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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第23章 呪いの対策をしながら生きていこう

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480.事なかれ主義者は距離感について考えた

 ドライアドに髪の毛で持ち上げられながらだけど、世界樹の葉っぱもある程度の量をとる事ができた。

 もっととってもいいとお菊ちゃんに言われたけど、世界樹の葉だけあっても、薬草風呂として使うくらいしか思いつかないので遠慮しておいた。

 本音を言えばさっさと地面に足を着けたいという思いもあったけど、それはぐっと飲み込んでおく。

 今度、必要な時はドライアドたちだけでとってもらうか、魔道具『魔法の絨毯』を使おう。自分で操作できないのは残念だけど、ドライアドに持ち上げられてひやひやしながらとるよりましだ。


「人間さん、日向ぼっこするんですか? ここはフソーちゃんの影があって、あまりお勧めしないですよ?」


 地面に寝転がっている僕を、お菊ちゃんが覗き込んできた。

 一緒に世界樹の葉を採取してくれたドライアドたちも近くで僕の様子を見ている。


「人間は木漏れ日でも十分なんだよ」

「そうなんですね」

「不思議だね~」

「気持ちよさそうだね!」

「どうする? ここでしてみる?」

「でもフソーちゃんがいるからなぁ」

「あんまりぽかぽかじゃない気がするけどなぁ」

「でも人間さんはしてるよ?」

「それは人間さんだからだよ」

「そうかなぁ」

「そうだよ」


 周りのドライアドたちが話し合いを始めた。

 こういう話し合いが始まるとだいたいこの後の展開は分かっている。

 結局、寝転がっている僕らの体を枕にしながらドライアドたちも日向ぼっこをし始めた。

 口々に「微妙かも?」と言いつつも、離れる事はなかった。




 のんびりと休憩をしていると、国際会議に残してきたムサシが戻ってきた。その両脇にはドライアドが抱えられていて、肩の上にもドライアドがいる。

 彼はドライアドに囲まれた状態の僕を見ても驚く様子を見せず「今日は主殿がいるから拙者の所に来る子が少ないのでござるな」なんて事をしみじみと言った。


「手を貸した方がいいでござるか?」

「あー……今のところは大丈夫。あの後どうだった?」

「呪いが蔓延しているのはなぜか、各国の対応の違いから分析したでござる」

「どうだったの?」

「主殿はある程度推測できているかもしれぬでござるが、おそらく身体接触による呪いの伝播だと思われているでござるよ」

「……どうしてそう思ったの?」

「呪われた者への対応方法が違ったのは覚えているでござるか?」

「軽症者が重傷者を看病したのと、身代わりのお守りを持った人が世話をしたのと、ゴーレムとかを操作して対応したの三つだっけ?」

「そうでござるよ。呪われた者は風邪のように咳をしたりくしゃみをしたりする事はなかったでござる」

「高熱とか関節痛とか、紋章が浮かんだところが痛んだりとかだったよね?」

「他にも症状が出ている者もいるようでござるが、概ねその辺りの症状が出ているのがほとんどでござった。だから、飛沫感染や空気感染はないだろう、と思っていたでござるし、実際に重傷者と同部屋の軽症者が重症化していない所をみると、間違いないでござるよ」


 もしも飛沫やら空気を経由して呪いが拡がっているのなら、ナウエストやヤマトだけじゃなく、他の国々にも重症化しているのが発見されていないとおかしいという事になるのか。


「『身代わりのお守り』を身に着けて、呪われた者を看護していた者は気づいた時には呪いを肩代わりされていた、と口をそろえて言っていたでござる。それに引き換え、ゴーレムを操作している物には何の影響も出ていなかったでござる。ゴーレムを調べてみたけれど、ゴーレム自体が呪われている状態なのか分からなかったでござるよ」

「誰かにゴーレムを触ってもらって呪いが移るか試すわけにもいかないもんね」

「そうでござるな」

「………『身代わりのお守り』を持っておいてもらって、触ってもらうならありかな?」

「ありでござるな。後で伝えておくでござるよ。実験用に『身代わりのお守り』を貰っておいていいでござるか?」

「アイテムバッグの中に余ってたらいいよ。新しく作るのは魔力が足りなくてちょっと無理そうだから」

「分かったでござる」

「……呪われている人に接触すると呪いが移るなら、軽症者に看病されてた人も呪いが進行していたとかなかったの?」

「進行していたでござるよ。主殿の指示のおかげで、元々重症だった人たちにエリクサーを投与する決心がついたみたいでござる。どうなったかは明日以降にならないと分からないでござるが、現時点で生きているなら死ぬ事はないだろう、という見解でござったよ。今回蔓延している呪いについての考察のまとめはこの報告書にまとめられているでござる」

「『オートトレース』でいくつか複写してアイテムバッグの中に入れておいてもらっていい? シグニールとミスティアの人たちに共有したいから」

「分かったでござる」


 ムサシは屋内で作業をするようだ。踵を返して寝泊まりしている建物の方へと歩いて行った。

 ムサシの真似をしていた数名のドライアドたちも彼について行ったけど、僕の周りで微睡んでいるドライアドたちは起き上がる気配がない。僕ももうしばらくここでゴロゴロしていよう。


「………呪いの伝播かぁ。やっぱり、転移門の影響が大きいのかな」

「各大陸の報告を聞いている限りだと、悪用されてしまった可能性が高いですね。大陸の大きさや文化など不確定要素は多々ありますが、転移門で繋がっている国々で広まっていますから」

「閉じた方がいいかな?」

「その判断は各国に任せましょう。転移門を利用しない、と国が決めたのなら、その国に設置してある転移門を起動させなければいいだけですから」

「……そうだね」


 とりあえず、転移門を利用する人たちは身体的接触を避けるように声掛けしておいてもらおう。

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