかった。

 その気になれば大陸間も移動できると言われてしまっては仕方ない。


「大人しくしててよ」

「分かってるよー」


 背中にほっぺたをすりすりと擦りつけながらクーは返事した。

 本当に分かっているんだろうか。

 軽い彼女をしっかりと背負い直して、まずは出迎えてくれたキラリーさんとドライアドの向日葵ちゃんに挨拶をする。

 キラリーさんは立ち姿も綺麗で背筋はまっすぐに伸びている。直立不動の状態で待っていた彼女は、僕に視線を向けられると「おはようございます、シズト様」と言ってから深々と頭を下げた。

 その隣で頭の上に大きな向日葵の花を咲かせた大きなドライアドが「こんにちは~」とのんびりと挨拶をしてくる。この世界樹周辺で暮らしているドライアドたちのまとめ役である向日葵ちゃんだ。


「二人ともおはよう。向日葵ちゃん、だいぶ期間開いちゃったけど、イルミンスールは無事……かな?」


 世界樹を見上げてみたけどぱっと見じゃよく分からない。

 以前と同じような気もするし、芽吹き始めていた葉っぱが減っているような気もする。


「大丈夫~。ちょっと多めに魔力を貰えたらすぐに元気になるって~」

「すっからかんにさえならなければ別にいいけど……できれば半分くらいは残しておきたいかな」


 魔道具をとにかくたくさん量産したいから。

 向日葵ちゃんはイルミンスールに僕の希望を伝えてくれるらしく、世界樹の根元へと走って行った。他の世界樹で暮らしているドライアドたちだったら、古株の子が走ったら後をついて行くんだけど、ここの子たちは我関せずといった感じでうつらうつらと舟を漕いだり、熟睡していたりしている。

 ここのドライアドたちは活動時間が短いんだなぁ、なんて事を考えつつもキラリーさんに話しかけようとしたら、急に周囲が影に覆われた。


『お主が来たという事は、飯は貰えるんじゃろうか』

「ご飯の時にね」

『ふむ。飯はいつかのう』

「さっき食べたばかりだから数時間後かな」

『そうか……微睡んでいればすぐじゃな』


 聞きたい事は聞けたから満足したのか、にゅっと頭を近づけてきていたエンシェントツリードラゴンの顔が離れていった。

 今日もまたドラゴンフルーツのお裾分けが貰えるんだろうか? 今日は大食いの人はいないし、人数も少ないしアイテムバッグにでも入れておけばいいかな。それかいっその事売ってしまうのもありかも?

 うーん、と考えながら首を傾げていると「あの……」と控えめに声をかけられた。


「あ、ごめん。キラリーさんは何か報告とかある?」

「あ、はい。ございます。つい昨日の事なのですが、突然知の勇者タカノリがイルミンスールの市街地と禁足地の間の部分に現れました。恐らく転移系の魔法を使って飛んできたのでしょう。街全域に阻害結界を張っているのですが、それを突破された事もあり、動揺が広がっております」

「……なるほど? タカノリさんはなんでいきなり来たの?」

「どうやら邪神の信奉者を護送中に、邪神の加護を持った集団に襲撃を受けたそうです。撃退はしたとの事ですが、その際に呪われた仲間を治療してもらうためだそうです。ただ、街の中に転移してきたのは本人の意思ではなかったと主張していますが……ひとまず、『身代わりのお守り』を持たせた者たちに彼らの監視と看護を任せているのが現状です。ただ、一つ気になる事が……」

「なに?」

「『鑑定眼鏡』を用いて邪神の加護の有無を確認した際、勇者タカノリが授かっているはずの加護が判別できなかったそうです。偽物の可能性もあるのではないか、と。複数の魔道具を用いて確認したので、魔道具の不具合である可能性は少なそうです」

「なるほど……ちょっとジュリウスと相談するから待っててくれる?」

「かしこまりました」


 再び深々と頭を下げたキラリーさんから視線をジュリウスに移すと、彼は開口一番「シズト様の御心のままに」と言った。


「まだ何も言ってないんだけど」

「どのような相談であろうと、シズト様が決められた事であれば従います」

「偽物かもしれないタカノリさんに会いに行くって言っても?」

「はい。色々な可能性を考慮致しましたが、今回はクー様がいらっしゃいますから問題ないと判断しました」

「ウスウスは守らないからね」

「構いませんよ。自力で何とかしますから」


 圧倒的強者の余裕ってやつですか。

 まあ実際、ジュリウス強いもんな。

 そのジュリウスに認められているクーも相当強いんだろう。

 気分屋な所があるから、機嫌を損ねて敵対、なんて事にならないようにしないと。

 とりあえず僕にしがみ付いて来るクーは放っておいて、キラリーさんにタカノリさんたちと会う事を伝えた。

 何が起こるか分からないし、魔力の温存のために世界樹のお世話は帰ってきたらにしよう。

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